1 悪役令嬢はテンプレをなぞりたい
この世に神も仏もいないと思ったら居たが挙動不審な件について。
「えっと、可愛そうだから転生させてあげるよ!しかも同じ世界!丁度、そう丁度良い人間‥‥?がいるんだよね!魂がなくなってるやつ!」
「話が早すぎて訳がわからないので説明を要求しますわ」
ことの始まりは、私 ローゼンアイアンメイデン公爵家長女ヴィルヘルミーナ17歳が謀殺されたのが始まり。
私は小説なども嗜みますので、よくある悪役令嬢ざまあもの等も読んでおります。市民街からわざわざ取り寄せております。貴族街で売るようなものではありませんし。
なので、あまり出しゃばらず、いわゆるヘイトを買うような事もせず粛々と生活をしておりましたが、生まれというものは如何ともすることは出来なかったようで、第1王子との婚約発表と同時に謀殺されたようです。
ようですというのは正直記憶が曖昧です。
「それは肉体的ショックで記憶のバックアップに不具合が出てるんだよね。人口も増えたから間隔伸ばさないとフリーズしちゃうんだよ。って前の担当が言ってた。」
とのことです。日記を書く頻度のようなものかしら?
兎も角、若い身空で儚く散った私ですが、目の前の若干目が泳いでる神様のようなもの?の温情?で第2の生を与えていただけるようです。
「第2というかガワが変わるだけだよー。タイムラグもほぼなしかな。ただちょっと国をかなりまたぐ感じになるのでそこだけは勘弁してね。」
「ガワが何かよくわかりませんが赤ん坊のまま荒野に放り出されるとかですと2日程でこちらに戻ることになりそうなのですが。」
「いやいや、大丈夫! 肉体年齢?は同じ?くらいの女の子?だよ!」
「‥‥先程から引っかかる感じのイントネーションが多いのは私の気の所為でしょうか?」
「‥‥ああ!もう時間がない! 他になにか聞いておきたいことはある?」
「本一冊分くらい聞きたいことはあるのですが、とりあえず現世からこちらに連絡する手段などありますか?」
「うーん、大神殿の本尊で祈りまくったらとどくかも?? 最近ノイズが多くてなかなか届かないんだよね‥‥。ああ、じゃあ良い現世ライフを!」
その瞬間すべての感覚が曖昧になり
そして、真夜中の荒野で素っ裸で放り出されました。春とはいえ風が身に沁みますわね。
普通こういう場合は服くらいは、特に女性は出すものではないのでしょうか。
機会があれば本尊を一度くらいは破壊しても許される気がしますわね。
腰に手を当ててそう思いました。