第一話:プレイボール
「ははは、んだそりゃ?」
いのいちばんに声を出したのはこの俺、隼人だ
こんなのありえねぇでしょ。漫画の世界の話じゃないのか?
「でもさぁ、これでゾンビ来たら大笑いだぜ。」
苦笑しつつ俺の独り言に答えてくれたのはクラスのムードメーカー村西猛だ
いつでも度胸一番の彼はこの場面でも笑顔を見せる。つくづく肝っ玉が図太いな……
「落ち着け。取りあえず状況を整理しようぜ。」
冷静な口調でみんなに提案したのは学級の総務委員である早川真史である
彼の提案に反対するものは居らず、放送で聞こえた謎の声を整理することにした
まず最重要となるのが
・ゾンビを殺してください
というメッセージである。これは間違いない
ゾンビ……どんなのだろうかねぇ? さすがに見たことが無いよ、俺はね。
次に、
・期間は一週間以内。食料などは準備済みだからそのうち見つかるであろう
要するに、一週間以内に学校に存在するすべてのゾンビを殺れば良い訳だ
だが……相手はゾンビ。殺る前に殺られる場合が十分にある
ここが、このゲームの怖いところ。殺されちゃ終いだ
他には、
・教室の教壇の裏に携帯があり、それで最新情報を伝達する
・ゾンビを倒す道具は最初は教室のどこかに隠してある。もっと良い武器は学校のどこかにあるから探してくれ
・学校外に出たらOUT。ゲームオーバーで即死
・殺されたら終わり。短い人生だったね
・後、ゲーム開始は5分後の9時40分です
「こんなところか……。ところで、今何時?」
俺が真史に問う。真史がゆっくりと顔を上げ、時計を眺めた
「40分まで後2分だ。各自武器を持って、万が一に備えようぜ。」
そういうと真史は武器をあさる。使えそうなものと言えば電動式スタンガンに拳銃三丁、サバイバルナイフ5本程度だろうか
最終手段に手榴弾があったが、教室を破壊してしまうのはまずいという真史の意見で利用をやめた
そして、40分。針がいよいよ運命の時刻をさした
3秒……5秒……10秒……
針が少しずつ動くがゾンビは現れない
「やっぱりお遊びか。担任も帰ってこないし、家帰るか。」
誰かが声を発したときだった
教室の窓ガラスがものの見事に粉砕された
同時に女子の鼓膜が破れそうなぐらい大きな悲鳴
そして、教室にゾンビ3体が乗り込んできた――