2_06 悪役令嬢スパルタ塾閉校
「さて、ヴィル。いや、何したの?」
ハノイ様はジト目でこちらを見てこられます。
「普通では間に合いませんのでちょっとした裏技と言いますか。」
「ほほう?」
「フリスカという技がございまして。」
「ふむ。」
「6歳前後までに可能な技なのですが、脳神経に回復魔法をかけながら過負荷をかけることでクロックアップをするという技でございまして。」
「‥‥。」
「高位貴族以外では門外不出の業とされておりますので、皆様のご安全のためにも詳細は割愛させていただきます。」
「‥‥。」
「そして、ベースの能力を上げたところでも、やや時間が足りませんでしたので、睡眠の代わりに、睡眠魔法で時間を短縮させていただきました。寝ている間も精神魔法で海馬に知識を一時的に置き、大脳皮質へ寝ている間に誘導するというちょっとした荒業でございます。知識がないものが悪意があるものが使いますと洗脳ができるのでこちらも一般には禁呪とされております。」
「‥‥。」
「また、ダンス等も、傀儡の術の応用で‥‥。」
「モウヤメテェ。」
ハノイ様は悲鳴を上げられます。
「よろしいのですか?」
「1個だけ聞かせてくれ。後遺症はないよな? 長期的にも問題はないよな?」
「特に報告はございませんわね。」
下手なものが見よう見まねでやって取り返しがつかなくなったり腫瘍が出来たりしたのは見たことはございますが。
「まあ、色々理解した。この1月でここまで見違えた理由もわかった。わかったふりをしているだけかもしれないがきっとおれ自身はわかっているはずだ‥‥。」
なにやらブツブツつぶやいておられます。
「とはいえ、リア様と違って魔力については素のままですので、Sランクなどは難しいかと。」
「学園入学と世界征服を間違えてないよね?」
「わあー、みんな見違えたね!。」
リア様は精悍な顔つきをする3人を前にぴょんぴょん跳ねられております。かわゆいですわ。
「うむ。ヴィル様は素晴らしい方だ。この短時間でこのように成長するとは思ってもみなかった。」
スイ・ファストロット様は笑って頷かれます。
「僕も苦手だったダンスがここまでできるようになるなんて思ってなかった。」
バイク・テューダーローズ様もぐっと手を握って興奮されております。
「私もこれでリア、あなたと一緒の学園生活が送れそうで嬉しいよ。」
ヤーズ・マロカシュ様は笑ってリア様の手を取られます。
「大丈夫? 変な洗脳してない?」
「特に後に残るような精神操作は行っては御座いません。」
「大丈夫かなぁ。」
レンツ様は心配そうでございます。
「そういえば、皆さまもわりと鍛えておりますので、レンツ様と模擬戦闘等いかがでございましょうか?」
「ぇぇ、そんなに?」
「素の状態ですと丁度よろしいくらいかと。」
「なるほど。どっちにしろアレは見せれないよね。」
「あまり大っぴらにするものでもございませんでしょう。」
「ということで、今から模擬戦闘を行います。先生はレンツ様。ナーラックの護衛をされいる方でございます。Aランクの冒険者でもございます。一同礼。」
「「よろしくお願いします!。」」
3人は頭を下げる。
「えっと、紹介に預かったレンツです。みんなの得意は何か教えてもらえるかな?」
「はい。スイです。これと言って苦手もありませんが得意というのもありません。スタンダードに片手剣と盾を使っています。」
「バイクです。魔法メインです。風と土が得意です。」
「ヤーズです。拳が得意です。」
3人はそう言うと構えをとる。
「「お願いします!」」
「ヴィルさん。なんか年齢にそぐわない圧を感じるんだけれど。」
「Bランク前後くらいまでは鍛えたつもりでございますわ。」
「マジか。」
レンツ様は木刀を構えます。
「よし、来い!」
「炎よ!」
言った瞬間、バイクから大きめのスイカくらいの炎が放たれる。
「いきなり嘘かよ!」
木刀で炎を切り裂いた瞬間、頭を狙った回し蹴りが来たのでひょいとしゃがんでよける。
「まだまだっ!」
ヤーズは其のまま空中でひねって2発目を放つ。
レンツは木刀の根元でそれを受けて後ろに飛ぶ、とそこに待ち構えていたスイの盾を蹴る。
「ぐっ!」
スイはそれを受け流して、レンツに突きを放つが、少し後ろに下がって避ける。
が、ガクっといつの間にか開いていた小さな穴に足が引っかかる。
「無詠唱!?」
崩れたレンツにヤーズが拳を叩きこもうとするが、軽く振るったレンツの木刀で牽制される。
「風よ!」
その瞬間後ろから突風が吹いて、体制をさらに崩す。
「やあ!」
上からジャンプ切りしてきたレムから逃げるように前に転がるようにジャンプする。
「うおお、あぶな!」
レンツは少し遠くに間合いを取る。
「全部躱されるなんて‥‥!」
ヤーズは悔しそうにする。
「いや、結構危なかったよ。みんなすごいね。」
レンツは拍手をする。
「地面の穴って無詠唱?」
「小さいものなら小声でなんとかなるので、比較的無詠唱って呼んでます。」
「比較的‥‥。」
レンツは呆れる。
「本来なら恐らく蹴られたのは盾じゃなくて私自身だったのでしょう。まだまだ未熟です。精進します!」
スイはぐっと手を握って目を燃やしている。
「いやあ、その年でそれだけ出来てたら十分なんじゃない? ねえ、ハノイ様。」
「ああ、うん。そうね。そだね。うん。すごいすごい。」
死んだような眼をするハノイはカクンカクンと頷く。
「ねえ、なんで知人のお子様らが暗殺者みたいな動きしてるの?」
ハノイはヴィルに尋ねる。
「体格で劣るものは隙をつくべしと本で読んだことがございます。」
「子供の暗殺者養成ハンドブック?」




