第九話 始まりの終わり
エイタの話を簡潔にまとめるとこうだ
エイタは俺の記憶を持って生まれてくるから俺の目標が元の世界への生き返りってことを知っていて、俺がどんなスキルか見せてくれって行った時、俺をいきなり元の世界へ戻すっていうサプライズをしようとしたらしいんだけど、そこでエイタは見つけてしまったんだ、この世界のクソルールを。
俺も最初に聞いた時は卒倒しかけたよ
そのルールは
(ルール999 転生者は転生するさいに必ず目標を定めその目標を達成するのに見合うスキルを譲渡される)
の下に書いてあるルール1000個目の最後のルール
(ルール1000 転生者は転生後の世界での目標を達成直後、元の世界でもう一度生まれ変わる)
つまりこの世界でスローライフを望んだ人はその生活を送り始めた途端に、この世界の王になると望んだ人は王になった途端に、元の世界に強制送還ってことだ。
なんて意地悪なルールなんだと思うだろ?
俺はもっと酷いぞ、これ以上の最悪はない
エイタがいうにはルールブックに目標を達成する以外には元の世界に帰る方法は書いていなかったらしい。
元の世界に帰るのに必要な目標の達成の目標が元の世界に帰ることなんだ。
完全に詰んでるだろ
だからエイタはこのルール自体を変えようとしたらしいんだけどこれだけ変えることが出来なかった。
で、このルールを作った神様を消した後もう一度試したけどそれでも変えることは無理だったんだ。
で、エイタはこの世界を滅ぼせば、元の世界に帰れると思って滅ぼしたんだけどこれも無理だった。
で俺がエイタを止めに来た時にはどうすればいいか分からなくなって自暴自棄になってたってわけ。
俺に相談してくれたら良かったのにって言ったら俺が怒りでなにも見えなくなっていたから無理だったって言われた。
俺はあのとき話し合いをするつもりだったけど、俺自身実は自分が話し合いなんてどきない状況にあったなんて全然分からなかった。
それを聞いた俺はエイタの力で神様を呼びつけた。
そしたら神様でも1000個目のルールだけは変えれない
ってさ。とんだ無責任野郎だ。
で、なんで1000個目のルールがあるからその目標だと元の世界に帰れないって教えてくれなかったんだ?って聞いたら神様は改まって真面目な顔して俺に言ったんだ。
おぬしならこの1000個目のルールを変えることが出来ると思ったからだと。
そしてきちんとお願いしてきた。
この1000個目のルールを変えてほしいと、
神様も人が悪いな、元の世界に戻るにはそれしかないんだったらそうするしか無いんだろ。
って訳で俺がこれからすべきことは決まった。
この世界のルールをぶっ壊すことだ。
そしてこの世界は滅びる前の平和な世界に戻った。
元のままのなにも変わっていない世界に
いや、一つだけ変わったことがある。
この世界の人々は名前でその人のことを認識するようになった。
どういうことかというと、今までは人を見分ける情報は顔や身長、性別、好きな食べ物とかいろいろあったけど、今は名前が個人を特定するのに一番重要になった。顔や身長がどれだけ同じでも名前が違えばそれは違う人って認識になったんだ。
エイタにやってもらったんだけど、なんでそんなことをするか分かるだろ。
俺は復活した200人の俺に名前をつけたんだ。
別の人間としてこれから過ごして欲しい、それぞれ好きな人生を送って欲しいんだ。
俺は分身だってちゃんとした人間で俺の操り道具なんかじゃないんだって思うから。
そこに命があるから。
それから俺はこの分身のスキルを封印することにした。
まあ自分で頑張って使わないようにするってだけなんだけど、命を生み出すのは流石に俺には荷が重い。
そして皆の俺は俺の分身なんだっていう記憶を消して、旅に出した。
元気でやれよ、お前ら。
エイタだけ俺の横に残った。本当はエイタにも好きに生きていって欲しかったんだけど、エイタが俺の横にいたいんだってさ。
でも一つ問題があってスキルの使用者であるエイタだけは世界改編の影響を受けないんだ。だからこのままじゃエイタと俺がおんなじ人物って認識されることになる。
あの町のときみたいに双子って認識されてたらいいじゃないかと思うと思うけど、嫌だ。
これは俺のわがままだ
で、どうしようか悩んでたらエイタが、
私はこの力で多くの過ちを犯してしまいました。
私もこのスキルを封印したいです。
って言って、本に何かを書き込んだあとエイタは赤い小さなドラゴンに変わった。
いきなりすぎてビックリしてたら、エイタの声が直接聞こえてきた。俺にだけ聞こえるようにしたらしい。
5本の指が3つの鉤爪に変わったからもう文字は書けなさそうだ。
一応本は出せるらしく、この世界のことが知りたいときはいつでも見れるらしい。
ちなみに俺が本に書き込もうとしても無理だった。書いた文字がすぐに消えてしまった。
これなら同じ人だって思われないし一石二鳥っていってたけど、本当にそれでいいのか、
いやエイタがいいならいいんだけど
こうして俺は最高の相棒を見つけて、やることも決まった。
さあ、朝の鐘が鳴った。ついに俺たちの本格的な冒険が始まる。