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2_02 悪役令嬢もの思ふ

「わあ! ネックレスかわいい! ありがとう!」

「ええ、リア様に良くお似合いですよ。よーしよしよしよしよし。」

抱きついてきたリア様をなでくりまわします。これが生きているという事でしょうか。

どうもお久しぶりです。ヴィルでございます。

取りあえず一旦リア様の身体強化の鍛錬がひと段落いたしましたので、次は魔力を抑えた状態でまた慣れる生活の練習でございます。

魔封じのネックレスは取り込むのを押えますが、内部保留の魔力量は変わりませんので、たとえば20%程度と調節しておいてバランスを取りますと、その程度の力が普段使いできるようになります。

「ヴィル。わたしもよしよししてもらうべきだと思うんだけど!」

ソファーにぐったり倒れているのは見習いメイドのハルカ様でございます。

「いや、身体強化は得意だけどね。この短期間で全部叩き込むのはマジ大変だったんだから‥‥。それにほいほいついてくるリア様も大概凄まじいんだけど。魔力量だけじゃなくて才能もスゴイね、イヤホント。」

それを聞いているナーラックご夫妻はうれしいような微妙なような顔をされております。

「まあ、でもよかったじゃない。大国の学園にいってもイジメられないわよこれだけ強いと。」

「いやまあイジメられはせんだろうけども‥‥。」

ハノイ様はテレジア様に向かってもごもごされております。

お二方も一緒に鍛錬した結果、身体強化を会得されておりました。

「ナーラック領の戦闘力がゴリゴリ上がっていくんだが、反逆疑われないか心配になってきた。」

「まあそこはエシオン様が如何にかしてくれるとおもいますよ。」

レンツ様はエシオン様のお友達ですので、信頼されております。

エシオン様とアイオイ様とは王都でお別れしております。晩餐会に御呼ばれして少しお話をしただけですが、国王陛下もなかなか良い方のようでした。

「レンツ。ヴィルのことでハードルがおかしくなってるんだと思うが、俺、男爵な? しかも平民上がりの。天と地ほど立場が違うんだからな? 王族なんて本来はお声がけも失礼千万だからな?」

「正直最近立場ってなんだろうっておもってました。」

「まあ、話を聞く限りそうよねぇ‥‥。」

テレジア様もため息をつかれます。


結局ナーラックの皆さまには、アステアラカの友好国が、自分の母国の隣だった。共通の知り合いが居るっぽいので手紙は渡したが情勢的に帰国は困難であった。アステアラカは親身になってくれて色々便宜を図ってくれることになっている。

とお伝えしております。

途中からかなり眉間にしわが寄っていらっしゃったので何となく嘘を見抜かれている気も致しますが、言えないという事は言わない方が良いということと判断されたのでしょう。聞かないふりをしていただいてております。皆さまとても人が良くて逆に心配になりますわ。


「まあ、アステアラカのバックアップがある以上何も言えんだろうけれども。調子に乗ったら暗殺者がダースで送られてくるかもしれないわよ。」

テレジア様がくぎを刺されます。

「まあ、そこら辺の暗殺者なら私が処分しときますけどねー。」

ハルカさまは手のひらをひらひらさせて笑っております。

「ナーラック領はラブアンドピースなので暗殺者はノーサンキューだ。OK?」

ハノイ様は真面目な顔でハルカ様に仰ります。

「りょ!」

「軽いなぁ‥‥。」

「最悪何かございましたら隷属の呪い重ね掛け致しますのでお気軽にお申し付けくださいませ。」

「私の呪いをお気軽に増やさないでもらえるとうれしいな!」

ハルカ様はじたばたされております。

「隷属の呪いも完璧ではありませんから仕方ございませんわね。」

「建付けが悪いドアの修理みたいなテンションは辞めてね。」

ハノイ様は渋い顔をされております。

「リア様のご入学までには形にして見せますわ。」

「ほどほどにね。」

ハルカ様も連日のリア様とのかけっこによって速度だけでは以前と遜色ないレベルまで回復されております。髪の色は結局戻りはしませんでしたが。

「髪の毛で言うなら、ショートヘアになって帰ってきたときは何があったかと心臓が止まるかと思ったぞ。実際何があったか聞いてもう1度止まりそうにはなったが。」

あれから実際さほど時間の経過も御座いませんので、髪の毛は短いままでございます。

「使用人達がまた10人ほど鼻血で病院送りになったのをみてビックリしたよね。」

レンツ様はそうおっしゃいます。

「独身男性のお前が平然としていることが俺は心配だよ。」

「そういわれましても。」

「まあ、レンツはレンツですから。」

「テレジア様まで。」

「だから護衛ができるのでしょう。」

「まあ、そうですね。頑張ります。」

どうにか1度に使える魔力量を増やそうと鍛錬中とのことでした。

「あ、そういえばリア様のデビュタント自体はいつなのですか?」

「来月だな。次の春から学園に通うことになるからそれくらいのタイミングだ。早すぎても忘れるだろ。」

「ああ、ついにリア様が学園へ! ばあやは心配でございます。」

きょとんとしているリア様をなでなでします。

「あはは、こそばい。」

「ヴィルさん。まだばあや設定気に入ってたの?」

「取りあえずメイドで私はついていくよー。」

ハルカ様は手を上げられます。

「ではそれまでに何物にも負けない力を手に入れてもらわねば‥‥。」

「え、ちょ、まって、私の人権を最大限尊重してもらえると嬉しいな!」

「とりあえず先のことはいいから目の前のデビュタントだ。で、だ、な!」

ハノイ様の目が血走っていらっしゃります。

何かあったのでしょうか。

「今回はな、なぜか、なぜかな、なぜだかわからないが、デビュタントはなんとアステアラカで行うことになってな!」

「ほう、それは珍しいのでしょうか?」

「なんで他国でやるんだよ。」

「それもそうでございますわね。」

「既に手紙が届いている。ナルクルとファストロット、マロカシュにはみちづ‥‥、まあ、一緒に行ってもらうように既にお願いしている。」

ハノイ様から剣呑な気配が立ち上がっております。

「ヴィル、お前のおかげでリアも大国の学園に行けそうだし、感謝自体はしてるんだぞ。ちょっと理解の範囲外なだけでな。」

ハノイ様に頭をなでられます。

「どうした?」

「‥‥人に撫でられるというものは、新鮮な気持ちでございます。」

幼少のころを思い出します。

お父様は元気にされているでしょうか。

「そうか。ただ変な男が撫でてきたら埋めとけよ。」

「もちろんでございます。」


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