表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/138

49 悪役令嬢と後始末の会

翌日、ラウンドの全員と国王、ヴィルとセントロメアの楽しい仲間たち+ハルカで会議となった。

前日のゴタゴタやら色々の話をすり合わせである。

「つまり何ですかな。アステアラカは実質ヴィルヘルミーナ様の支配下になったと考えてよろしいのですかな?」

マルチアは眉間にしわを寄せて首をひねる。

「わしはもう発言権は無いので好きにしてくれればよい。」

カルシタンはぐったりした顔でそう言う。

「父上!」

カルネイルは声を上げるが、国王は投げやり状態だ。

「上下関係はあるはあるが、厳密には協力体制だぞ。やる気ねえなら次代に譲れ。」

レムはそうはき捨てる。

レム自体はめんどくさがり屋なので、面倒ごとの種になりそうな拗ねた老人はとっとと排除したい。

「結局紫の。お主そんな顔じゃったんだな。変身するとどうなるんじゃ?」

他のラウンドからイジられる紫のウェアウルフ(現在人間形態

「ホレ、ちょっと変身してみせてみぃ。」

「このジジィとババァ‥‥。」

紫はピキピキだ。

「あー、てめえらちょっと黙れ。」

バーロットは威圧で騒ぐ高齢者を黙らせる。

「急にびっくりするじゃろうが。お主と違ってわしらの心臓は繊細なんじゃぞ。」

「幼児みたいな騒ぎ方しおってからに。御客人が一言もしゃべれてないだろうがよ。」

「あー、発言を良いか?」

エシオンは手を上げる。

「どうぞ。」

マルチアは手を差し伸べる。

「ヴィル殿とも色々と相談はしたのだが、我々は別に侵略したいわけでも何でもない。よってアステアラカには従来以上のかかわりはしない。ただ、ヴィル殿の実家関連のみは出来れば優先して連絡等していただきたい位だ。」

「欲のない話だが良いのか?」

カルネイルは尋ねる。お互い王子としての立場から本来は言ってはいけない一言ではあるが恩人であるために口を出してしまった。

「セントロメアのような小国には手に余る話で。まあ、あえて言うなら不干渉というよりは友人のような立場になれればと思う。」

「うむ、我々はある意味同じ秘密を有する仲間だからな。」

「あー、一応言っておくがコレマジで最高機密だからな。情報ばらまいたら最悪国を滅ぼすことになっちまうからな。ほんとマジで気を付けてくれよ。」

レムはいやそうな顔をする。

「という事だ。よって国益のために動くこと自体が国益を損なうと判断している。」

エシオンはそう言う。

「まあ、私も国が亡ぶことは本意ではないのですが、正直遥か昔からそれでやってきて安定している社会をひっくり返すほどの義が今のところなさそうですもので。」

ヴィルはそういって軽く首をすくめる。

「情報が広まると下手をしたら人魔大戦が起こるでしょう。」

「そうだな。一つだけ質問を良いか? レム殿の国ではユーズゥ殿はどれほどの強さに当たるのだ?」

エシオンは尋ねる。

「魔獣と魔人が同じ尺度では語れないが、まあ、こっちで言うB+位か。」

「なるほどねぇ‥‥。」

バーロットは顎をなでながら考える。

「人口はどんなもんなんだ?」

「こっちの3大大国合わせた位か。といってもゲーキだけで言うとだけどな。フェンガル以上になるとわからん。」

「なるほどなあ。勝てねえなこりゃ。」

バーロットはため息をついて背もたれにもたれる。

「昔の人間たちはどうやって抵抗してたんだか。」

「捕まえた魔獣と混ぜたりとかかなり非人道的なことをしてたらしいとは聞いてるが詳しくは知らねえ。」

レムはいやそうな顔をする。

「なりふり構ってなかった時代か‥‥。平和な現代には相容れぬな。」

カルネイルはため息をつく。

「ところで、だ。あー、おれからも質問いいか?」

バーロットは言いにくそうにする。

「お前ら結局何なんだ?」

お前らとは、エシオン、アイオイ、レンツの人外3人組である。

「実は遠くから見てたんだけどよ。いや、ついたときには大概終わってたんだが、お前ら、結局魔族なのか?」

「えっと‥‥。」

アイオイは言い淀む。

「正直何でも無さそうなんだよね。人間かといわれると多分もう違う気はするんだけど、魔族でもない、でしょう?」

レンツはレムを見る。

「ああ。魔族ではないな。とはいえエシオン?だったか? お前らには薄く魔族の血が入っているから絶対ちがう訳ではないが‥‥、というと魔族の定義自体が難しいが、まあ、俺らの同類ではない。」

「我々は、暫定的に亜魔人という名を付けている。」

エシオンは昨日相談したことを口にする。

「私ももう聖女ではないのかもしれません。ただ、聖女の力は使えますが、以前と異なって、聖女の力と魔力の両方が混ざったような不思議な状態です。」

アイオイはそう言う。

「この魔力は使い切ったら無くなるタイプでもなさそうで、多分生命体として別のものに作り替えられている感じです。恐らく尋常ではない魔力を聖女の力で変質させた結果だとは思うのですが‥‥。」

「再現実験するにも私の髪の毛も短くなってしまいましたし。恐らく一歩間違えていれば知能のない魔物になっていたでしょう。」

「そんな感じだったの!?」

「今思うとでございますが。」

3人は真っ青な顔をする。

「まあ、もう安定しているようだから大丈夫だと思うぞ。」

レムが助け舟を出す。

「一応おれの仕事はもう終わって、ユーズゥに代わりのクラーケンひっ捕まえて来てもらって契約も終わってる。思ったより早くケリがついたのであとは本国に報告するだけなんだが、亜魔人についても一応報告せざるを得ないのは‥‥お許しください。不利益が無いように致します。」

レムはヴィルに頭を下げる。

「ただ、要らぬ諍いの素になる可能性は否定はできませんわね。では一つ命令です。今から見せる魔力よりも強い魔力を持っている人になら話してもよいとしましょう。であれば信憑性も強いでしょうし。」

「と言いますと?」

「魔力を貯める宝石はお持ちですか?」

「一応、此方になっております。」

魔力を使うものが、魔力を枯渇するほど使うときに一時的に補給するため、自他の魔力を補完する装飾品がある。

レムは白い宝石のついた指輪をヴィルに差し出す。

「綺麗な真珠ですわね。」

ヴィルは手のひらに真珠を握り込み、手に魔力を集める。

「少々失礼。」

グッと力を入れた瞬間、部屋の中の重力が倍になったような感覚が皆を襲う。

「グッ‥‥! 敵意のない魔力だけでコレ‥‥だと!?」

バーロットが真っ青な顔でヴィルを見る。

全員顔面蒼白になっている。

ふっと圧が消えると、ヴィルは手のひらの指輪をレムに渡す。

「これを見ればわかる人はわかるでしょう。」

先ほどまで小ぶりな白い真珠が、禍々しいボコボコした黒真珠に代わっていた。何やら怨嗟の空耳すら聞こえてきそうなレべルであった。

「‥‥呪われませんよね?」

レムはおずおずと尋ねる。

「下手に魔力を使おうとすると吹っ飛ぶかもしれませんのでご注意下されば。」

「‥‥了解いたしました。」

レムはハンカチに包んで胸にしまう。

「後ほど厳重に封印して先に本国に送らせていただきます。」

「これで話が通じやすくなればよろしいのですが。」

「十二分かと。」

レムは深々と頭を下げる。

「ヴィルヘルミーナ様はこれから如何されますか? ご要望があれば王宮に一室を設けることは可能ですし、お時間さえいただければ一等地に出来るだけ大きな屋敷をご用意いたしますが。本国への定期便はどうしても認証が無いと難しいものでして‥‥。」

レムは尋ねる。

「一旦ナーラックへ帰ろうかと思っております。リア様のお顔も見たいですし、ハノイ様へのご報告も未だでございますからね。」

「アリサ達がある程度伝えてはいるだろうけど、直接聞かないと意味不明だろうし、言える話や言えない話があるだろうからねえ。」

「取りあえずは、ゲーキという国名は秘されているのですか?」

「何とも言えない所ですね。我々の存在自体がある程度秘匿されておりますもので。」

「ではベルクートアブルの隣国という事に致しましょう。其方の方と連絡が取れてはいるけれど、国交自体が断絶気味で連絡が届くか微妙なところという事にしておきましょう。」

「神々を超えし神の住まう国と隣国とは畏れ多くて死にそうでございますが、仰せのままに。」

「ちなみに皆さまのゲーキとはどちらにあるのですか?」

「皆様が到達不能海域と言われている場所です。流されてもたどり着かないような海流に囲まれておりますのと、常に周囲を水龍達が3交代制で守っておりますのでまかり間違っても到達は出来ないようになっております。」

「そりゃあ無理だなぁ。」

バーロットは頭をかく。

「皆さまはどうやってこちらへ?」

「風龍達が引く空の馬車のようなものがございます。それに隠蔽の魔術をかけております。」

「なるほど。いままで魔族以外が其方に向かったことはありますの?」

「観光や政治的な用向きではほぼ0かと。ハルカのように訓練のために連れていく場合は稀にあるくらいでしょうか。結界がありますので魔族や魔獣以外は弾かれますもので。」

「無茶苦茶厳重じゃねえか。というかそんなにペラペラ喋っていいのか?」

バーロットはもっともな疑問を呈する。

「フェンガルの方ですら神々扱いなのに、それ以上の方相手に何を渋るってんだよ。」

レムはいやそうな顔をしてバーロットを睨む。

「お前目の前に創造神様が出てきて、ちょっと気になる事があるから知ってることをしゃべってって言われて、喋らないつもりなのか?」

「なるほど、よく理解いたしました。」

マルチアは大きくうなずく。

「ヴィルヘルミーナ様は創造神様と直接対話が可能な稀有な方でございます。その扱いは間違いないでしょう。」

「やはり神々を超えた神なのですね!!。」

レムの目がキラキラして大変なことになっている。

「半分記憶が飛んでいるので何ともでございますが。ちなみにわたくし、本国ベルクートアブルで恐らく暗殺‥‥未遂になっておりまして、下手に動くとあなた方も狙われる可能性があるのですが。」

未遂ではなく恐らく完遂ではあるのだが、話すと蛇足にしかなら無さそうではあるのでぼやかしておく。

「ですが、お父上は味方なのでしょう。そこに渡りをつけることさえできれば、それ以上はいずれにしても私程度の者では手を出すレベルには御座いませんかと‥‥。」

「まあ、無理のない範囲でおねがいいたします。」

「かしこまりました。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ