2_13 悪役令嬢一味 登城
そしてついにデビュタント当日でございます。
実際は成人後のデビュタントが本番ではございますが、学園入学前の顔合わせという意味もあり、此方のほうもデビュタントと呼ばれております。ややこしいですわね。
リア様は、スイ・ファストロット様、ヤーズ・マロカシュ様はバイク・テューダーローズ様がエスコートとなっております。
本来は独身アピールをして相手を探す場ではあるのですが、問題が起こる未来しか見えないということで、そういう感じになっております。
異国からの招聘ということで、なるべくかかわらないでねアピールとのことでした。
王城に馬車を止め、一般参加に並ぼうとしたところ、シーリア様に賓客ルートに笑顔で誘導され、個室の控室にたどり着いたところでございます。
すでに保護者の方々は顔色が5割引きで青色に偏っている印象でございます。
「ふわあぁ‥‥。お城だぁ‥‥。」
リア様はお目目がキラキラでございます。元々キラキラでございますが、4割2分増し程度でキラキラされております。
他のお子様もお目目キラキラでございます。
「よし、一旦お前ら落ち着くんだ。はい、深呼吸。さて、今日の流れをおさらいだ。では、スイ。」
ハノイ様はスイ様に目を向けられます。
「えっと、お昼まで準備、それから王室備え付けの大聖堂で大神官様の祝福、そののちに舞踏会と晩餐会、です!」
「よし。では、バイク。注意点を。」
「礼儀作法を守ること、服装がかぶらないようにすること、一般的にはコミュニケーションを積極的にはとることですが今回に限ってはケースバイケースです。」
「素晴らしい。では王家が話しかけてきた場合の対応は? ヤーズ。」
「失礼にならない範囲で端的にお返事をし、しれっと他の媚を売りたい人たちを引き込むことです。」
「うむ、もうちょっとソフトな言い方でいいよ。びっくりしちゃうからね。」
とりあえずハノイ様は大きくうなずかれます。
「そしてリア。」
「うん?」
「物は壊すな。ネックレスは95%くらいまで上げといて今日は。」
「おけ!」
リア様はネックレスをいじられます。
裏についているツマミを回すことで0~99%まで力を抑えることが可能でございます。
今回は普段の20分の1の力で生活をしてね、ということでございます。
「では‥‥、シーリカ殿。」
ジル様がシーリカ様に合図をされます。
その後ろでは、今か今かとメイクアップのための準備をして満面の笑みをたたえているスタッフが大量におられます。
「世界一の見た目にして見せます!」
「いや、目立たない感じで一つ。」
そして、アステアラカ全力(ジル様のご意見はスルーされておられました)のメイクアップにより、もはや光り輝いて直視をするにはサングラスでも必要ではなかろうかと言わんばかりのお子様集団が出来上がりました。
「あなた、このティアラ、これ、ピンクダイヤじゃない‥‥?」
「壊したら多分領地を売らなければならないレベルな気がするんだが‥‥。」
ナーラックのお二方はヒソヒソ会話されております。
ジル様や、ナルクル様、ヒマキ様ご夫妻は遠くを見ていらっしゃいます。ちょっと白目をむいていらっしゃる気もするのは気のせいでございましょうか。
「普段の男装もかっこいいけど、ドレスも似合ってるよ。」
バイク様はヤーズ様に微笑みかけられます。
「‥‥ありがとう。」
ヤーズ様はぷいと前を向かれますが、少し口角が上がって見えます。
ばあやは微笑ましくてキュン死しそうでございます。
「では、我々は此処までだ。あとはシャベロンのヴィルとレンツ、お前らに、お前らにかかっている。本当にかかってる。本当に、本当に頼んだぞ。」
血涙でも流しそうな勢いでレンツ様の肩に掴みかかるハノイ様。
ちなみにハルカ様はこの先10年王城出禁になっておられました。今頃はやけ酒とのことでございます。
レンツ様も、シーリカ様の部下の方々によってかなりキラキラしい感じに仕上がっております。どこかの子爵程度と言われましたらそうなのかなという程度でございます。ただ貴族にしてはやや日焼けしすぎではございますが。
「そしてヴィル。」
「何でございましょう。」
「例の作戦の用意は?」
「ばっちりでございます。」
すちゃっと顔の上半分を覆う仮面を付けます。
「どうでございましょうか?」
「ああうん。なんかプレッシャーがすごいね。素顔の時より謎の圧があるよ。」
「ふむ、魔除けに丁度良いかも致しませんわね。」
「なんで仮面なんだ?」
ヒマキ様は首をひねられております。
「誘蛾灯をオフにしておくだけだ。」
「なるほど。初見だと大変なことになる人が多いかもしれませんな。」
ナルクル様も頷かれます。
「ヴィルかっこいいね!」
「ふむ、これがちゅうにびょう、というやつでしょうか。何やらワクワク致します。」
「ヴィルさんがワクワクしだすと大体大変なことになるんだよねぇ。」
「オカルト地味た話でございますわね。」
「経験則って言ってね。」
「なあ、あの二人はそういうことなのか?」
ジルはひそひそとハノイに話しかける。
「いや、あれは姉弟だな。苦労してる弟だ。」
「ああ‥‥。」




