表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(本編完結、番外編を更新しています)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?  作者: 水無月 あん
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/120

閑話 アリスノート 14

不定期な更新ですみません!

モーラがすかさず、兄上にむかって頭を下げた。

「王太子様、ルドが失礼な態度をとりまして、本当に申し訳ありません。ルドは、いまだに、人見知りが激しくて…」


兄上が、小首をかしげた。

「人見知りというか、ルドは、ぼくが怖いんだよね? …フフフ」

何故か、楽しそうに言う兄上。


怯えるルドが、捕食される小動物に見えるな…。


「しかし、ルドは、兄上に、何故こんなに怯えるんだ? 何かされたとか…?」

俺の問いに、ウルスが気の毒そうに答えた。


「ルドは幼少期から霊感みたいなものが強くて、人には見えないものが見えるそうだ。おそらく、フィリップに邪悪なものを見てるんじゃないのか? ほら、あの笑顔。霊感などなくても見えるだろ。黒いものが…」


確かに…。俺は、ウルスの言葉に、思わずうなずいた。

見える人には、まがまがしいオーラみたいなものが見えそうな笑顔だ。


「ひどいな、ウルスもルイスも? こんなに、さわやかな笑顔なのに。ねえ、ルド」

そう言いながら、満面の笑みで、ルドに一歩近づいた。


「ひいいいっ!」

ルドの目が、こぼれ落ちんばかりに見開かれる。


そんなルドを見て、兄上の笑顔が更に黒くなった。

兄上、すごくうれしそうだな…。


「これっ、なんて声をだしてるの! 失礼でしょ、ルド!」

モーラはルドを叱ると、きりりとした顔を、兄上にむけた。


「王太子様の笑顔は、きらきらして、神々しくて、まるで、天使のようです。私は王太子様の笑顔を見ると、いつも心が洗われます!」

熱く語るモーラ。


ブフッ


ふきだしたのは、ウルスだ。


「こんな黒々した天使がいるか?! …失礼ですが、モーラさん。一度、医者に目を見てもらったほうがいいですよ!」


「ウルスさんこそ、目がお悪いのでは?! 王太子様の神々しいお姿が黒く見えるなんて!」

普段は、おだやかなモーラが声を荒げた。


兄上が何をしても輝いて見えてるんだろうな、モーラには…。

まあ、モーラは、俺たち兄弟を親以上にかわいがり、愛情を注いでくれてるもんな。


モーラとウルスの言い争いを気にもせず、兄上は、怯えるルドを見ている。


兄上は、下心ありの人間をすぐに見抜く。

人の本質を見る目は、ある意味、野生並みだ。


だから、すり寄ってくる人間たちには言うまでもなく容赦はない。

しかし、すり寄ってくる人間たちに限って、兄上の表面上の笑顔にころりと騙され、甘く見る。

そして、安易に近づき、何かしかけようとして痛い目にあう。その繰り返しだ。


その点、ルドもまた、兄上の笑顔のうしろの本質を即座に見抜いたんだろうな。


厳しさ、恐ろしさみたいなところを感じ取り、怯えているんだろう。


つまり、野生の感が鋭い者同士ということか…。


追うもの 対 追われるもの。


兄上はルドを自分の部下にするために、無理強いするのではなく、精神的な追いかけっこを楽しむはずだ。

ルドが、自ら、兄上のもとで働きたいと言わしめた時が兄上の勝利というか…。


兄上は、狙った獲物は逃がさないと思う。

が、ルドのその頭脳をもってすれば、逃げ切れる可能性もあると俺は思う。


あきらめるな、ルド! がんばれ、ルド!

読んでくださった方、ありがとうございます!

ブックマーク、評価、いいねをくださった方、励みになります! ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ