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2_47 悪役令嬢推参2

「ゲーキというものもアステアラカと大きく変わりはないようですわね。」

ガラス窓から地上を見る限り、巨大な島国という感じでは御座いますが、文明レベルはアステアラカと大きくは違いは無さそうでございます。

内陸側や川沿いに農地や牧場があり、街は比較的密集して見えます。

「ナーラックと違ってなんか田舎と都心部の差がすごいね。」

「このような早い移動手段があるのであれば、近場に住むよりは通う方が理にかなっているのでしょう。魔獣技術の差でございましょうか。それか魔獣自体が働いているからそもそも不要なのか、ということろでしょうか。」

狼や馬のような魔獣に乗って移動している人々が見えます。

「全く実感がないけれど、人類の上に存在している魔族の国に今来てるんだよね。あ、飛んでる人もいる。」

「魔族自体もそういえば飛べたりするのでしょうか。」

「飛んでる人自体ほとんどいなさそう。海と同じで航路とか決まってるのかも。」

「自由気ままに飛び回ると事故も多そうでございますわね。リアルな魔獣の方も普段はユーズゥ様やシーリカ様、ミタリナ様のように人間形態を取られていることが多いのでしょうか。」

「ちらっと聞いてみた感じだと省エネモードみたい。技術は人間形態のほうが要るけれど大体は元の体より小さいから必要なカロリーとか少な目なんだって。」

「確かに元のミタリナ様を養うなら食費だけで普通の人間の30倍くらい要りそうですわね。」

うまくバランスがとれるなら4人くらい乗れそうなサイズでございました。

「さて、もうちょっとで着くみたい。」

レンツ様の指の先には大きな屋敷が御座いました。

かなり厳戒態勢となっており、フェンガルを招いているのでしょうか、緊張感が漂っております。

と、屋敷から淡い光が立ち上がり、数秒で消えていきました。

「今のはなんだろう?」

「‥‥屋敷に存在していた大きな魔力が消えました。フェンガルの方はお帰りになった可能性がありますね。」

「この距離からよくわかるね。」

「敵意の有無はよくわからないのですが、魔力の多寡程度でしたら。それでも一人、やや大きめの魔力をお持ちの方がおられます。此方が先ほど仰っていたライネイ様の可能性がありますわね。レム様の10倍はありますわね。」

「レムも別にアステアラカ単位だと全然弱くないんだけどね‥‥。」

「生物の差というものはいかんともしがたい話でございますわね。」

人類がカバと力比べをしようとするようなものでございます。

「魔力の強さは価値のあるものですが、それ以外にも価値は御座います。手に入らないものを悩むよりは出来る範囲でできることを致しましょう。元々私も魔力放出に問題が御座いました。」

「そういえばそうだったね。でも身体強化は出来た感じ?」

「放出しませんのでそれは問題ございませんでしたね。」

「実際どこまで強化できる感じだったの?」

「どこまでですか‥‥。」

ふっと昔を思い出します。

「何処までも。でございましょうか。」

「え?」

レンツ様がポカンとされております。

「触れるものが全て壊れるレベルまでは可能でございました。」

正直比較するものが無いので何とも言えません。

「それはすごいね‥‥。」

「当時はどこまで強化したところで、とは思っておりました。今となっては欲深い話でございますわね。魔力のない方々を此方で見て色々思うことも御座いました。今もし実家に帰ることが可能でしたら、多分違った選択をすると思います。」

「でもまあ、ヴィルさんなら大丈夫だと思うよ。少なくとも今のヴィルさんなら。」

「とはいえ調子に乗る質だと自分で思っておりますので自制致しましょうか。さて、お出迎えも出てきておられますわね。」

ワイバーンが着陸するポートのような場所の周りには完全武装した兵士が此方を囲んでおります。

「変な魔法を使われてワイバーンさんが怪我をしてもアレですので取りあえず威圧しておきますわね。」

「自制ってなんだっけ?」


軽く魔力を放つと、兵士の皆様は10mほど後ろに下がられました。とはいえ流石侯爵付きの兵士達で御座います。震えながらも逃げ出したりはされておりません。

「先に降りるね。」

レンツ様は先にひょいと籠といいますか、乗る部分から降りられました。

「此方はリーツワーズ子爵所縁の者である。手紙を改められたい。」

「リーツワーズ‥‥? 投げて渡せ。」

眉をひそめた兵士に向けてレンツ様は手紙を投げられます。

「間違いなくリーツワーズの印だな。中身を改めさせてもらう。」

そして開いて中身を読んだ瞬間ポカンと口を開けられます。

「あのー。」

レンツ様の声に、はっと目を覚ます兵士の方。

「ふぇ‥‥フェンガルを超えし方とは、其方におわす方でございますか?」

急に言葉遣いが変わられました。

「分かりやすく魔力を垂れ流しにしてみましたが、そちらの主、ライネイ・フロール侯爵と比較していかがですか?」

ニコリと笑って見るが、ぐっと皆さま口をつぐんでいらっしゃいます。

「答えようのない質問を失礼いたしました。それではエスコートをお願いしてもよろしいでしょうか?」

「い‥‥今主はフェンガルよりの客を持て成しておりまして‥‥。」

「居られるのですね。フェンガルの方が未だ居られる方が都合がよいのです。申し訳ございませんが通りますわね。」

「ぐ‥‥!」

少しだけ本気で魔力を出すと、皆さま膝をつかれます。

特に命に問題は出ませんが、魔力差が強いと体が重くなるようでございます。

「最近色々御座いましてやや気が立っております。靴が汚れるのは不本意ですが、土塊に還りたい方は目の前に来てくださいませ。」

「‥‥!!」

皆さまゆっくりを道を開けてくださいます。

「大丈夫かなぁ‥‥。」

レンツ様は心配そうにされております。

「エプラスが何を考えているのか分からない以上、余計な手間は省くに越したことはないかと思いますわ。」

「まあそうかなぁ。でも最近わりと腕力頼みじゃない?」

「使えるものは使う主義でございます。恩も特にございませんし。」


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