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34 悪役令嬢 アステアラカなう

アステアラカの王城にて


円卓を囲んでジジイとババアと一人だけ若い男が顔を突き合わせている。

「そう言えばそろそろか? セントロメアからなんぞ来ると言うのは。」

「まさかの神託じゃからな。当初は敵が襲ってくるかと戦々恐々しておったがなんのことはない、田舎の小娘が来るだけとは。」

「だから言ったではないですか。そのように危機感のあるお言葉ではなかったと。」

赤いローブを着た男がため息をつく。

アステアラカ王国の大神官の1人だ。

「お主以外輝くご本尊となんだかよくわからない雑音しか聞こえなかったから仕方ないではないか。」

「聖女の力に比例して聞き取りやすいのかもしれんな。わしは多少聞こえたぞ。うらやましかろう。」

「わしも多少聞こえたぞ。歴史的な偉業じゃろうて。」

「王家の血を引いておるのだから多少は聖女の力はあるんじゃろうて。」

「ところで紫のは今日もおらんのか?」

「元々大して参加もせんじゃろ。引きこもりじゃろて。」

「で結局どうするつもりじゃ?」

「特に敵というわけでもないのであろう。普通に国賓扱いすれば良いのではないか?」

「向こうの第3皇子もついているようじゃし。アイオイ殿もついてきておるようだぞ。良かったな赤の。」

「孫の顔が見れてうれしいじゃろ。」

「いや、後見人なだけで、家族はおらんが。まあ、珍しく分かりやす‥‥良い子ですよ?」

「あの娘は腹芸は無理じゃな。」

「そういえば国王には伝えるのか?」

「いや、父上はなにやら忙しいとかで引きこもっておる。なにやら焦っている様子ではあったが。」

「まあ、他の国との折衝もあるじゃろう。まあ、あとは本人が来てから聞けばよい。」


ということでお久しぶりですヴィルでございます。

長い船旅を終え、ようやくアステアラカの港町に到着いたしました。

ここから首都まではまた馬車でしばらくとのことですが、舗装もされているとのことでそこそこの速度で到着するとのことでした。

ありがたいことにすでに用意されているとのことでした。

「港町ですが、なかなか発展しておりますね。セントロメアのドルックス位はありそうですね。ドレスを頂いたのが懐かしい思い出でございます。」

「そんなこともあったね。リア様元気かな。」

「いつでも元気なのがリア様でございます。元気がなくなるときは世界が終わるときでございます。」

「終わらせないでね?」

レンツ様のツッコミが入ったところで、アイオイ様とエシオン様が来られます。

「船旅で疲れも出ただろう。2泊ほど此方でして、その間に用意をしてから首都のアラタに向かう。ある程度栄養の偏りは無いようにはしていたが、念のためだな。」

「アステアラカの首都でアラタって安直よねー。」

アイオイ様は首をすくめます。

「建国の戦士がアラタって名前らしいよ。」

レンツ様がいつの間にか持っていたパンフレットを見ておっしゃいます。

どうやら食事処が乗っているとのこと。

「聞きなれない名前ですねそれ。もともとどこの国の人なんだろ。」

「アステアラカ自体千年以上の歴史があるからはっきりしないんだが、一説には創造神の眷属だとか。」

「壮大なお話ですわね。王族の方々もなにかすごい御力が使えたりするのでしょうか?」

「俺が知る限りは無いな。大国らしく魔力はかなり強いがそれだけだ。おぬしのような意味不明な力は持っておらぬ。」

「私も鋭意精査に努めようとは思うのですが。」

「ヴィル姉がへたなことをすると町が吹っ飛びそうな気がするからなるべくやめようね。」

アイオイ様が真顔で掴んでこられるのでレンツ様と同じレベルで安静にしておりました。

「かような形で御座いまして。」

「‥‥まあ、聖女の力は聖女に聞くのが‥‥よかろう‥‥。」

歯切れ悪く明後日を向いてそうつぶやいておられます。

「まあ取りあえずお風呂入りましょう。潮風で流石に髪が傷んで‥‥無い! 全く無い!、これが聖女の力‥‥!?」

レンツ様が自分の髪の毛と比べております。

「日焼けも潮風も私には効かないもんね、フフフ。」

「便利な体ですねー。」

「体質って言ってくれる?」


とはいえ、ベタベタ感自体はございますので、一旦宿で汗を流し、着替えて夕食を取ることにいたしました。


「ふむふむ、此方はやはり海沿いという事で海産物が多めですね。此方は海藻でしょうか。わかめ‥‥? 見たことのないキラキラしたお魚が多くて私わくわくいたしております。」

「やっぱりヴィル姉って食事の時は人格変わるよね。」

「さようでございましょうか。食は人生の基本でございますゆえ。」

「まあ、とりあえず食べながら話にしよう。ふむ、このパンも悪くない。チーズが練り込んであるのか。」

エシオン様も興味津々でございます。

「一応外交だからな。持って帰れる情報があれば持って帰るのが末席とはいえ王族の務めだ。胡散臭い目で見るのはやめろ。」

「正直に生きるのも良いと思いますわ。私最近はとてもそう思っております。」

「ヴィルさんは正直すぎるきもするけれど。あ、でもこのパン美味しいね。」

「食うや食わずだった時代やら、野営とかあったから屋根のある場所でご飯が食べれるだけで私は幸せです。このスープもおいしい! なんだろー。」

アイオイ様のちょっとどうかと思う幸せラインについては皆さま口をつぐんでいるようでございます。

「ちょっと辛目の味付けでしょうか。寒い地域はそういう事が多いと聞いた記憶がございます。」

「やはり熱いスープを辛目にして、チーズを入れる、大正義でございますわね。」

「だいせい‥??」

「そういえば話って何か気にすることってあります?」

レンツ様が尋ねられます。

「あまりないな。粗相をしないくらいだ。」

「ところでアステアラカに向かった理由とは何でございました?」

「ヴィルさん。創造神様が言伝してくださってるのまさか忘れて‥‥。」

「船の旅を満喫しすぎたせいか失念しておりました。」

「とりあえずラウンドの文字が付く貴族に連絡はつけてくれているらしい。」

「ラウンドとは?」

「王に話を持っていく前に最終的に話し合う大貴族達のことだ。円卓で話し合ってるらしいのでラウンドの名がついている。」

「なるほど。」

「まあようは明日は3大大国の中でもかなりの要人に会うぞって話だ。」

「俺平民なんだけどねぇ‥‥。」

「私も元平民だよ。」

アイオイ様はポンポンとレンツ様の肩をたたきます

「アイオイ様は今はもう准王族ではないですか。あとレンツ。Sランクまで上がれば一応どこの国でも一代限りだが貴族位はもらえるぞ。ただ国の出しているSランク案件を複数クリアするとかいろいろややこしいが。だが魔力無しでそこまで鍛え上げたお主なら無理ではないかもしれんな。」

「そうなんだ。頑張ってみようかなー。」

「首都には辺境では見たことないような性能の武器が置いてあったりするから、時間があれば見て回るとよい。」

「そこまでタイトなスケジュールではないのでしょうか?」

「というより先が見えんな。普通なら数時間程度会話して要件を聞いて持ち帰る程度だが、一体何がどうなるやら。」

「ではなおさら食べれるときに食べておいた方がよろしいですわね。」

「ヴィルさんはブレないなぁ。」


そんなこんなで美味しく晩御飯をいただき、その日は早めに就寝いたしました。

新しい場所でワクワクはしておりましたが、流石に船の疲れが出ていたのか、ぐっすり眠ってしまいました。


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