表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(本編完結、番外編を更新しています)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?  作者: 水無月 あん
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

101/121

私の悩み 6

不定期な更新ですみません!

宝石だらけのアイスバーク侯爵令嬢に向かって、フィリップが笑みを浮かべた。


「サラ嬢、君は見る目があるみたいだね」


フィリップの言葉に、うれしそうに満面の笑みをうかべる、宝石だらけの令嬢。


いや、違う。喜んでる場合じゃない…。

と、心の中で訴える。


しかも、宝石だらけの令嬢は、あろうことか、危険な状態のフィリップのほうに、少し身をのりだした。

じゃらじゃらと身につけている宝石が、ゆれにゆれる…。


「こら、近づくな! 離れろ」

と、思わず、声がでた。


「危険な位置ですね」

ダンが、冷静に相槌を打った。


更に、アイスバーク侯爵令嬢は、フィリップを上目遣いに見ながら、自慢げに言った。


「私の屋敷には、高価な絵が沢山飾ってあるんです。いいものばかり見てるから、私、目が肥えてるんです!」


私の頭に、警告音が鳴りひびく。


高価な絵で目が肥えたなど、成金自慢はどうでもいい。

それより、もっと、危ないものを見極める目を持つべきだ。


ほら、目の前のフィリップの目! 

あれは、猛禽類が獲物を仕留める時の目だ!


「なら、ぼくが正解を言う前に、君に、この絵について、すばらしいところを述べてもらおうかな? おのずと答えにつながると思うし」

そう言って、フィリップがにっこりと微笑んだ。


その瞬間、真っ黒い翼が、フィリップの背後にひろがった気がした。

翼をひろげ、鋭い爪で襲う寸前…。


宝石だらけの令嬢よ…。

言葉を間違えるな。もう、一言たりとも失敗は許されないぞ…。


と、その時、何故か、ダンが大きなライトを手に持った。


「…ダン。何してる?」


「王太子様の攻撃をとめるには、この魔石ライトをあてるのがいいかと思いまして。非常に明るい光を遠くまで放てますが、人体に害のない魔石が光っているので、王太子様の目に害はありません。ただ、これを使っても、王太子様であれば、ほんの一瞬、ひるませるくらいだと思いますが…」


「いや、一瞬だけでも、猛禽類をひるませられれば、一時しのぎにはなる。いいアイデアだ! ダン、すぐに備えよ!」


私の言葉に、ダンは、すぐさま動く。

窓際にひざまずき、まるで銃をかまえるように、ライトをフィリップへあわせた。


「あとは、スイッチを押すだけです」


「よし、令嬢が危ないと思ったら、躊躇なく、その光をフィリップに当てろ」


「了解」


ふー、これで少しは安心だ。


令嬢たちよ、もしもの時は、背後から援護する。

一瞬のすきを作るから、その間に、自力で逃げてくれ。


ちょうど、その時、宝石だらけの令嬢が、ルイスの肖像画を見ながら、フィリップの問いに答え始めた。


「この絵の一番すばらしいところは、もちろん、ルイス殿下の美しいお顔ですわ!」

そう言って、ルイスの肖像画をうっとりと見た。


これは、まずい…。


こら、宝石だらけの令嬢…。よく思い出せ!


フィリップは、「おのずと答えにつながる」と言っただろう。

つまり、「きれいな色はどの色か?」という問いに対する答えになるということ。


ということは、せめて、絵の中にある色を答えろ!


が、すでに遅く、フィリップが凍るような声をだした。


「へえええ…ルイスの顔ね…。今の君の発言は、後程、たっぷり対応するとして」


たっぷり対応って、なんだ?! 何をする…?!


「じゃあ、まずは、答えね。一番きれいな色の答えは、ブルー! もちろん、ただのブルーじゃないよ。ルイスの瞳の色だよ。ほら、この絵のルイスの瞳を見てよ。本物には遠く及ばないけど、少しは想像できるでしょ? 君たちは目にする機会もないだろうから、ぼくは、親切にも、ルイスの肖像画を持ってきてあげたの。 あのね、この世の中に、ルイスの瞳の色よりきれいな色なんてないんだよ。わかった?」


いや、わからなくていい…。そもそも、全然、違うだろ、フィリップ…。

一番きれいだと思う色など、人それぞれ。なんだっていい。

もちろん、正解、不正解などない。


驚いた顔をする令嬢たち。

が、フィリップの視線は宝石だらけの令嬢にロックオンされている。


「それより、サラ嬢。さっきの発言だけど、もしかして、ルイスの顔が好きなのかな?」

と、微笑みかけるが、目が怖すぎる。


うまく答えろ、宝石だらけの令嬢!

内心エールを送る。


が、宝石だらけの令嬢は、恥じらうように答えた。


「もちろんですわ! 私、ルイス殿下のお美しいお顔が大好きです。…あ、でも、お顔だけじゃなくて、ルイス殿下御本人にも憧れてます。…フフ!」

顔をあからめる、宝石だらけの令嬢。


その瞬間、フィリップが殺気立った。


ああ…、終わったな…。




読んでくださった方、ありがとうございます!

ブックマーク、評価、いいねもありがとうございます! 大変、励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ