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3_6 悪役令嬢とラスボス?

ヴィルとドップネスはフェンガルを吹き飛ばしながら殴り合いをする。

その一撃、一撃は掠るだけでゲーキの貴族程度であれば死ぬレベル。

『貴様、本当にベルクートアブルの者なのだな! 信じられぬ力だ!』

ドップネスはヴィルの手を取って、ひねって投げようとする。

ヴィルは自分で地面をけり、空中でドップネスの顔面を蹴って逃れる。

「身の程を弁えよ下郎が。」

ヴィルの右手から放たれる光線をドップネスは手で弾く。

『早く殺さないとナーラックが滅びるかもな。』

「殺す。」

ヴィルがとびかかろうとした瞬間、レンツが後ろからヴィルにタックルをする。

「!?」

「ヒエェ‥‥。」

ヴィルの頭の上スレスレを黒い光線が貫いていた。

『下手くそめ。』

ドップネスの視線の先にはガクガクと震えるエマ所長。

その手には煙を上げる機械が有った。

「す‥‥すみません!」

『まあ、上手くいけば御の字という奴ではあったが。では本来の作戦に戻るぞ。エマ。』

ドップネスがエマに視線を送ると、エマは手元のコンソールで数字をいじる。

「現在30%です。45%まで上げます!」

『グッ‥‥、まだ行けるな‥‥。50%まで上げろ。』

「はっ!」

と、目を下げたエマの前でドゴン!と衝撃波が走る。

『遅いな。』

標的をエマにしたヴィルの右手をドップネスが止めていた。

ゴッ!とヴィルを蹴り飛ばす。

ヴィルは吹き飛びながら爆発を起こしてエマを吹っ飛ばす。

「ぐえっ!」

『チッ、しぶとい‥‥。』

吹っ飛んできたヴィルを受け止めるレンツ。

「上がった血は下がった?」

「些少ですが。」

「作戦は?」

「有りませんわ。」

「俺とレンツが左右から陽動、正面からヴィルヘルミーナ様。宜しいか?」

真っ青な顔のライネイがそうつぶやく。

「魔力は?」

「素寒貧ですな。」

「まあどちらにしろ一発勝負で。」

レンツは頷く。

「承知いたしました。では、参る!」

左右に散会したレンツとライネイを見て一瞬止まるドップネス。

『小癪な!』

両手から炎を出して牽制をする。

レンツはそれを切り裂き、ライネイは力づくで突破する。

「止まれ!」

レンツとライネイの剣がドップネスの足を貫き大地に縫い留める。

『ぬっ!?』

「死ねっ!!」

ヴィルの右こぶしがドップネスの顔面を打ち抜く。

『ガアッ‥‥!?』

ドップネスは白目をむくと、膝を付いてドスっと倒れる。

「さすがに疲れました。」

ヴィルはパンパンと裾を払ってため息をつく。

「コレは何者だ‥‥?」

ライネイは倒れるドップネスを見る。

「中身はドップネスのようですが、ガワはフェンガルでもゲーキでもありえない頑丈さですわね。ベルクートアブルでもかなり上位の力に値しますわ。」

ヴィルは眉間にしわを寄せる。

「‥‥しかし見覚えがあるような‥‥?」

ヴィルは首をひねる。

「はっ! 早くナーラックに戻らないと!」

レンツははっとする。

「戻るより先に連絡を飛ばそう。復活してるなら魔道連絡網を飛ばす方が早い。取りあえず我が屋敷に戻るぞ。」

走り出すライネイを追う2人。


「うぐ‥‥。」

口から血を吐きながらエマはよろよろと立ち上がる。

化け物達と異なり、エマ自体はあくまでも普通の人類である。

周りをきょろきょろと見回し、研究の残骸を見つけ、心が魅かれるが頭を振って切り替える。

エマは周りで気絶しているフェンガルの職員を見る。

「余波とはいえ、頑丈さはフェンガルか‥‥。」

エマは手元の装置を操作する。

「生かしては返してはならん。最悪フェンガルと刺し違えてもらおう。」

手元の数字を50から100に一気に上げる。

『グガアアアア!!!』

気絶していたドップネスから獣のような叫び声が上がる。

『貴様‥‥! 何故‥‥!?』

「安全係数は200じゃなくて80だったんですよ。クフフフ。とはいえ弱っているときではないとリジェクトされるので丁度良かったです。」

『貴様‥‥!』

「なあに、残ったあなたの本体も有効活用させてもらいますよ。ではあとは宜しく。」

エマはよろよろと逃げ出す。

その直後、咆哮とともにフェンガルの一角は消し炭と化した。


「!?」

フェンガルとゲーキの通り道寸前で、レンツは振り返り、空間に斬撃を放つ。

以前とは比にならない圧力の爆炎が切り裂かれるが、その余波でレンツは100m程飛ばされる。

「レンツ!無事か!?、クソっ、しぶとい!」

『アアガアアアア!!!』

限界を超えた魔力で体が崩壊しつつあるが、それを超える生命力で即座に修復するというゾンビのような状態であった。

「ライネイ様、任せます。」

ヴィルはライネイの首根っこをひっつかみ、ゲーキ側に投げ飛ばす。

「!? ぐっ、任された!!」

枯渇した魔力では足手まといにしかならない。

それならばナーラックのフォローに回った方が良いという判断である。

「穴は?」

レンツはドップネスを見ながら聞く。

「死守しましょう。」

ヴィルはゲーキへの空間の裂け目に封印をする。

「私の命が消えない限りこの封印は消えません。」

「嫌なフラグだなぁ。」

レンツは魔力を体に巡らせる。ギイイ、と金属がすれる音がする。

「決戦と行きましょうか。」


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