2_14 悪役令嬢一味 デビュタント開始
「それでは、この時、大いなる創造神の子らが、このアステアラカに集まったこと、とても喜ばしく思う。創造神の名において、貴殿らに洗礼を授けよう。貴殿らは救いと真理の道を歩むべく、創造神の愛と恵みを受け取ることとなろう。我々神官は、皆の魂を清め、創造神の光で再生させ、創造神の家族の一員として迎えることを使命としている。皆が創造神の祝福に満ちた人生を歩まれることを願い、祝福を授けよう。」
マルチア・エインズワース様が、普段と異なりなにやら神々しい表情で皆様に祝福をかけておられます。
聖女の力のようでございます。キラキラと天井から光が降り注いでおります。
とはいえ大概の皆さまはキラキラが見えないので実際あまりリアクションは無いのでございますが。
アステアラカの貴族や、周辺国の王族等が一同に会しております。
これだけお子様が集まっておりますが、皆さましっかり静かにされております。なかなか教育レベルが高いですわね。
ちなみに御本尊は修理済みではございますが、未だに連絡は不可能のようで、何かしらの力が溜まっていないようでございます。
リア様達は端のほうに固まって、静かにお話を聞いていらっしゃいます。
当初王族の横に配置するというお話も出ていたようでございますが、流石にとのことでございました。
隣に並ばれているのは、近隣諸国の王族の方々とのことです。面識がないためか不思議そうにリア様達をちらちら横目で見られているのが微笑ましいですわね。
まあ、実際エスコート役といいますか、同年代のキャバリエを連れている貴族自体がそこまで多くないためかもしれませんが。
リア様は静かにじーっとマルチア様と、御本尊を見ていらっしゃいます。
時折天井のキラキラを眺めていらっしゃるようにも見えます。ひょっとしたらキラキラが見えていらっしゃるのかもしれませんわね。
先にシャベロンや関係者はデビュタント会場のテーブルに移動して、お子様たちが呼ばれるのを待ちます。ハノイ様ご両親は端っこの方で静かにされております。
あくまでもメインはお子様で、そのフォローはシャベロンというのがアステアラカ流の様でございます。
そして一人ひとり名前を呼ばれて登場するようでございます。
カルネイル様の御子息、カルバー様もデビュタントされる方と同い年ではございますが、婚約者は未定とのことで王族側に座っていらっしゃいます。
「それでは入場、リスロイブ・ソフィレント公爵令嬢!」
拍手とともに、まず1ペア目が登場いたします。
かなり目力の強い、6~7歳とは思えない美女の方でございます。後ろに燃え上がる炎が見えるようでございます。隣には冷気をまき散らすような笑顔のお子様の‥‥あら。
「ねえ、ヴィルさん。あれって。」
「ええ、チゾノ・デューバレー様でございますわね。」
昨日崖の下でたまたまお会いした方でございますね。
当時は普通のお子様かと思っておりましたが、堂々とした立ち振る舞いと、隣の燃え上がるような美女と対比して、凍えるような美しい顔をされております。
これは将来厄介な取り巻きが増えそうなお二方でございますわね。
「あんな感じの子だっけ‥‥?」
「さて、貴族とは矜持でございます。あちらの仮面も尊重いたしましょう。」
チゾノ様は、いわゆるチェンジオブプレイスのような動きで、リスロイブ様をくるっと回されました。ふわっとドレスが広がり、軽くカーツイをされます。
「すごいね。貴族って感じだね‥‥。」
「何となく懐かしい気持ちでほっこり致しますわね。」
「ほっこりはしないかなぁ‥‥。あれって婚約者ってこと?」
「そういう場合が多いですが、あとは牽制や政治的な問題等いろいろ複雑ですわね。特にあれくらいの年代ですので、取りあえずは話を通せという表明なのかも致しませんわね。ナンパ避けみたいなものでございましょうか。」
「おおこわ‥‥。」
「お話を聞く限りデューバレーもソフィレントも公爵家ですわね。」
「そうだね、ハノイ様が白目向いてるよ。テレジア様がフォローしてるね。」
「無事に終わりまで意識があればよろしいのですが。」
その後にも次々とお子様たちの微笑ましいデビューが続きます。
とはいえ、同じ年代で女性メインということでございますのでさほど人数もという感じではございますが。
「では最後にアステアラカ王並びに第一王子様による特別招聘、セントロメア王国より、リア・ナーラック男爵令嬢、ヤーズ・マロカシュ男爵令嬢。」
ついにリア様達の順番でございます。
一瞬会場がざわっとされますが、そのあとは静かになりました。
その間を、元々宝石の権化と言わんばかりのリア様が、アステアラカの全力によりもはや言語外の存在となっております。ヤーズ様も負けず劣らず美しく、ドレスがとても似合っておりますが、比較的ボーイッシュであり、少し女顔のバイク様と並びますとちょっと怪しい雰囲気に見えますわね。スイ様もよく似合っております。チゾノ様ほどの謎の圧はございませんが、安心する笑顔でございますわね。やはりセントロメアの方々は癒しでございます。
個別だと緊張するのではないかとの配慮でございました。
お教えした通り、そつなくカーツィをされ、すすっと列に並ばれます。
隣のお子様がかなり挙動不審になっておられますが、セントロメアの方々は気にせず前を向いていらっしゃいます。よくできております。
「それでは、国王の代理として私、カルネイル・アステアラカより皆にまずは、お集まり頂きとてもうれしく思うと共に感謝を伝えたい。我々貴族は幼少の頃より成人扱いをされる。それが苦痛であることもあるだろうが、皆にはそれをチャンスだと思ってほしい。皆がそう、だから、そう、ではなく、自ら何が正しくて、間違っているかを考え実行出来る人間になってほしい。これはとても難しい話だ。正義というものは見方によって形が変わり、そして見る目のない人間にとってはとてもシンプルに見えてしまうものだ。君たちには目先の正解のような欺瞞ではなく、本当の意味での正解を見つけることのできる人間になっていってほしい。そのためには長い道のりが必要だと思うがそのために我々大人や先達がいるのだ。さて、難しい話はこれくらいにしておこう。我が息子カルバーも今年お披露目である。皆お互いに交流を深めていってくれ。」




