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2_05 悪役令嬢スパルタ塾開校

「皆さま初めまして。私ナーラック領でメイド兼家庭教師兼ばあやを務めさせていただいております、ヴィルヘルミーナ・ローゼンアイアンメイデンと申すものでございます。」

どうもお久しぶりでございます。ヴィルでございます。

目の前にはリア様と同じくらいのお年のお子様が3人おられます。皆さまお可愛い顔をされておりますわね。

「おはつにおめにかかります。ジル・ファストロットがちょうしスイ・ファストロットです。」

ジル様に似て元気そうなお子様でございます。

「おひさしぶりでございます。ファストロットりょうではたいへんおせわになりました。バイク・デューダーローズでございます。」

にこりとわらうバイク様と笑いあいます。元気そうで何よりでございます。

「ヒマキ・マロカシュがちょうじょ、ヤーズ・マロカシュです。ぼくはヴィルヘルミーナさまをどのようにこんかいあつかえばよろしいでしょうか?」

勝気な顔をされているお子様がヤーズ様ですわね。男装されておりますがよく似合っております。

「ヤーズ様、よい質問でございます。これから皆様は卒業まで私が教師として皆さまを鍛え上げるように言い使っております。国王からも言われているとのことですので、現状国王代理のように扱っていただくのが作法としては正しいかと。」

「なるほど。ではヴィルヘルミーナさま、おてをしつれい。」

ヤーズは手を取って口づけをする。

「おあいできてこうえいでございます。こんごともどうぞよろしくおねがいいたします。」

「ヤーズ様は、王子様のようでございますわね。」

「ええ。わたしはじぶんのみめをりかいしております。そのほうがうつくしいでしょう。」

ヤーズ様はにこりと笑います。

なるほど。確かに物語に出てくるような王子様のようですわね。

「普段はそれでもよろしいでしょう。ですが今回の入試の作法ではどちらもできるようになっておきましょう。個人のスタンスを見る場ではなく、作法ができるか否かでございます。あなた自身が頭が固くなる必要性はありませんが、頭の固い人間と毎回衝突していくのは人生の無駄でございますゆえ。」

「こころにとどめておきます。」

ヤーズはにこりとわらう。

「さて、では皆さまの学力を見せていただきましょう。テスト問題は作っております。」

「しつもんよろしいでしょうか。」

「なんでしょう、スイ様。」

「リアさまはさんかされないのですか?」

「リア様はすでに入学レベルまでは終わらせております。今は別の勉強をされているところです。」

「べつとは?」

バイク様は首をひねられます。

「それはみなさまが合格レベルまで到達するまでの秘密でございます。」

ニコリと笑いかけると皆さま顔が赤くなっております。

「少し暖房が効きすぎでしょうか。」

「いえ‥‥だいじょうぶです‥‥。」

スイさまはうつむきながらそうつぶやかれます。

「ヴィルヘルミーナさま。しょうじきわれわれがまにあうとおおもいですか?」

バイク様は真剣な顔でこちらを見つめてこられます。

「私の仕事は間に合わせることでございます。あとは皆様の努力次第ですわね。ご安心くださいませ。」

「きぞくとうまれたからには、そのなをよごさぬようにいきていくようにいわれております。がんばります。」

ヤーズ様は真剣な顔で頷かれます。

「やる気があることは素晴らしいことでございます。では皆様。頑張りましょう。」


「本当に大丈夫なのか?」

ややげっそりしたジルはハノイを見る。

「知らん。俺の常識的には無理だ。だが、常識が今のところ使えたためしがない。なので任せるしかない。」

ハノイは手を上げる。

ちなみにジルは近場ということもあって、復路でスイとともに帰ってきた。馬車も置きっぱなしではあるのもあり。

「空の旅は大変だったようですわね。」

テレジアはジルを見て青い顔をする。

「うむ。二度と無い経験をさせてもらった。二度は要らぬ。本当に要らぬ。」

一瞬楽しかった気もしたが、冷静に考えるとえげつない話であった。二度は要らない。

「使用人の大半気絶したぞ。」

「だろうな。うちもそうだ。」

人払いはしていたが、窓から見てしまった使用人は泡を吹いて倒れていた。

夢を見ていたと言い聞かせたら、あまりの真剣さに何かを悟ったようで頷いてはいたが。

「というか魔物使いがアステアラカにいるのか? 職業として存在しているのは聞いたことはあるが。」

「わからん。そうであってほしい。」

ハノイは遠くを見ながら紅茶を飲む。

「ジル、友人として言っておくがな、ヴィルは善良だ。間違いない。ただな。」

ハノイは目を細めてジルを見る。

「一介の貴族がいきなりアステアラカの大貴族や王族と繋ぎができるなんてありえないんだよ。」

「ならばこそか。」

「ならばこそだ。生粋の貴族なんだから飲み込んどけ。」

「のどにつっかえそうだな。」

ジルは紅茶を飲んでため息をつく。

「お前はナーラック領をどうしていくつもりだ?」

「静かに生きていきたいと常々思っているよ。世の中思い通りになることはそこまで多くはないが。」

「このまま物事がスムーズに進めば、おそらくアステアラカに取り込まれる。特にヴィルヘルミーナ嬢のために。」

「そうかもしれんな。」

「その場合ナーラック領はどうする?」

「その時はその時だ。親戚に任せるさ。それに未来の事なんてわからんだろう?」

「まあ、そうかもしれんな。」

「少なくともヴィルちゃんがアレコレしている間に遠い未来の想像をするのはやめたわ。用意はするけどね。」

テレジアは首をすくめる。

「それに聖女様を疑うなんて畏れ多いじゃない。」

「それもそうか。」

ジルは小さく笑う。

「ところで、どのような教育をしているのだ?」

「門外不出だそうだ。」

「‥‥。やっぱり不安になってきた。」


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