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6 悪役令嬢と平穏

日の出とともに起き、日の入りとともに休む。

記憶のセントロメアは王国とは名ばかりの小国の集合体でしたかしら。ヴィルヘルミーナ、つまり私の母国であるベルクートアブル大帝国から比較すると首都と離島以上の経済、文化格差が御座います。距離自体もかなり離れており正直ほとんど記憶にございません。まあ、多数ある国の中でも圧倒的に巨大なのが我が国ですもので。それは魔力の多さなど色々理由はございますが、今となってはあまり関係のないこと。

なので現在の牧歌的な生活に、私少しわくわくしております。

「ヴィル! おきてる!?」

これはリア・ナーラック様ですね。

よく言うと天真爛漫にとても素直に育たれている可愛らしい娘様です。ベルクートアブルのお茶会、特に黒薔薇のお茶会に出たら多分無事には帰れないとは思いますが。

「リア様。鈴がなるようなお声でとてもよく目が覚めましたが、そのような美しい声を皆に聞かせていては勿体のう御座います。淑女としてはそこまで腹筋を使わない方がよろしいかとおもいますよ。」

ドアを開けてリア様を撫でる。

正直自分の行為も大概なマナー違反なのは存じておりますが、昔から可愛いものを撫でるのが好きなものでして止まりません。前世?ですと皆恐縮して犬一匹近寄ってこなかったのでこれ幸いというわけではないですが。

「御髪が乱れておりますよ。ファーストインプレッションは見た目からで御座います。」

「ヴィルはキラキラかがやいてるね!おひめさまみたい!」

たしかにベルクートアブルの姫は史上最強の魔力をお持ちでしたのであまりの圧力で歪んだ魔力が光り輝いているといえば輝いておられました。元気にされておられるでしょうか。数少ない友と言える存在でした。

「ありがとうございます。リア様も宝石のようですよ。これ以上磨いてしまったら不埒な輩が目をつけるかもしれませんがそこはお父様に頑張っていただきましょう。」

「俺も一応できることとできないことがあるからな。」

げっそりした顔でこちらを見てくるのはご当主様です。

「ハノイ様、ご機嫌麗しゅう。今日もリア様の可愛らしさで胸が潰れそうです。」

「それは同感だが、お前馴染みすぎでは?」

「さようでしょうか?」


ハノイは胡乱な目でヴィルを見る。

野暮ったい家政婦のお仕着せを着せてもその美貌は暴力的だ。お陰で男性の使用人が挙動不審になりすぎる。試金石はもうちょっと小さめの石で良いんだが。

なお俺はヴィルに対しては観賞用としては好ましいがそういった感情は一切ない。地上で一番の愛妻家であるからだ。

そしてこいつは小間使いから料理人、厩番まで顔を出して既に高評価を得ている。教師担当も逆に教えを請おうとしたりしているレベルだ。基本的に何でもそつなくこなしてそして愛想も多分良い。胡散臭いことこの上ないが見た目で惑わされている使用人はもう男女問わずでれんでれん。サボってるわけでもないから良いのだが。


「リア様は優秀ですわね。もう算学も2年レベルに入りましたわ。」

「いや、入学自体来年なんだが。」

知らないうちに娘が魔改造されて怖い。

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