2_18 悪役令嬢と王子の頭の痛い話し合い
ということで、男の子達のお披露目当日でございます。
女の子のデビュタントとは異なり、ダンス等は特になく、両親と共に話をするような感じになっております。
また、男の子同士でカードゲームや遠乗り等することもあるとのことです。
そして現在、ハノイ様らナーラック面々と、カルネイル・アステアラカ第一王子、シーリカ様で別室で相談中でございます。
お子様らと、その他セントロメアの保護者達は、第二王子以下が面倒見てくださっているとのことでございます。
「さて、お互い忙しいことだから色々とすり合わせることがあるので、こういった場を儲けさせてもらった。では、シーリカ殿。」
カルネイル様が合図をすると、シーリカ様が資料を渡してくださいます。
「これは極秘事項です。この部屋を出たら口には出さないようお願いいたします。」
「‥‥。」
ハノイ様は半分白目を向きそうになっていらっしゃいますが、テレジア様の肘でどうにか正気を保っていらっしゃる様子でございます。
さて、資料に目を通してみましょう。
「ふむ、これはカルシタン王の備忘録でございましょうか?」
「というよりは、代々の王の備忘録だな。国王になると同時に代々の王の知識を受け継ぐのだが、量がかなり膨大なので残している資料があった。王だけが入れる部屋だが、暫定的にいま私がTopとなっているため入れた。既にシーリカ殿から聞いているとは思うが、父上は既に国内にはいない。ただヴィル殿のコレ(呪い)の影響か、私に知識が継承されることはなかったが‥‥。」
「それか命とともに、でしょうか。」
「タイミングとしては其方のほうがありうるとは思っている。証拠はないが。」
「ううむ、一通り目を通させていただきましたが、かなり断片的な単語が多くて、内容をつかむのが困難ですな。」
ハノイ様は唸られます。
「機密が多すぎるので、恐らく一目では分からないようになっているのでしょうか。」
「とりあえずは最後の数ページが父上だと思う。」
「ほぼほぼ暗号でございますわね。」
「やはりヴィルヘルミーナ殿でも同じ意見か。紫のと相談して、解読できる分だけしてみたのが此方だ。精度はそこまで高くはないとは思うが。」
「あと1年、嘘のようだが、証拠がある、システム、調査で補完、ナーラック、9割がた。」
ハノイ様は読まれます。
「ナーラック!?!?」
「そうなのだ。何故お主の土地の名前が?」
カルネイル様は怪訝な顔をされておられます。
「何一つ心当たりが無いのですが‥‥。」
「何か最近不審なことはなかったか?」
うーん、とハノイ様は首をひねられます。
「ハルカちゃんのアレじゃない?」
「あ!」
テレジア様の指摘にはっと思い出されます。
「実はここ最近、ナーラックで不審者が目撃されております。治安の悪化によるものかとは思っていたのですが、ハルカ曰くそのうちの何人かは、異国の、少し裏稼業に関わってそうなものが居たとのことでした。身のこなしからはエプラスの可能性があると。」
「エプラスか‥‥。」
全員難しい顔をされております。
「エプラスとは遠い国なのでございましょうか?」
「エプラスは三大大国の1つで、始原の聖女が生まれたと言われる土地です。かなりガチガチの創造神教で、国王は教皇を兼ねております。エプラス皇国が正式名称です。」
シーリカ様が説明してくださいます。
「始原の聖女とは?」
「あくまでもエプラス曰くにはなりますが、創造神よりもたらされた最初にして最強の聖女が降り立ったのがエプラスとのとです。」
「最初の聖女‥‥。」
ものすごくザワザワいたします。
「ヴィルヘルミーナ様? どうかなされましたか?」
シーリカ様が心配そうにこちらを見られております。
「分からないのですが、ものすごく嫌な感じがするのです。」
「え、ものすごく?」
ハノイ様が驚愕されております。
「ヴィルちゃんがものすごくっていうくらいなら、多分世界が滅亡するレベルの何かがあるのかもしれないわね‥‥。」
テレジア様も青い顔で仰います。
「いえ、まあ、何となくでしかないのですが。」
「カルネイル様。最大級の警戒を致しましょう。」
「‥‥うむ。」
「ちなみにエプラス側はなにか動きはあるのでしょうか?」
テレジア様はそう聞かれます。
「いや、あそこの国はそもそもあまり他国とかかわらんからな。ただ噂だけだが、魔道具関連の人員がかなり引き抜かれているという噂が一つ。もう一つは奴隷の売買がいつもより活発との噂がある。」
「戦争準備にしか聞こえませんな‥‥。」
ハノイ様はため息をつかれます。
「ゲーキからもあまり有力な情報がございませんでして。というのもフェンガルの方がいまだ顔を見せていないのもありあまり動けていないようでございます。あとはヴィルヘルミーナ様に頂いた例のブツがかなりのもので色々とまた時間がかかっているのもあるとのことでした。」
「また何かやったの?」
「ハノイ様。ただの通行手形のようなものでございます。」
「へぇー‥‥。」
「いずれにしても父上はエプラスにいる確率は低くないと思っている。とはいえアクションの取りにくい場所であるが故難しいところではあるが‥‥。」
「いずれにしてもゲーキでも動こうとしているところでございます。もう少々お時間をいただければ。」
シーリカ様のお言葉に、何とも言えない沈黙が下ります。
「取り立てて現状急にどうのこうのということは無さそうでございますわね。」
「とはいえかなり座りの悪い話ではあるが。しかしなぜウチに??」
「失礼を承知で述べるなら、ヴィルヘルミーナ殿の存在か、もしくは古い祠を調べていたかのどちらかではないか?」
「吹っ飛んでもう何も残ってはいませんが‥‥。」
「ぱっと見はそうかもしれないが、知識のある人間がみたら何かわかるのかもしれない。となるとその祠と似たようなものを作ろうとしているのかもしれないな。」
カルネイル様は顎を撫でて考えておられます。
「どのような祠だったのだ?」
「入ったものは二度と出てこれない呪われた祠と言われております。それ以上はなんとも。屋敷の古い資料を探したら何か出てくるかもしれませんが‥‥。」
「なるほど。因果関係があるかは不明だが、その祠が原因で山脈一つ吹き飛んだのであれば、十分兵器としては使える。今はそれが一番危惧していることだ。」
皆さん、ヒュッと息を飲まれます。
「戦争を起こすつもりということですか?」
「可能性の一つ、というだけだ。」
「いずれにしても今のままでは情報不足でございます。また改めて話し合いをした方が良い気が致しますわね。」
「そうだな。ハノイ殿には申し訳ないが、家の資料を調べて見てくれ。」
「承知いたしました。」




