2_22 悪役令嬢一味 調査へ
「絶好の観光日和だねー。」
馬車の上で回りを見回すハルカ様。
「天気もいいし、最近ちょっと涼しくなってきたし長閑でいいねぇ。やっぱりスローライフが良いわー。もう無理、アステアラカは無理。」
馬車の上でごろごろされております。
「振り切ってるわねぇ。」
窓枠に頬杖をつきながら前の馬車の天井で転がるハルカ様を見上げるアイオイ様。
「バーンアウトから復活したものは大体あんな感じです。」
エシオン様は苦笑されます。王宮で過ごしていると色々見るのでございましょう。
「今から夜までは馬車でのんびりですな。あとは野営してから出発です。」
ハノイ様はのんびりされております。
色々と残務処理が多くて最近あまり眠れていなかったとのことでした。
結局現地調査はハノイ様、レンツ様、ハルカ様、あとエシオン様とアイオイ様でございます。とりあえず安全が確かめられてから研究職は送ることとなったので、ナーラックで一番自分の身を守れそうな人だけで行くこととなっております。テレジア様はリア様のお相手と、残務処理とのことでございました。
「ハルカ様、今のところどんな感じでございます?」
「うーん、見渡す限り低めの木々と、草っぱらって感じだねー。ただなーんとなくだけど魔力濃度が低い気がするね。」
「ナーラックって低めなんだよね。なんでかわからないんだけど。魔獣被害が少ないのはそのためかもみたいな話だった気がする。」
ハノイ様はそうつぶやかれます。
「ただ、おかげで農作物はちょっと小さめなんだよねぇ。」
「小ぶりなお野菜もかわいくて私好きですわ。」
「まあ、そういう考え方もあるか。ふわー、とりあえずしばらく俺は寝る。あとよろしく‥‥スヤァ。」
ハノイ様は目を閉じた瞬間眠られました。
「疲れ切ってるみたいだねぇ。」
レンツ様は毛布を掛けられます。
「まあ男爵領主の仕事量じゃないようではあるからなぁ‥‥。アステアラカでの心労もあったのだろう。」
エシオン様は渋い顔をされております。
「ヴィル殿では分らぬかもしれないが、身分差のある状況はなかなか心労があるらしいぞ。」
「ハノイ様は良い人ですから、苦労もひとしおなのでございましょう。」
レンツ様からも要らない苦労を背負って悩んでいるけれど、それだからこそ仕えていると仰っていた記憶がございます。
「ただまあこれでこの地が開拓出来るならナーラックにも特需が生まれるかもしれませんわね。」
「ギリ畑かなー。水はけは良さそうだけど。川があるからいけるかも。」
ハルカ様はキョロキョロしながら目算されております。
「まあ開墾するなら言ってねー。木くらいなら吹き飛ばせるから。」
「ふむ、そういう手段もあるのですね。」
「いや普通はないぞ。というか開墾も地域産業だから市民に任せたほうがよい。」
エシオン様が止められます。
できる人間だけで回すと目先の効率は良いかもしれませんが長期スパンでは宜しくないということでございます。
「ヴィルさんならちょちょいでできそうよね。」
アイオイ様のそれは買いかぶりでございましょう。
「力加減間違えますと植物の生えない土地になりそうでございますが。」
「ヴィルさんの力は封印しておこう。」
みなうんうんと頷いていらっしゃいます。
そうして日が落ちる前に少し大きめの木の下で野営をすることとなりました。
「ユーズゥ様の輸送も悪くはございませんが、こういったのんびりした旅もよろしいですわね。」
「概ね合意だが、ウキウキ100点に対して現在立ち入り禁止区域内なのでマイナス200点かな。」
ハノイ様はやや緊張されております。
「魔獣は夜に活発になることが多いと言われてるから、寝ずの番はしっかりやらないとね。」
「初日は私とハルカに任せてもらおう。」
エシオン様はそうおっしゃいます。
「私居なくて大丈夫?」
アイオイ様は首をひねられております。
「浄化の力は切り札ですので残しておくほうがよろしいでしょう。まあワイルドカードがありますが‥‥。」
「そっか。おけおけ。」
「襲ったりしないからご安心を。」
ハルカ様は笑っておっしゃいます。
「今ならいい勝負になるとは思うぞ?」
エシオン様はにやりと笑われます。
「これだから朴念仁は‥‥、さあさあご飯食べよ。」
「ぼッ!?」




