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神と一緒に落ちたなら  作者: 猿ヶ瀬 黄桃
第一章 もう一つの世界
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第四十一話 やっぱり君は(1)

 午前七時、ギルド前。俺、シャルリーン、そしてチャールズさんは煙草を吸いながら彼女を待ちぼうけている。

「時間、会ってますよね?」

「悪いな、奴には少し遅刻癖がある」

「ま、じきに来るさ」

 今日俺が世話になるルル・ベルという女性は、未知を探求し宝を狙う、地位や名誉には興味を示さない生粋の冒険者という性格をしているらしい。しかし、そんな人がどうして俺のおもりなんかを引き受けてくれるのだろうか。チャールズさんは子供好きと言っていたが、それだけじゃ説明がつかないような気がする。



「遅いぞ」

「すまん。寝坊した」

 おおよそ十五分遅れて到着した彼女は悪びれたそぶりもなく堂々としていた。なるほど、本当にいつも遅刻するみたいだな。

 シャルリーンと再会の挨拶をした後、彼女は俺に目を合わせた。

「で、お前がジェットか、アタシはルル・ベル。よろしくな」

「今日はよろしくお願いします」

彼女は突然しゃがんで俺の顔をじっと眺め始めた。目をそらすのは失礼なので、俺も彼女を観察することにしよう。

 身長はシャルリーンより少し小さい程度だが、がっしりした骨格をしている。後頭部で一本に結わいた髪の色は金と茶が入り混じっていて、猫を思わせる形をした目の色はベージュ。後はややエラが張っているのが特徴だろうか。

 美人に見えるが、チャールズさんと同じような生命力あふれる雰囲気を纏っている。これがオーラとか言うやつか。

「ふふ、良いなこの子。将来が楽しみだ。ありがとうシャル」

「え?うん…」

 礼を言われるとは思っていなかったのか、珍しく言い淀むシャル。いや、というよりかは思考を巡らせている様子だ。確かに、何か妙だ。

「お眼鏡にかなったか。なら後は任せたぞルル」

「聞いてた以上。チャールズ達はこれからどうするの?」

彼女は質問しながらジリジリと俺との距離を縮めて来た。もう肩と肩が触れ合いそうだ。

「俺は顔出しと挨拶回りだ」

「私は仕事」

「お疲れ。じゃ、後は任せてよ」

 ルルさんは笑顔で俺の顔を覗き込んで、肩に手を回してきた。俺は一応愛想笑いを浮かべちゃいるが、多分ひきつっている。なんだ、距離感近すぎないか?

「ジェット君頑張ってねー、くれぐれも怪我の無いように」

「あ…はい…」

 シャルとチャールズさんの背中が遠ざかっていくのに比例して心細さが増していく。この女、本当に信用できるのか怪しいぞ。

「どうした?なんか元気ないな。飯は食べたの?」

「ああ、いえ。ハハハ、食べてきました」

「堅苦しいのは良いって!アタシのことは気軽にルル姉って呼んでよ」

「あ、っす」

「ふふふ、恥ずかしがりだな。じゃ、早速依頼を見に行こうか」


 ルルの後ろにくっついてギルドの中に入った。早い時間帯だからか人は少なかったが、それでも屈強な男たちの目線を肌で感じた。しかし、スラムでの経験のお陰で不快には感じなくなってきた。

「さーて、どれがいいかな…」

 横10m、高さ2m以上ありそうな掲示板には、様々な依頼が所狭しと貼り付けてあった。右側に行くにつれて遂行難易度が上がっているらしい。あ、ヘルホーン討伐依頼が真ん中らへんにあった。あんな鹿のお化けが真ん中か、とんでもない世界だな。

「ジェット、これなんかどう?」

「あ、はい」

 グレーラビット十五体の狩猟依頼か。こいつは魔獣ですらないただのデカいウサギだ。

「んー、他には何かありますか?」

「なんだ、狩猟は嫌なの?じゃあ採集にしようか」

「えっと、もうちょっとこう、歯ごたえのあるような…」

 俺の言葉を聞いたルルは、やんちゃな子供を温かい目でみるような顔をした。う、やはり下積みからしっかりやるべきか?あまり本職の人を舐めた言動はしちゃいけないな。

「気持ちはわかるよ。アタシも昔はそうだった。だけどね、最低限身体強化が出来るようになるまでは、ってわかるかな?身体強化魔法」

「はい、ある程度は使えます、だから…」

ルルはしゃがんで俺の頭を雑に撫でた。

「いーんだよ、強がらなくて」

「……ふぅーー」

稽古と自主練のおかげで十秒もあれば身体強化を全身に使えるようになったんだ、信じてもらえないなら実際に使ってやる。

「……あ、できるんだ」

「魔法陣も書けますよ」

「どこまで?」

「基本は大体。それに爆破魔法陣です」

「なんだ、早く言いなよもう!」

 ルルはにっこりと笑って俺の頭を撫で繰り回したあと、俺を持ち上げ掲示板を見やすくしてくれた。この人の言動はシャルと似ている所があるが、少し違う。具体的には、若干鼻の下が伸びている様な気が……。

「ほら、何が良い?」

「……あ、これなんかどうですか?」

 特殊な薬草の採集依頼だ。内容自体は単純だが、採取できる場所が魔獣の出る魔素の濃い地域だったはずだ。これなら程よく冒険できるだろう。

「ジェット、お前中々賢いチョイスするね」

「どーも」


 





 

 

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