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(本編完結、番外編を更新しています)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?  作者: 水無月 あん
番外編

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私の悩み 9

よろしくお願いします!

モーラが両手で箱を抱えて戻って来た。


「王太子様、お持ちいたしました!」

と、モーラがフィリップの前に箱を置いた。


「ありがとう、モーラ」

フィリップが、にっこりとお礼を言う。


割と大きめで、青い色をした箱。

何が入ってるんだ、あれは…? 


というか、箱の前に何か書いているようだが…。


「ここ読める?」

と、フィリップが、箱の前を手で指し示しながら、宝石だらけの令嬢に聞いた。


「天使とその他チーム…?」

とまどったように、つぶやいた宝石だらけの令嬢。


天使とその他チーム? なんなんだ、それは?


意味が分からないが、フィリップが天使と言うと、嫌な予感しかない…。


「そう、文字通り、天使とその他っていう意味。もちろん、この天使は、天使の中の天使、生きる天使ルイスのことだよ!」


天使って、何回言うんだ、フィリップ…。

思わず、眉間にしわがよってしまう。


そして、意味が全く見えないんだが…。


「意味がわかるか、ダン?」


「いえ、全く」


「そうだよな…」


同じく意味がわからず、ポカンとしている宝石だらけの令嬢に向かって、フィリップがいい笑顔を見せた。


「実はね、今度、うちの天使が、教会のバザーに参加するんだって。なんでも、お世話になっている剣の先生に頼まれたらしい。ほら、ルイスは天使だから、優しすぎて、頼まれたら断れないの。しかも、天使なうえに、手先まで器用なんだ! だから、木を使って、今、何か作ってるみたい。教えてもらえないんだけどね…。ルイスの作品だから、ぼくが買いしめたいところなんだけれど、ルイスに買うことを止められちゃって…。うらやましいよね。ルイスの作品を買える人。すごい前世で得をつんだんだろうね。そう思わない?」


「…は?」


思考が止まったような顔をしている宝石だらけの令嬢。


ほんとに、フィリップは何を言ってるんだ…。


「でね、ルイスに頼まれたの。兄上や、他の人にも、そのバザーに何かだして欲しいって! ルイスに頼まれたんだよ? 当然、はりきっちゃうよね! 王太子の威信をかけて、なんでもだすよ!って言ったら、目立つことはやめて欲しいって釘をさされてね。ほら、ルイスは心優しい謙虚な天使だから! ということで、王宮からだす品々は、『天使とその他チーム』として、出品することにしたんだ。で、この箱、まあ、いくつもあるんだけど…、そこに集めた品物をつめていくんだ」


「…はあ」


「あ、そうだ。モーラも出品してくれるんだよね?」

と、フィリップがモーラを見た。


モーラが、微笑んでうなずいた。

「はい、もちろんです! ルイス様、王太子様にお声をかけていただいて、光栄です!」


「モーラは何をだすの?」


「私は刺繍したハンカチにしようと思っています」


「あ、それいいね! モーラの刺繍はすごい腕前だからね!」

フィリップの言葉に、「恐れ入ります」と言いつつも、ものすごく嬉しそうなモーラ。


どう見ても、師匠に褒められて喜んでいる弟子にしか見えない…。


と、ここで、フィリップが黒々とした笑顔で、宝石だらけの令嬢を見据えた。


「でね、サラ嬢。ちょうどいい機会だし、君も、バザーにだしてくれるものを、この箱にいれてほしいんだ。何をいれるかで、優しさを判断しようかなって。まあ、物の価値で決めるなんて、品はないけれど、しょうがないよね…。ほら、優しさって判断しにくいから。だから、バザーにだしていいものを、ここに入れてみて?」 

と、箱のふたをあけて、令嬢の前に押し出した、フィリップ。


「あの…家に帰れば用意しますが…」


「あ、いい。そんなに手間をかけさたら悪いもん。今、持ってる物でいいよー。君、いい物をいっぱい持ってるみたいだし。ぼくとしたら、特に、その重そうな首飾りあたり、思い切って箱に入れて欲しいなあ? 君、優しいんでしょう?」

そう言って、黒い笑みを浮かべたフィリップ。 


危機を感じたのか、あわてて、首飾りを手でおさえる宝石だらけの令嬢。


おい、フィリップ、それは、どんな優しさだ…。


それに、あの首飾り、一体いくらするんだ?

刺繍のハンカチやら木工作品だのと言っているところに、宝石!?

だれだって、バザーにださんだろう…。


しかも、フィリップのあの目…。

まるで、令嬢の首飾りを狙う盗賊みたいなんだが…。 


読んでくださった方、ありがとうございます!

ブックマーク、評価、いいねもありがとうございます!

大変、励みになります!


アルファポリス様で先行して更新しておりますが、「私の悩み」編は15話で終了です。


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