33 悪役令嬢と悪役男爵?
お久しぶりですヴィルで御座います。
現在アステアラカへの船旅の途中でございます。といっても、もう数日で到着するとのことですが。
日の高いうちはエシオン様やアイオイ様、レンツ様が訓練がてら体を動かしていらっしゃいます。
私はそこまで体を動かすのが得意ではないのと、また破壊してはなんですので離れたところで応援させていただいております。
船員の方々も優しく、コップが空いたらすぐに飲み物を持ってきてくださる気の使いようで申し訳なくなりますわね。わざわざ貴重な氷も使ってくださっています。
「あの満面の笑顔でパシリしてるのって副船長じゃない?」
「ですね。海の男の中の男と言われた硬派な彼が二目と見れないことになっております。」
「そんなガチガチな人には見えなかったですけどね‥‥。ヴィルさんの食の好みとかむっちゃ聞かれた。」
「春来る‥‥か‥‥。」
「間違いなくヴィル姉は親切なおっさんとしか思ってないわよ。」
「春は遠いですね。」
「ヴィルさんとは再戦しないの?」
「本人があまり戦うのは好きではなさそうなのと、力の差があり過ぎて参考にならん。ドラゴンをみて戦い方の参考になるか?」
「ならないよねぇ。」
「ヴィル姉って私の上位互換かとおもいきやそうでもないんだよね。」
「おそらく一通りは武器の扱いを学んだ動きでした。」
「ナーラックではリア様のメイドをしている姿しかみてないから謎ですね。戦えると思ってないと思いますよ誰も。Sランクって言ってましたけど。」
「自称だが攻撃が苦手でSランクならば、恐らくフィジカルか。クラーケンの直撃でも傷一つなかったしな。」
「勇者とかそんな感じみたいね。メトスレ大司教も勇者としては下位だけど、もう動く鉄って感じだし。模擬の剣とか回し蹴りで折りまくってたよ。大概人間やめてるよね。」
「それでも人魔大戦の時よりは弱いとのことです。まあ全身鉄より硬い鱗のドラゴンみたいな凶悪な魔物と正面切って戦うならあれでは足りぬとのことでした。」
「あのバカでかいクラーケンも、昔はわりとよく居たサイズってきいて今の時代に生まれたのを神に感謝したよ。ナーラックはまだ平和だね。」
「でも実際じわじわ魔物が強くなってきてるみたいで、このペースだと数百年後には最盛期レベルになるのではとかいう試算があるみたい。」
「あのー、少しよろしいでしょうか?」
何やら気になるお話をしていたので割り込ませていただきます。
「何か気になる点でもあった?」
「私、魔力の増加、と認識していたのですが、ひょっとして単に元に戻っているだけで、むしろこの何百年かがなにかの理由で魔力といいますか、魔素が低い状態だったのでは?」
私の一言に、3人とも難しい顔をされます。
「ヴィル姉‥‥それは‥‥確かに‥‥。」
「魔族を倒して、それから低くなってるんだっけ? だとしたら魔族が復活してる‥‥?」
「それは3た論法だ。少なくとも魔物が増えた以外の報告はない。ただ、興味深い話だな。国に文を出しておくか。」
「魔族がそんな世界の魔素を動かすレベルなら人類は今頃滅んでるよね。私達が今こうしてるのが無事な証かなー。」
「そのとおりですね。ただ、何となく引っかかるな‥‥。」
エシオン様は渋い顔をされています。
その頃遠くの何処か
「えー、マジで? どんだけひ弱なんだよ。」
「外の者はそんなものでしょう。所詮混ぜ物でございます。」
「限度があるくない?」
「人材はどこもたりてませんゆえ。魔力は低いものの分析は優秀でしたからな。」
「それでコレなら世話ないじゃん。」
「ですので若様が例外的にお呼ばれしたのでしょう。」
「こんなの平民の仕事だろー。仮にも男爵の出番かよー。」
「国の外に出るめったにない機会ですぞ。」
「罪人扱いじゃん。」
「まあ、昨日の舞踏会での粗相が原因でしょうな。」
「ちぇー。しょうが無い。さっさと仕事を終えて降任に任せよう。」
「その意気でございます。」




