2_11 悪役令嬢 騒動ひと段落
色々事件はございましたが、結果的には死人0で済んで何よりでございます。
こんばんは。ヴィルでございます。
なんだかんだでかなり憔悴されているデューバレーの方々を放置するのもどうしましょうということと、夜も遅くなり、落石もあったことから安全を懸念し、街道の休憩所で一泊することになりました。此方は崖からは離れており安全とのことでございます。
「キャンプ楽しいね! ワクワクするね!」
リア様は夜中外で焚火を囲うのは初めてということで、とてもテンションが上がっておられます。
これは夜遊び令嬢の先達として良いところを見せる場ではございませんでしょうか。
「実はマシュマロを焼いてクッキーで挟むという、とてもカロリーの高い禁断のお菓子がございますが‥‥。」
「やる! チゾノ君もやろう?」
「あ、うん、ああ。ありがとう‥‥。」
落石被害者その2、チゾノ・デューバレー様はまだ落ち着かないようでございます。
岩に襲われ、崖から落ちて、魔物に殺されかけるという3連コンボでさもありなんという形でございましょうか。ナーラックの皆さまの神経が太すぎるだけなのかもしれませんが。
とはいえ、ハノイ様は、チゾノ様のお父様、ステリ様と向こうで何やらお話をされております。テレジア様もチゾノ様の奥様とお話されております。奥様は落石から運よく免れておりましたが、あまりの惨劇に崖上で気絶されていたとのことでございます。
テレジア様の手を握りながら何か笑顔で話しかけられておりますわね。
「ヴィルヘルミーナ様。周囲を見回してまいりましたが、危険な岩や、魔物は今のところおりません。ご安心を。恐らくリア様の一撃で怯えて去っていったのでしょう。」
音もなくシーリカが背後に現れます。
ハルカ様に指摘されて以来、動きがより洗練されている気が致します。
「それは何よりでございます。今の時期は暖かくて夜も未だ過ごしやすくてよろしいですわね。」
「お疲れと思い、イノシシも何頭か狩ってきております。後ほど夕食の際にお出しいたします。」
「それは楽しみですわね。」
「お肉! バーベキューだね! お肉好き?」
「あ、うん、好き‥‥です。」
リア様はウキウキでございます。チゾノ様も当初よりは顔色は良くなっております。
空を見上げますと、満天の星空でございます。天の川も見えており、とても綺麗でございます。
「晴れててよかったね。」
レンツ様はしみじみ仰います。
「雨の日の野営って地獄だよ。寒いし濡れるし。」
「それは嫌でございますわね‥‥。晴天に感謝いたしましょう。」
「とはいえあんまり晴れ過ぎてても冬場は寒かったりするから難しいんだよね。」
「微調整は難しいところでございますわね。次回野宿することがあれば参考に致します。」
「そういえばこっちに来た時サバイバルしてたね‥‥。」
「今となっては懐かしい思い出でございます。神仏は信じておりませんが、ナーラックに来たのは運命を感じますわ。」
「ぇぇ、創造神様とお話したのに?」
「いわゆる全能の神とはちょっと違う気は致しました。何となくではございますが。あまり言うと不敬になりますでしょうか?」
「大不敬だね。他では言わないようにね。」
「心得ました。」
ちなみにレンツがヴィルと夜喋っているのは、ハノイから指示されたナンパ避けである。
ナーラックとシーリカの面々は大丈夫だが、デューバレーの一団は癒してもらったのもありかなりそわそわしていた。
無体なことはしないとは思うが念のためである。
「この度は本当にお世話になった。恐らくお披露目の会場でも会うことにはなるとは思うが、改めて礼を言わせてほしい。本当にありがとう。」
「困ったときはお互い様です。同じアステアラカに繋がる貴族として当然のことです。」
「いつかこの恩は返させてもらう。デューバレーの名に懸けて。」
色々報告事項があるとのことで、デューバレーの方々は日が昇ってすぐに出発されておりました。
リア様はまだぐっすり眠られておられるので、ナーラックの面々はもう少し後に出立でございます。
「ちなみにデューバレーってアステアラカのお貴族様なんですか?」
「知らん。」
レンツ様の質問にハノイ様はしれっと答えられます。
「アステアラカの貴族なんて関わることないと思ってたから誰も知らん。その場その場でなんとなく話を合わせていた。どっちにしろ格上だから間違いなかろう。」
しれっと仰るセリフに皆さま、あんぐりと口を開いていらっしゃいます。
「まあ、デビュタントが終われば関わることもない‥‥と思っていたんだが、リアの同級生になる予定か。まあ、同じクラスにはならん‥‥いや、何を言ってもフラグにしかならないきがする。よし、このことは忘れよう。」
ハノイ様は遠くを見ながらよし、と気合を入れられております。
「ハルカ様?」
ハルカ様は遠くで軽く首をすくめるポーズを取られております。
元暗部ですので恐らく相手の素性もご存じだとは思いますが、あえて言う必要もないと思われているのでしょう。
逆に大物だった場合ハノイ様に無駄な心労を与えることになりそうでございます。
「まあ、取りあえずもう問題ごとも起こるまい。まあ厳密には我々の問題ごとではなかったのだが。というか、うちのリアは今どの程度の強さなの?」
「全力で戦われている姿を拝見したことがございませんので何ともでしょうか。」
「近接の動きだけならSランクはありますよ間違いなく。」
「君たちうちの娘は暗部や騎士団志望じゃないって知ってた?」
「おはよー。チゾノ君はもういっちゃった?」
めをこすりこすりしながらリア様が起きてこられます。
ううんかわいいです。
「ああ、色々と報告もあるからな。半分夢の国のまま連行されていった。」
「大変ね。」
夜遅くまでリア様と楽しくバーベキューされていたので眠気もひとしおでしょう。
「まあ、馬車の中で存分に寝れるだろうから大丈夫だろう。さて、俺たちも用意をしたら出発しようか。」
「用意はお任せくださいませ。」
シーリカ様の合図とともに準備が高速で進みます。
「うーん、楽だな‥‥。いいのかな‥‥。」
「まあ、今回はそういうものだと割り切りましょう。」
テレジア様がハノイ様の肩をポンポンと叩かれます。




