月明かりとコンビニフェチ男性
実際にあった話に少し妄想を加えました。
少しでも笑っていただけたらいいなぁと思ってます…w
「今さぁwちょおもろいことがあったんだけど」
コンビニから出てきたあいつが笑いながら近寄ってくる。月明かりがあいつの顔を照らした。
リュックから水筒を取り出しながら口を開く。
「なに、コンビニの中でなんかあったん」
静かな風になびく髪を耳にかける。
帰り道をゆっくりと歩きはじめながら、あいつが話しはじめた。
「いやコンビニの中でじゃなくて、飲みもんとか買いおわってコンビニから出た時なんだけど。目の前を、多分カップルかな?まぁ男女2人組がとおったんだけど、」
軽く相槌をうちながら水筒のふたをまわし、飲み口に口をつける。
「男の人の方がさ、『俺コンビニ見てると興奮してくるんだよね』っつっててw」
あやうく口に含んだ水を吹き出しそうになる。ギリギリのとこで飲み込み、少しむせながら言った。
「なんそれめちゃめちゃ好奇心わくんだけど」
「いやそれ。そんでさ、女の人のほうがちょっとひいててw」
「まぁ…しょうがないっちゃしょうがないわな」
今隣にいるあいつに急に同じことを言われたらどう思うだろう。多分その女の人と同じで少し、いやかなりひくかも。
「その女の人が苦笑いしながら『へ、へぇ〜、そうなんだぁ…』みたいなこと言っててw目の前で爆笑するとこだった」
「いや草」
あらためて口に水を含み、水筒をしまった。
「コンビニねぇ…すごく理解できない」
「いやそれな?w」
思ったことを口にすると、あいつからの同意が飛んできた。
「バカップルって感じだなぁ…」
「んーいや、なんというか女の人の方はまともだからぁ、」
「あぁそっか、バカップルではないんか。男の人がバカなだk…いや、人の性癖をバカにするのはよくないな。」あぶないあぶない。
「いや草」
「性癖は自分で選ぶことはできないもんな」
選べたらもっとこの世の事件も減ってただろうしなぁ…と少し思った。
隣であいつが相槌を打つ。
「そういや、性癖といえば…ではないんだけど、自分のフェチってなんだろうなぁってなったときにこれというもんがでてこないんよね」
手首につけているゴムをいじりながら話しかける。
「あーね?」
「お前のフェチは…手とか?」
「手いいよね。」
即答キモ…と言いかけるがギリギリのとこで飲み込む。
「あとなに、脚フェチとかもあるか」
「あー脚もいいよね」
「きも」
今のを抑えられなかったのは仕方がなかったと思う。きもかったんだもの。
「んーそうだな…髪の毛とかフェチって言えるんかな」
「言えるんじゃね?」
「じゃあ髪の毛フェチかも」
そんな雑談を歩きながら数分する。
話が一段落して、ふと思ったことをつぶやく。
「じゃああの男の人はコンビニフェチなんだろうなぁ…」
2人で同時に吹く。
「っwwwwそっかぁ、うんそうだね」
「w本当に理解できないんよなぁー」
「彼女の方がひいてしまう気持ちもわかる」
「まぁただ、彼氏の方が勇気を出して言ったかもしれないのにひくのもなって感じもなくはない」
「あぁね」
笑い疲れ、ため息をつく。
「てか、まだ本当にカップルとかわからない…んじゃね?兄弟とかの可能性も…?私は見てないからわからんけど」
見た人ならなにかしら思ったことがあるのでは…?と思い、あいつにきく。
「いや別に見ててもわかることなくない?それに見たの一瞬だし」
「あぁそっかぁ…」
またため息をつき、深く息をすい、もったいぶってつぶやいた。
「コンビニフェチ男性の謎は深まるばかり…」
「そうだね…」
都会の夜道に、私たちの笑い声が響いた。
「へっっくしょん!ぶぇっくしょん!!」
「ちょっとー…wなに、風邪?大丈夫?」
「いやぁ…風邪じゃねー気がする。多分誰かが俺のこと噂してんな。」
「1回のくしゃみが良い噂で、2回連続が悪い噂らしいよ。どっかで聞いたことある。」
「うそ…今俺悪い噂されてんじゃん」
「wwそういうことだね」
「はぁーー今日はいいことなしだぁー」
「じゃあーもっかいコンビニ行く?」
「行きてぇ…コンビニ行くと興奮するんだよね」
「それもう何回も聞いたよ。聞き飽きて愛想笑いもひきつっちゃうから。」
「俺酔っ払うと同じこと何回も言うらしい…」
「知ってる。あ、アイス食べたい」
「お、いいな。買おうぜ」
この会話を聞いた1人の少女が、電柱の下でスマホをいじっていた1人の少女に近寄り、笑いながら話しかけた。
月明かりが人々を照らす。アイスをもった男性の大きなくしゃみが夜の街に響いた。
「ぶぇっっくしょん!!」
実際にあった話に少し妄想を加えました。
最初の目線は私目線です。
友達がコンビニフェチの男性に会ったこと、そのあと話したことはだいたい同じです。
そのあとのくしゃみとかは、完全に妄想ですね…w
フェチとか性癖とかは自分で選べない。
たとえば動物虐待はひどいことですが、
動物が苦しんでる姿を見て興奮する性癖を自分がもっていたら、自分はどうするだろう。
そういうことを少し、この小説で考えてみたり、
会話の内容にクスッと笑っていただけたらしたらいいなと思います。