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(本編完結、番外編を更新しています)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?  作者: 水無月 あん
番外編

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私の悩み 1

不定期な更新ですみません!

※ 国王視点のお話です。王太子が16歳、ルイスが10歳の過去のお話となります。

  ちなみに、ルイスは、まだアリスと出会っていません。



朝の会議を終え、執務室に戻った私はため息をついた。

疲れたのは会議の内容ではない。


そこに参加していた貴族たちに、王太子であるフィリップの婚約者を早く決めるようにと、せっつかれたせいだ。


確かに、16歳の王太子に婚約者がいないのは、国が違えば由々しき問題かもしれない。

だが、わが国は、政略結婚を急ぐほどの状況にない。

できる限り、フィリップの意に沿いたいと思っている。


なにより、私自身が政略ではなく、ミラベルを好きになり、押しに押して結婚したくらいだからな。

しかも、王妃と辺境伯を兼務するという前代未聞の伴侶だ。


もちろん、最初は、ミラベルの事情を聞いた貴族たちが、「そんな王妃を認めない」などと、反対した。

が、騎士服で登場したミラベルが一喝したら、皆、一様に黙った。


それ以来、貴族たちは、国王である私より、ミラベルのほうを恐れているみたいだ。

その威厳、国王の私が欲しかったぞ…。


で、今現在、貴族の中でも、特に面倒な2人がいる。

古い血筋が何より自慢のゴルラン公爵と、金にものを言わせて下位貴族を従えるアイスバーク侯爵。

犬猿の仲だが、王太子の婚約者を早く決めろということに対しては、どちらも同じ意見。


しかも、この二つの家には、フィリップと年の近い令嬢がいる。

つまり、自分たちの娘から、未来の王太子妃を選べという圧がすごい。


どっちを選んでも面倒なことになる…。


本当は、宰相であるヴァルド公爵家の令嬢がいいんだがな…。

他の貴族も文句を言えないだろうし、なにより、私の親友であるジュリアンを父に持つ令嬢だ。信用できる。


でも、まだ5歳…。


万が一にも、5歳の令嬢を、王太子の婚約者に欲しいなどと、ジュリアンに話そうものなら、たちまち逆鱗にふれ、宰相の職を辞するくらいのことはする。

それは、非常に困る…。


私はため息をつきながら、側近のダンに、王太子を呼んでくるように頼んだ。



やってきたフィリップは、なにやら、怖い笑みを浮かべている。


一体どうしたのかと思ったら…。


「ルイスとお茶をして、至福の時間を過ごしていたのに、一体、何のご用でしょうか、父上? ルイスとのお茶の時間を妨げるくらいだから、相当、大切なご用なんでしょうねえ、父上?」

と、一気にまくしたてたフィリップ。


おい、親を脅すな…。


しかし、ルイスとお茶か…。間の悪い時に声をかけたな。

ひとまず、ここは、穏便に…。


「それは悪かった」

と、謝ったとたん、はたと気が付いた。


何故、私がそんなことで謝らねばならない?

ルイスとお茶など、いつでもできるだろう?


が、それを口に出すと、百倍くらいの言葉で反論されるに違いない。

優秀だと言われるフィリップだが、ルイスが関わると、はっきり言って、想像を超えた言動をとり、私では制御できない。


面倒だ…。


私は、フィリップが、ごちゃごちゃ言う暇を与えないよう、早口で、一息に用件を告げることにした。


「フィリップ。おまえも、もう16歳だ。王太子として婚約者を決めることを考えろ。とりあえず、見合いだけでもしてみたらどうだろう? ダン、資料を!」


すぐさま、ダンが、フィリップの前のテーブルに、10冊ほどの絵姿を並べた。


「断ってもいいが、探す姿勢だけは見せろ」


前にも見合いの話をしたとき、「ルイスが幸せになるまでは、婚約者は決めません!」などと言っていたフィリップ。


今回も、嫌がるだろうと思ったら、淡々と答えた。


「この絵姿は、貴族たちが自ら、父上に渡してきた絵姿でしょうか?」


「ああ、さっきの会議の後、言い合わせていたようで、年頃の令嬢のいる貴族たちから手渡された。つまり、侯爵以上の令嬢ばかりだな」


「つまり、王家に取り入りたい令嬢ということですね…。いいですよ、この10人全員と見合いしましょう」


「え? いいのか…?」


「まずは、そうですね…。これとこれで」

そう言って、2人の絵姿を指差した。


令嬢をこれ、という言い方が、妙にひっかかったが、そんなところを問いただしている場合ではない。

フィリップの気が変わらないうちに、事を進めなければ!




読んでくださった方、ありがとうございます!

ブックマーク、評価、いいねもありがとうございます! 大変、励みになります!


アルファポリス様でも更新中です。

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