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神と一緒に落ちたなら  作者: 猿ヶ瀬 黄桃
第二章 前線都市ラッツバーグにて
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第四十九話 ヒ・ミ・ツ

お久しぶり。

「――で、俺は神父様に才能があるよ、って言われたんだ」

「へー、教会は結構どこにでもあるんだね」

「当たり前だろ?知らないの?」

「いや、ははは」

「なんで?皆父ちゃんとかに教わるだろ?」

 魔道車が大きめの石を乗り越え跳ねた。あちぃ、とテオドアのイラついた声がした後、運転席から煙草の煙が漂ってきた。

 俺はさっきもらった煙草に火を付けた。

「ダミアン君を冒険者にしたら、教会になにか得することってあるの?」

 彼は、君とかいらねぇよと言うと、変な奴とでも言いたげな表情で説明を始めた。

「えっとな、なんか国を豊かにするとか、神父様はそーゆー事を言ってた」

「ああ、それは良いことだね」

 多分冒険者ギルドと癒着してるかなにかだろう。

「そうだろ?俺は村の英雄になるんだ!冒険者になって金をいっぱい稼いでそれで――」

 子供と喋るのが久しぶり過ぎてイマイチ気の利いた振る舞いが出来ないな。俺が十二歳のころ、何が好きだったっけ。

「あ、ジェットは何で冒険者になるんだ?」

「え、あー……昔、ドラゴンを見てさ」

「それホントか!」

 ダミアンは年相応にキラキラと目を輝かせて立ち上がった。

「うん。凄く、なんていうか…」

 七年前の光景がついさっきの事のように思い出せる。巨大で、力強く空を泳ぐあの姿が。

「綺麗だったんだ」

「じゃあさ、そのドラゴン討伐して英雄になるのか!?」

「いや、ただ見たいんだ」

「…何を」

「冒険した先にある、景色って言うのかな。だから冒険者になりたい」

「…へぇ」

 彼は彼なりに将来の事を考えた上で冒険者の道に進もうとしてる。それに比べて俺は、ただ面白そうだからという理由だけだ。俺の方が子供だな。

「金、いらないのかよ?」

「そりゃ勿論いるよ。金が嫌いな奴は世界中探しても居ないさ」

「へ、へへ!それいいな!やっぱそうだよな…」

 笑って腕組みをする彼からは、将来大物になる予感がした。話していてあまり子供っぽい感じがしない。不思議と仲良くなれそうだと思った。

「なぁジェットさ!あの、剣?みたいな、よくわかんない武器!持ってるだろ?」

「ああ、コイツのこと?」

「そーそー!それってさ――」


 ひときわ大きい舌打ちが聞こえた。魔道車のスピードが急に落ちて、ダミアンが尻もちをついた。

「小僧!ちょいと仕事だ!」

「何が出たの!?」

「ロックトロルだ!道の真ん中塞いでやがるぜクソ…」

 テオドアは車を止めると足元をガサゴソとやりだした。

 ロックトロル、体長6mほどで体が岩石で覆われた巨人だ。顔は亀みたいな形をしていて結構愛嬌あるんだよな。

「お、おい、なんなんだ?ジェット」

「道を魔獣が塞いだんだって」

「そんなこと分かってるって!まさかロックトロルを…」

「うん、狩る」

 奴はとんでもない大食漢で、食えそうなものは何でも襲う習性を持っている。遠くからずしんずしんと地響きが聞こえて来た。ロックオンされたのは確実だな。

「いやロックトロルは無理だろ!?冒険者に高い金払ってようやく…おい、なんで武器着けてるんだ?」

「俺冒険者だから」

 ダミアンはあっけに取られて数秒間動かなかった。俺はその間に荷物の中から爆破魔法陣のスクロールを引っ張り出した。

「も、もうお前、学校行く意味ないんじゃ…」

「まぁ…いろいろさ、ほら…大人のジジョーがさ…」

 テオドアしかり、ギルドに登録したら冒険者っていう価値観はどうにもな。

 俺が資金作りのために冒険者登録したいってシャルにねだったら、彼女は好きにしなとしか言わなかった。だから彼女の中では、登録=冒険者という図式にはなっていないはずだ。

 冒険者になるには学校に行くまで待ってもらうと、シャルは七年前そう言っていたからな。


「ダミアン」

「な、なに」

「この武器の使い方、知りたい?」

 彼は神妙な顔で首を縦に振った。

「ふっふっふ、それはな…」

「おう…」

 テオドアが魔法の杖を引っ張り出し扉に手をかけた。

「見てからのお楽しみ!」

「行くぞジェット!!」

「よっしゃあ!!」

「ああ!おい待てって!」



 しばらく更新してなかったからブクマ一件はがれてて悲しい…。

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