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まさか、聞かれてたとは

本日、2回目の投稿になります。

マーク兄様が、

「順を追って話せ」

と、ルイス殿下をにらみつけている。


「ああ。まず、俺は王子を返上したいと、父である王に何度も言ったが、聞き入れられなかった」


「え? ルイス、王子をやめたかったのか?!」

と、マーク兄様が驚いた。


親友にも言ってなかったのね。そりゃ、びっくりよね。

王子をやめる王子って、この国では初めて聞くもの。


「…ああ」


「そんなに、王子でいるのが嫌で悩んでたなら、言ってくれればよかったのに。話、聞くことぐらいしかできないけどな」

と、マーク兄様。


「嫌でやめたかったのではない。まず、王子であることは、当たり前だったから、嫌だと思ったことはない」


「じゃあ、なんで、やめるんだよ?」

と、マーク兄様。そりゃ、そう聞きたくなるわよね。うん、うん。


「…アリスが」


え、私?!


いきなりでてきた自分の名前に、びっくりした。なぜ、ここで私が関係してくるの?


マーク兄様も同様らしく、目を見開いている。

二人で固唾をのんで、次の言葉を待った。


「アリスが、嫌だって言ったからだ」

ぽつりとルイス殿下が言った。


へ??? 全然、意味がわからないんだけど…。


そして、王子を返上するようなことに、私、かかわってるの?!

変なドキドキがとまらない…。


が、気になる。


「私が嫌って言ったって、何をですか? 私、ルイス殿下とほとんど話したことないですよね? そんな会話をした記憶がないんですが…」

私がそう言うと、ルイス殿下の瞳がゆれた。


無表情ながらも、気のせいか、何か哀愁を感じる…。


「直接話したわけではない。お茶会のはじまる前、先に来て待っていたアリスのひとりごとを、俺が勝手に聞いただけだ」


えっ! ひとりごと?! 私、なんて言ったのかしら? 

どうしよう、嫌な予感しかないんだけど…


怖いけど、聞かないわけにはいかないわよね…?

と、迷っていたら、マーク兄様が先に聞いていた。


「アリスはなんて言ったんだ?」


「王子妃なんてなりたくない、と言っていた」


げっ! 聞かれてたとは!

そういえば、ルイス殿下の前以外では、毎日くらいつぶやいてたわね…。


そして、何度も耳にしているマーク兄様も、ああ、あれね、という感じでうなずいている。

仕方ない。偽らざる本心だもの! と、開きなおってみる。


「…あれ? でも、おかしくない? 私が嫌だと言ったとしても、なんで王子を返上するの?」

思わず、ルイス殿下に、砕けた口調で話しかけてしまった。


「あ、すみません。つい、普段の言い方になってしまって…」

と、あわてて謝る。失礼だものね。


すると、ルイス殿下は、

「いや、そのままでいい。というか、できたら、そんな感じで話してほしい」


え? 無理でしょ?! 今まで、ほとんど話したことないし、ルイス殿下だし…。


マーク兄様が、あきれた声で言った。

「あのな、ルイス。いきなり、それは無理だろ? 8年も婚約者だったのに、話もしてない関係だったんだから」


ルイス殿下が無表情のまま黙った。


「おい、そんなに落ち込むな」


え?! 無表情のままに見えるけど、落ち込んでるの? 

マーク兄様、ほんと、見分けがすごいんだけど?!


思わず、私も変化を見つけようと、じっと顔を見てみた。

目があう。


すると、ルイス殿下の無表情はそのままで、耳がほのかに赤くなった!


え、おもしろい! 思わず、マーク兄様を見る。


「今は、照れてる」

と、通訳してくれた。


無表情なのに、変化があるなんて。ちょっと、おもしろいんだけど?!

早速、ブックマークや評価やいいねをくださった方がいて、感謝です! 励みになります。

そして、読んでくださった方、ありがとうございます!

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