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(本編完結、番外編を更新しています)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?  作者: 水無月 あん
番外編

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閑話 アリスノート 15

不定期更新ですみません! 


6/18 誤字報告ありがとうございました! 訂正しました!


正直、もう俺の着ていた服もどうでもいい気分なのだが、目の前にあるので、一応言う。


「とにかく、ルドをいじめるのはやめて、服を見せてくれ」


「え、ひどい、ルイス! ぼく、いじめてないよ? ねえ、ルド」

兄上は、ルドにむかって微笑んだ。ルドは怯えた顔で、後ずさりした。


が、ルドのうしろは壁。もう逃げ場がない…。

まるで絶体絶命の獲物のようだ。


野生動物たちの争いに、手を出してはいけないのだが、ここは森じゃない。俺の執務室だしな…。


「ルド、時間をとらせて悪かった。自分の仕事に戻っていいぞ」

俺が声をかける。


「ありがとうございます! ルイス殿下!」

そう答えると、ぺこりと頭をさげ、猛スピードで去っていった。


「あーあ、ルイス、逃がしちゃだめじゃない? このお宝を見せて、こっちにひっぱろうと思ったのに」

兄上がぷーっと頬をふくらます。


やめろ…。全然かわいくない。


「でも、ぼくにすりよってくる者も多いのに、あれほど嫌がるなんて、ぼくの目に狂いなしだね。もっと気に入っちゃった!」

目をきらきらさせて、楽しそうに言う兄上。


ウルスも目をぎらつかせて、うなずいた。

「ほんとに、フィリップに取り入ろうとする奴が多いから、ルドは新鮮だ。ますます、側近に欲しい。といっても、地位にも金にも興味なさそうだし、どうするか…」


「そりゃ、仕事の内容だろ? あれほど頭がきれて、勤勉なんだ。ルド自身が興味をもち、かつ、絶対にやりたいと思わせる仕事なら、恐るべき兄上の元であっても、近寄って来るんじゃないか?」

俺がそう言うと、兄上がすごい笑顔で俺を見た。


「さっすが、ルイス! そうだよね~! おびき寄せるために、どんな餌をまこうかなー?! 楽しみになってきた。フフフ」


悪い、ルド…。俺は、どうやら、いらないことを口走ったようだ。


と、そこで、モーラが嬉しそうに言った。

「ルドをそんな風に評価していただいて、光栄です! ルドは、王太子様のすばらしさをよくわかっていないようなので、よーく言って聞かせます」


「うん、よろしくね。モーラ」

兄上が微笑む。


「いや、それは止めておいた方がいいだろ。フィリップの場合、素晴らしさを上回るマイナスポイントが多いからな…」

ウルスが真顔で止めにはいる。


確かに…。


「そんなことありませんよ、ウルスさん! 王太子様は素晴らしいところばかりです!」

モーラが熱をこめて、言い返す。


こんな風に、モーラが、熱く説明すればするほど、変な勧誘みたいで、ルドは警戒するだろうな…。


…っていうか、いつまでたっても、話しがすすまない。ルドのことよりも、服だ!


俺はがまんできなくなって、台車に近寄ると、布切れを引っ張った。


「あー! ルイス、先に見ちゃダメ! ぼくのお宝は、カウントダウンして、厳かに披露するつもりだったのにー!」

兄上の叫び声が、俺の耳を通り抜けていく。


なんだ、これは…?

読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださった方、ありがとうございます!

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