表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(本編完結、番外編を更新しています)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?  作者: 水無月 あん
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/118

閑話 アリスノート 18

不定期な更新ですみません!

俺は怯えるウルスを放置し、なにより気になっていることを聞くため、兄上に視線をあわせた。

そのとたん、兄上が満面の笑みで言った。


「なんでも聞いてねー、ルイス! あ、もしかして、この魔石の色? すごいきれいでしょ? もちろん、ルイスの瞳の色を探したんだよー。そしたら、マーブル国のこの魔石にいきついて…」


「それは、どうでもいい。いや、むしろ聞きたくない」


「えええええー?! そこ大事! すごい大事! 聞いてよ、聞いてよー!!」

兄上が叫ぶ。


「色はどうでもいい。そんなことより、この魔石、変だろ? 何故、服を囲むように浮いている? 浮遊する魔石など聞いたこともないが?」

俺の質問に、さっきまで小さい子どものようにわめいていた兄上の顔が、するりと変わった。


目の奥が鋭くなった。

獲物を見つけた時の猛禽類の目。


今回はそうだな。仕事の匂いか…。


「ねえ、ルイスはどう思う? この魔石を見て、ルイスが気がついたことを言ってみてよ」

兄上が、挑むように聞いてきた。


こうなると、兄上は、答えを言わない。当てさせる気だ。

なら、早めにあてないと面倒だ。


俺は気合いを入れて、魔石を観察しはじめた。


「…そうだな。まず、大きさ…。一般的なシュルツ国の魔石を参考にすると、こんな小さい粒のような魔石は出回らない。ある程度の大きさがないと、あまり役に立たないからな。しかし、この魔石は小さい粒。どれも同じくらいの大きさだ。…ということは、量から考えても、このケースに入っているのは、一つの魔石を砕いたものか?」


「さすが、ルイス! せいかーい! そう、こぶしくらいの大きさの魔石をね、ぼくの指示で砕いてもらったんだ。もう、ここまできたら、ルイスならわかると思う。なぜ、この砕いた魔石が、浮いているのかってね」


「いやいや、砕いたってわかっただけで、なんで、浮くのかなんてわからんだろ…」

ウルスが、うなるようにつぶやいた。


「まあ、ウルスならねー。でも、ルイスだよ? ぼくの自慢のルイスだからね? ウルスと一緒にしないでよ?」

兄上が失礼なことを言って、フフンと笑った。


「あー、その顔、むかつくな! だが、さすがのルイスでも、それだけじゃ、わからないだろ」

ウルスが吠える。


そんな二人のやりとりを無視して、俺は浮いている魔石の粒を見ながら考えをめぐらす。


「…あ、そうか。わかった」

俺が言った瞬間、


「ほらねー!」

喜びの声をあげる兄上。


「はああ?!」

驚きの声をあげるウルス。


俺は、気づいたことを淡々と言った。

「魔石の粒は、服をとりかこんでいるというよりは、どれもが服に吸い寄せられるように動いている。よく見ると、ひっつきそうになった途端、服にはじかれている。その繰り返しだ。だから、服にひっつくことはなく、はなれすぎることもなく、服のまわりをふわふわと浮いている状態だ」


「うん、うん。それで?!」

兄上が目をきらきらさせながら、続きを促す。


「ここからは、俺の予想だが、このマーブル国の魔石は、一つの塊を砕くと、再びもとに戻ろうとする特性があるのではないか? しかし、このケースの中には、魔石にとって服という異物がある。この魔石は、どうもこの服をとりこもうとしているように俺には見える。だが、結局は、異物。とりこむことはできず、はじかれる。その繰り返しで、服をとりかこむように粒が舞っている状態だ。おそらく、このケースの中から服をとりだしたら、一つの魔石にすぐに戻ると思う」


「いやいや、そんな特性のある魔石なんて、聞いたことないぞ?! さすがに、ルイスの予想は間違ってるよな?」

ウルスが確認するように、兄上を見た。


すると、兄上が、無言で椅子から立ちあがり、俺のそばに立った。

そして、俺の頭をすごい勢いでなではじめた。


「おいっ、こら、何をする?! やめろ!」

俺は兄上の手をばしっと払った。


「ごめん、ルイス! でも、ルイスの答えが完璧だったから、ぼくの愛があふれちゃった。さすが、ルイスだよ! 大正解!」

満面の笑みで、気持ちの悪いことを言う兄上。


「怖い…。 言い当てるルイスも怖いし、奇妙な行動をとるフィリップも怖い…。怖い兄弟だな…」

ウルスが、そう言いながら、体をふるわせた。

読みづらいところも多々あるかと思いますが、読んでくださった方、ありがとうございます!

ブックマーク、評価、いいねをくださった方、励みになります。ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ