俺と幼馴染 12歳の時
今回はアリスの兄、マーク視点となります。
※ 今回はアリスの兄、マーク視点となります。
俺には、無表情と言われる、幼馴染で親友がいる。
第二王子のルイスだ。
あまりの無表情で、小さい頃は、人形王子と陰で呼ばれていた。
が、よくよく見ると、筋肉や目の動きなど、探せばいくらでも変化が見つけられるのにな。
俺の趣味は、天然石を集めることなんだが、石に比べたら、どれだけ変化の大きいことか!
そもそも、石なんて変わらないじゃないかと思うやつ、多いだろ?
いや、石だって表情がある。
今日は機嫌がいいなとか。今日は、どうも、もやっとしてるなとか…。
人にわからないような変化を探すのが好きだった俺は、ルイスも観察した。
が、石に比べたら、目も合うし、わかりやすい。
そして、俺たちが12歳の時のこと。
俺とルイスは同じ学園に通っていたが、クラスが違っていた。
王子だからか、きれいすぎるからか、はたまた、無表情のせいか、ルイスは遠巻きにされていた。
なので、休み時間になると、ルイスのクラスに俺が押しかけ、俺がべらべらしゃべりかけ、たまにルイスが答える、というのが常だった。
なのに、ある日、ルイスが朝一番に俺のクラスにやってきた。
いつも淡々として、運動の授業以外で走っているところなど見たことないが、どうやら、走ってきたようだ。
まぶしいくらいの金髪が乱れ、頬が赤くなっている。
いつも通り無表情だが、変な色気がもれまくり、まわりの女子たちが固まっている。
見たら石になる。メデューサか! 危ない奴だな…。
俺はルイスを座らせ、女子たちの目線との間に自分が立って壁になる。
「どうした、ルイス? そんなに慌てて」
俺が聞くと、ルイスの目が泳いだ。
うわ、こんなに感情がもれている目を見たことがない!
なんだ、何を言うんだ。期待と緊張がよぎる。
「…アリス、なんか言ってたか?」
「アリス? アリス? …アリスって、俺の妹のアリスのことか?!」
すると、ルイスは頬を染め、長すぎるまつ毛をふせて、うなずいた。
おい、なんだ、それ。かわいいだろ?!
…じゃなくて、
「なんで、ルイスがアリスを知ってるんだ?」
と、俺はルイスに聞いた。
「昨日、会ったんだ。お茶会で…」
「昨日? …あっ、じゃあ、泣かされたって聞いたけど、おまえが泣かせたのか? 俺のかわいい妹を!」
俺は5歳年下のアリスがかわいくて仕方ない。
父親もアリスを溺愛してるが、俺も決して負けてないと思っている。
そのアリスを泣かせるなんて、ルイスであろうと許せん!
問い詰めようと思ったら、
「悪かった」
と、先にルイスが謝った。紫色の瞳がうるみ、後悔している気持ちがひしひしと伝わってくる。
こいつは、人をおもしろがっていじめたりする奴では決してない。
「アリスは、なんで泣いたんだ」
「ちびだな、って言ったから。でも、それは失礼な言葉だと父に聞いた。俺がアリスに本当に言いたかったのは…」
驚いた! ルイスが、一気にこんなに長い文を話すのを聞いたのは、いつぶりだ?
いつもは、簡単明瞭な文しかしゃべらないのにな。
しかも、言いにくそうに、ためらっている。
おっ、この顔は照れてるな! 初めて見た。ルイスのこんな顔!
「アリスに本当に言いたかったのは、なんだったんだ?」
俺は待てなくなって、先をうながす。
「小さくて、…か…」
「小さくて、なに? 声が小さすぎて聞こえない」
「かわいい!」
ブッ!
思わずふきだしてしまった。
かわいいだと?! 一体、どうした、ルイス?!
それから、すぐに、ルイスとアリスの婚約が決まった。
表情にはださなくても、行動は早いルイス。あなどれん!
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