表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(本編完結、番外編を更新しています)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?  作者: 水無月 あん
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/119

閑話 ウルスの休日 2

ウルス視点のお話が続きます。

久しぶりによく寝たと思ったら、翌日の昼だった。

せっかくの休みが、すでに半日終わっている…。


そして、ふと、フィリップはお昼を食べる時間が取れているかな、なーんて考えてしまい、いかんいかん、俺はフィリップの奥さんじゃない!と、頭を横に振る。


とりあえず、荒れ放題の部屋を掃除して、今日の食料を買い出しに行った。


帰って来た時、部屋から出てきたローアンにばったり会った。


「おっ、ウルス! いいところに。ちょうど、明日のことを伝えにいこうと思ってたんだ」 


「…明日ね。悪いが、俺、やっぱり、やめとこうかと思って…」

どうも、乗り気になれないので、言ってみたら、


「あ、ダメダメ! もう、俺の婚約者に伝えたから。将来有望な王太子の側近が行くってな。婚約者の友達が、それを聞いて、すごい期待しているらしい! しかも、美人で、なんと伯爵令嬢だってさ。良かったな、ウルス!」

と、大声で一気にまくしたてる脳筋ローアン。


このフロア全体に話の内容が伝わってそうだ。

頼む。声、落としてくれ…。


「それでな、明日、先に俺と婚約者は二人でお昼を食べるから、三時にカフェでお茶をする時に合流してくれ。婚約者の友達もその時に合流するらしい。で、場所は、カフェ、フローリアンだ。俺の婚約者が、ケーキが美味しくて評判だから、一度行ってみたいんだって。王宮のすぐ近くだから、場所、知ってるだろ?」


「ああ、何度か行ったことがある」


フィリップに、ルイスの菓子修行の参考に渡すから、ケーキを買ってくるよう何度か頼まれたんだったな…。


「それじゃあ、明日、おしゃれしてこいよー!」

と、大声で言いながら、能天気な脳筋はどこかへ出かけていった。


はああ、なんか面倒だな…。せっかくの休日なのに、気が重い…。


とりあえず、部屋に戻って、買ってきたものを食べる。


ふと、ローアンの「おしゃれしてこい」という言葉を思い出した。


おしゃれ? 悪いが、俺は衣服になんの興味もない。

おしゃれをしようと思ったこともない。


一体、何を着ていけばいいんだ?


クローゼットをあけてみる。

仕事用のジャケット、パンツ、シャツ。1週間分つってある。

色は紺と黒。考えるのが面倒なので、形は全て同じものだ。


以前、フィリップが俺を見て、

「ウルスを見るたび、うちの王宮って、いつから制服になったっけって思うよね?

まさか、ずーっと同じものを着て、洗ってないわけ?」

と、恐る恐るという感じで聞いてきた。


「そんなわけあるか! ちゃんと、同じものに着替えてる!」

と、答えたことがあったな。


仕事着以外となると、今着ている、このくたびれた部屋着。

これもまた、似たようなものが数着ある。


しかし、この部屋着で、おしゃれな雰囲気のフローリアンに行くことは、さすがの俺でも気が引ける。

というか、無理だ…。


そう言えば…、この地味なクローゼットの奥に、一着だけ異彩を放った上下のセットがある。

グリーンの上下だ。中にはフリルつきの白いシャツもセットになっている。

恐ろしいほど質がいい。


というのも、これは、フィリップからの誕生日プレゼントだから。

「他の服を着てるところも見たいし、ぼくの服を作ってるデザイナーに頼んだから着てきてよ」

と渡され、しぶしぶ一度着て行った。


そして、フィリップは見た瞬間、

「なるほどね。そうきたか…」

と言った。


そうきたかとは、どうきたのか、一切説明もなく、フィリップはその後、衣装については触れなかった。

そして、他の人も、見た瞬間は驚いたように目をみはるものの、衣装については触れなかった。

つまり、誰からも感想を言われることはなかった。


それ以来、再び着る勇気もなく、この衣装は、しまい込んでいた。


が、明日こそ、この眠れる衣装を活用する絶好のチャンスじゃないか?!


俺は無駄が嫌いだ。つまり、使えないものを持っておくというのも嫌いだ。

が、フィリップにもらったものだし、高級なものだから置いていたが、使えないことに若干モヤモヤしていた。

なので、使えば、すっきりしそうだ!


それに、ああ見えて、フィリップは衣装にうるさい。センスもいい。

そして、王宮の人たちも、おしゃれな人が多い。


しかしだ、脳筋ローアンは、おしゃれでもなさそうだし、その婚約者やご友人も郊外の人だ。

つまり、さほど、おしゃれにうるさくないかもしれない。

このグリーンの衣装を俺が着ても、変だとは思わないかもしれない。


きっと、そうだ! よし、これを着て行こう!


そうと決まれば、明日行くのも、そんなに面倒には思わなくなり、心地よく眠りについた。

不憫なウルスのお話が、しばらく続きます。

いつも読んでくださっている方、ありがとうございます!

ブックマーク、評価、いいねをくださった方、励みになります。ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ