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3_21 真・悪役令嬢 VS 元凶

『うわっ! またエラーが。』

空に巨大な影が浮かんだかと思うと、人の姿を取る。

「創造神‥‥。」

ヴィルは小さくつぶやいた。

『他の世界もあるのにこの世界は全く‥‥。ああー、魔王が完全に消えると困るんだよねぇ‥‥。今のシステムだと完全にフリーズしちゃう。修復しないと。ええと‥‥。』

創造神はゆっくり魔王に手を伸ばそうとして

その手をヴィルが殴り飛ばした。

『いった!!! えええ!!!??!??』

ぎょっとした創造神はヴィルと目が合う。

『え!? なんで!? 時間止めているのに動けるの!?』

「知ったこっちゃないわよ。あなた今の経過見てたの?」

『見てないよ。こっちも忙しいんだから‥‥。いやそんなことより‥‥。』

「あぁ?」

『ヒエッ! た‥‥ただこの世界は魔王と勇者が戦わないと魔力が増えすぎて滅びちゃうんだよ。ただでさえわけの分らないエラーがいっぱい出てるのに‥‥。なんで異世界の血を引く人がこんなにいっぱいいるんだよ。』

「あなたのせいでしょうが‥‥。」

ヴィルは余りの怒りで目の前が真っ赤になった。

物理的にも炎を纏って、修羅の形相になっている。

ゆらゆらとたなびく髪の毛が最早地獄そのものであった。

『ひえっ‥‥! いやだって! 君を転生させたのが最初なんだよ! それまでは前任者だったんだけど失踪してこっちも困ってるんだよ‥‥。』

「それはご愁傷様。でもあなたの都合なんてどうでもいいのよ。話を聞きなさい。どこかのゴミカスみたいな創造神のせいでいたいけな少女が数千年も悲惨な目にあって、それを今何とかしたところなの。魔王を復活させたらすべてが水の泡なのよ。」

『いやでも‥‥。』

「でも?」

『世界を維持しないと‥‥そのためには‥‥。』

「仕方ないわね。」

『え? あ、うん、そうだよね。』

「こういう時はどうするか分かってるわね?」

ヴィルは全身に魔力を漲らせると、その体はどんどん大きくなる。

『エ・・ええええ!?』

そして創造神と同じサイズになった。

むしろヴィルのほうがちょっと大きい。

「歯を食いしばりなさい。」

『え?』

何を言われたのか理解できない創造神。

「この‥‥カスが!!!!」

『ギャッ!!!』

創造神の顔面にヴィルの拳がめり込んだ。

創造神は鼻血をだらだらたらしながら転げ回る。

『ぐ‥‥!! なんで攻撃が通じるの!? 位階を超えた攻撃は出来ないはずなのに!!』

創造神は涙と鼻血をまき散らしながらヴィルを恐怖の顔で見る。

「やはりね。祈ったときにあなたが頭痛を起こしたのを見て思ってたのよ。私の攻撃は通じるんじゃないかって。」

拳の感触を確かめて、右手をワキワキするヴィル。

『なんでそんなことに‥‥。』

「魔王の存在のせいでしょう。そもそもとりついた生物を恐らく一つ上のランクの生命体にするのが魔王の能力なんでしょう。そうじゃないとたいして強くないままでしょうし。」

『そうだけど‥‥それが‥‥?』

「どうせ魔王のシステム自体ベルクートアブルが封印されてから作ったんでしょうけれど、ベルクートアブルは亜神なのよ。ランクが上がれば同格になるにきまってるでしょ。そもそも封印が解けると思ってなかったからのザルシステムなんでしょうけどね。前任者はよっぽどカスだったんでしょうね。」

『え、ということは‥‥?』

「私がベルクートアブルに不相応な魔力を得たのも、そのせいでお母さまが亡くなったのも全部お前らのせいってことよ。」

ヴィルの顔からすとんと感情のすべてが抜け落ちる。

それは今までの睨みつけるような顔の100倍恐怖であった。

「前歯全部へし折ってやるからそこに正座しろ。」

『ぐっ、そんな八つ当たりみたいな‥‥!?』

創造神はずりずりと後ろに逃げようとする。

「前任者が居ないなら誰にこの怒りをぶつければいいかってなったらお前しかいないだろうが!!!」

軽くジャンプして、創造神に飛び蹴りを叩きこむヴィル。

見た目はそうでもないが、実際の地上換算では測定もできない破壊力である。

『ぎゃあ!』

痛みに弱いのか転がりまわって涙を流す創造神。

「とはいえ、多分前任者はそれ相応の報いを受けてるだろうからまあ、許してやっても良い。多少あなたのおかげで助かったこともあったことだし。」

頭をぐりぐりと足で踏みつけるヴィル。

『うぐぐ、理不尽な‥‥。ぐえっ。』

蹴られた鳩尾を押さえてゲロゲロ何かを吐きながらヴィルのほうを涙目で見る創造神。

「まあ今ので力関係もわかったわね、ほら。」

ヴィルが指を鳴らすと、創造神の首が光った。

『え?』

「隷属の呪いよ。大好きでしょ?」

『ええええ!!!!!』

創造神は首を押さえて驚愕する。

何か呪文を次から次へと唱えていたが、全部首の光に弾かれているようであった。

『管理者権限が奪われた‥‥。』

がっくりと項垂れる創造神。

「主従関係は分かったかしら?」

『うっ‥‥。』

「さて、今からは譲歩のお時間よ。」

ヴィルは指を鳴らすと、巨大な椅子が現れた。

そこにゆっくり座って、足を組み、にこりと笑う。

「お互いWin-Winな関係が良いでしょう? 私は些事は嫌いなの。」

虚空からティーカップを取り出し、一口のんで笑顔を向けるヴィル。

それを見て震え上がる創造神。


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