37 悪役令嬢は今回はオマケ
「ああー、気が重い‥‥!」
巨大な神殿の前ではぁーとアイオイはため息をつく。
「アイオイ様、もうここはアステアラカですよ。ビシっとしてください。」
侍女の姿に変わったハルカはこっそりと呟く。
ハルカも今はお仕事モードだ。
「有難うございます。聖女らしく行きましょう。」
ぐっ、と力をこめて、神殿の中に入っていく。
「それは聖女というより討ち入りでございます。」
ハルカがそれを追って入っていく。
ちなみに今は2人だけで、残りは別行動だ。
なおなぜ二人が此方に居るかというと、マルチアの屋敷に行くと、本人は仕事で此方に居るとのことで向かってきたわけである。
「これはアイオイ様、よくぞお帰りくださいました。」
中央の大本尊前に来ると、赤いローブの男が笑顔で手を広げた。
「お久しぶりです。マルチア様もご健勝のこととお慶び申し上げます。」
アイオイは頭を下げる。
「このような堅苦しい挨拶はこれくらいにいたしましょうか。美味しいお茶があるのですよ、此方へどうぞ。」
笑顔で私室の方へ手をすっと動かす。
「いえ、皆を待たせておりまして。」
「年のせいか少し耳が遠くなりました。何かございましたか?」
マルチアは笑顔でアイオイに話しかける。
「イエイエ、アリガタクゴショウバンニアズカリマスゥ‥‥。」
「では、ハルカ様も此方へどうぞ。」
「いえ、わ「此方へ」ハイー。」
ゴオンガアン!! と金床をハンマーで叩いたような音が2回する
「ぐええ。」「あぎゃあ!。」
アイオイとハルカは頭から煙を出して床に突っ伏す。
「手紙一つで飛び出すとは、私の教育が足りてなかったようですね。」
「いえ十分足りております!!。」
アイオイは飛び起きて正座をする。
ハルカも涙目ですっと後ろに控える。
「大聖女と比べて自らの力の足りなさに気づくのは良いですが、現場で鍛えるにしても限度があるでしょう。時間が無いとはいえマンティコアは貴方の力ではギリギリか下手をしたら命が危うかったのでは。」
「ご存じの通りかと。」
眉間にしわをよせるアイオイ。
「私は複数のルートから事実を確認するのが趣味でして。実はハルカもこっそりついて行ってもらっていたんですよ。」
「ええ!?」
「実は私エシオン様の部隊に居たんですよ。気づかなかったですか?」
「気づかなかった‥‥。」
「ハルカはラウンド直属ですからね。私のというわけではないですが。」
「個には属さないのがカゲの宿命というものですね。所でなぜ私は殴られて‥‥?」
「クラーケンで後手に回ったでしょう。下手をしたら外交問題になってましたよ。」
「申し開きも御座いません。ただアレちょっと私の手には‥‥。」
「申し開きは?」
「御座いません!!。」
「よろしい。」
マルチアは笑顔で頷く。
「ちなみに本音は?」
そーっと尋ねるハルカ
「貸しの1つくらい作れないような無能なら魚のえさにしますよ。」
「ヒィィ。」
「あのぉ、ところで内緒の話があるのでは?」
「ほう! アイオイもついにやっと多少話の流れが分かるようになったのですね。人の形をとった猪だと思っておりましたが、牙ウサギくらいに格上げしてあげましょう。」
「欠片もうれしくないです。」
「あなたたちに仕事があります。1つ、ヴィルとやらの情報、1つ、ハルカにはある人物を探ってもらいたい、最後の1つは土産話を聞かせてもらうくらいですかね。」
「まあ、個人情報とプライバシーに配慮した内容でしたら。どうせ伝わるから変に伝わるよりは。」
アイオイは渋い顔をする。
「ちなみにある人物とは?」
「2人居る。1人は今王が対応している男ですね。レムという若い男でユーズゥという初老の執事を連れている。なぜか人払いをしている。ちなみに私はその男の顔も名前も今まで聞いたことも見たこともなかったんですよ。」
「そりゃ怪しいですね。隠し子ですか?」
「それを調べるのがハルカ、お前の仕事です。」
「ちなみにもう1人は?」
「紫のが最近臥せっているようです。ついでに調べておいてください。まあよくあるサボリだとおもいますが。」
「仮病なんていつもの事じゃないですか。」
「嫌な予感がするので念のためです。」
マルチアは真面目な顔をする。
「承知。ちなみにいつから?」
「今からだ。」
「では後ほど。」
ハルカはすうっと天井まで飛び上がると窓から外に消えていった。
「ちなみに私は?」
「ヴィルとやらの話を聞きながらどれだけ成長したか見せてもらいましょう。」
「ヒイイ。」
「はて、なにやら遠くの方で鐘の音‥‥? 岩を叩くような音がいたしますね。」
どうもお久しぶりですヴィルでございます。
今はアイオイ様とハルカ様と分かれ、ホテルに向かっている最中でございます。
エシオン様がアイオイ様の護衛を申し出られておりましたが、ハルカ様に一蹴されておりました。なにやらハルカ様は楽しそうに笑っておられましたが何か他の思惑があるのかもいたしませんわね。
「ヴィル殿、なにか鍛冶屋の音など聞こえるのか?」
「ゴーン、ドーンみたいな音がしておりましたが、‥‥もう静かになりましたわ。気のせいかもいたしませんね。」
「ところで俺らはどうする感じ?」
「荷物を置いてチェックインしたら夕食にしよう。それが終われば明日の謁見のに向けての準備をして、早めに寝ておくのが良いだろうな。」
「お土産等買う時間はありますでしょうか?」
「夜ならあるとは思うが、正直おぬしらのトラブル体質を考えると明日のイベントが終わるまでは部屋から一歩も出ないでおいてほしいというのが正直な気持ちだ。」
「私たちなにかいままでいたしましたか?」
はて、特に何も思い当たることがございません。
「そもそもここに来た理由を忘れてない?」
「不可抗力でございます。」




