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(本編完結、番外編を更新しています)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?  作者: 水無月 あん
番外編

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ぼくが守る 4

今回も、王太子視点になります。

あれから数日。

ルイスの真意を探っているが、いまだつかめていない。

しかし、さすがルイス! 兄様に似て優秀すぎるだろ。


と、ぼくの執務室に、ノックの音が響く。

その粗雑な音で、ウルスとわかる。ルイスのノックの音は、品がいいからね。

雲泥の差だ。


ぼくが、「どうぞ」と言うや否や、すぐに、ウルスが入ってきた。


すぐに、

「ルイスのその後の情報は?」

と、身を乗り出して聞く。


ウルスは、ため息をついた。そして、

「ルイス本人に、もう関わるなって言われたろ? 王太子の優先するべきことは、今、そのテーブルに山積みとなってる書類の処理だ! 早くしろ!」

と、どなった。


「わかってないよね、ウルスは。口では、関わるなと言いながらも、すがってくるような、あの目! 間違いない。奥ゆかしいルイスは、兄様に助けを求めてる!」


「はっ、わかってないのは、どっちだよ。どう見ても、心底、激怒してたろ? なぜ、ルイスの時だけ、その優秀な観察力に変なフィルターがかかるんだ?」

ウルスがあきれたように言った。


と、そこへ、

「大変です! 王太子殿下!」

と、戸があいていたとはいえ、ノックもせずに走りこんできた男。

ぼくの側近になったばかりのミカエルだ。


「おい! ミカエル! 今朝から見えないと思ったが、仕事を放り出して、どこへ行ってた?!」

と、先輩の側近ウルスの額に青筋がたっている。


「え、聞いてなかったんですか?! 王太子様から、ルイス殿下の動向を探るよう命じられ、学園に潜入してたんです!」


「ああ?! なに、勝手に命じてんだ? フィリップ!!」

ウルスが仕事中にもかかわらず、ぼくを名前で呼ぶ時は、相当怒ってる時だ。


が、ぼくも負けるわけにはいかない。

「ルイスの確認をするのは、最優先事項だよ?」


「そんなわけあるか! 王太子の仕事を優先しろ!」


ここで、

「…王太子様、そんなことより大変なんです!」

と、ミカエルが叫ぶように言う。


そうだ、ウルスと言い合ってる場合じゃない。

「どうした? ルイスに何があった?!」


「アリス嬢に婚約解消を告げたそうです。あのピンクの髪の女を連れて」


「はあ?! どういうこと? アリス嬢のことが嫌になったか聞いた時、まわりが凍り付きそうなほど怒ったのに?」

と、ウルスの方を見た。


「確かに。それは、そうだな…」


「よしっ、あの女に聞きに行こう。アリス嬢には近づくなとルイスに言われたけど、そっちは言われてないもんね」


「おいっ、だから、仕事が山積みなんだがっ?!」


「ルイスのことを心配しながら仕事をしたら、書類に適当にサインしてしまうけど? それでもいい?」

ぼくの言葉に、ウルスの眉間のしわがこれ以上ないほど深くなる。


「…なら、ルイスの件、さっさと片づけるぞ。…覚えてろ。後で、寝ずに仕事させてやるからな」


「わかった、わかった! じゃあ、ぼくは行くよ」



ということで、あの女が養女になっている男爵家の前に到着した。

ミカエルが調べた報告によると、ぼくが、ルイスと会った翌日には、ルイスは婚約解消を告げたそうだ。


そして、それから、あの女は学園には来ていないという。


馬車の中から、男爵家を確認する。目立たないよう、王家の紋章の入ってない馬車を調達してきた。


「アポイントをとらなくて、良かったのか?」

と、隣から声をかけてきたのは、ウルス。


ぼくは、うなずく。警戒されて逃げられでもしたら面倒だしね。


「ウルスは、帰って仕事してくれてもいいよ? 仕事も山積みでしょ」

と親切に言うと、


「ああ、山積みだ。しかし、暴走するフィリップを止められるのは、俺しかいないだろ?」

と、切れ気味で答えられた。


冷静沈着なぼくは、一度も暴走したことはないけど…。


「それで、あの女に会って、何を聞くんだ?」

と、ウルスが聞いてきた。


「もちろん、ルイスとの関係。ルイスには、あの女が見えてもないくらい、興味がなさそうだった。なのに、翌日に、その女を連れて婚約解消? しかも、あの執着しているアリス嬢と。おかしすぎる」


「まあな」


「もしや、あの女は浮遊霊かもしれない。ルイスにつきまとい、操り、ルイスの意思とは違う行動をさせている。でも、ルイスには見えない」


「あ?! 何言ってんだ?! 俺たちにばっちり見えて、噂にもなってる。あれは、正真正銘の人間だ!」


「そう? まあ、生きてても、死んでてもどっちでもいい。ルイスから離れてもらうのみ。ということで、女の興味をルイスからぼくに移す。色仕掛け作戦を決行する!」


「…」


「どうした、ウルス? だまりこんで」


ウルスが、またもや、はあーっと大きなため息をついた。

「仮にも王太子が、何考えてんだと思ったら、泣けてきた」


「古今東西、昔からある古典的な作戦をあなどるなかれ、だ!」


ウルスが、もう一度、ため息をついて、

「まず、色仕掛けなんて、おまえにできるのか? それと、…言いづらいが、色々な面で、ルイスよりおまえを選ぶとは、思えないんだが…」


「失礼だよね! ぼくはルイスの兄様だ。似た魅力があるはずだ!」


「…あったらいいな」

と、ウルスがつぶやいた時、


窓の外に、ピンク色の髪が目に入った。

「あの女じゃない?!」


ウルスも、あわてて窓から外を見て、

「そうだ! ちょうど、屋敷からでてきたんだな。どうする?」


女は大きな荷物を持って、どこかへ歩いていく。


「ちょうどいい! 馬車を降りるよ。作戦開始!」

ぼくの言葉に、ウルスが、またため息をついた。



今日、2回目の更新になります。読んでくださっている方、ありがとうございます!

そして、ブックマーク、評価、いいねをくださった方々、励みになります。ありがとうございます!


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