再々々始動。同じ時間を生きる仲間/リール視点
『時間跳躍』の魔法が発動された。
夢と現実を行った来たりするような感覚。ふらふらと空を飛んでいるような感覚。
「リール君! リール君!」
声が聞こえる。この声はクリスだ。少しずつ意識が覚醒していく。
「言われてた資料持ってきたのに! 寝てるなんて」
「あ、ああ……悪い」
「はい! 冒険者の資料!」
机の上に書類の束が置かれた。この資料の多さは仲間探しを始めた頃だろう。
つまり2か月前。
前回戻って来たのと同じ時間だ。プレミアと、やり直すならこの時が一番いいという話をしていた。
「また用事があったら呼んでよね。持ってくるから」
クリスは小さく手を振り部屋から出て行った。
部屋には俺しかいなかった。あと10分くらいでプレミアが部屋に入ってくるはずだ。
記憶を持ち越しての、人生で二度目となる長い間隔による時間跳躍だ。初めての時間跳躍だった前回とは気持ちが違う。
前回は初めて記憶を持ち越したことによる戸惑いもあったが、やれることはやったはずだ。
未来を知っているという優位性、そして選択肢を変えることにより、予想外を超えて変わっていく未来。
レッドから徹底的に距離を置いた結果、失敗とは言え、ファクターを前線に引っ張り出すことに成功した。仲間にしなければ、軍を内部から崩壊されることはなく、途中までは戦いを有利に進めることができた。
プレミアが時間跳躍を使う時を話してくれた。
『セリンの死、またはそれに近い状態』になった時。
セリンを生かすために、プレミアは数え切れないほど時間を戻してきたと言っていた。それが世界を救う本当の理由であり、アクトスを倒す目的でもあると言っていた。
その考えを否定しない。記憶を持ち越しているからこそ分かる。
この時間は、プレミアが何度となく繰り返し、選択肢を変え、ようやくたどり着いた場所なのだ。
前回失敗した時間を思い出す。セリンを戦わせないという選択肢もあったが、セリンに代わる回復魔法の使い手なんているはずがない。
セリンの魔法があるからこそ、レッドとラグナロクがいるファクター軍と戦える。
「リール様……」
扉がゆっくりと開き、青ざめた表情のプレミアが入って来た。
「無事でよかった。セリンは?」
「リール様も……。よくぞご無事で……。ママは……。外でひなたぼっこしてます……」
「そうか。プレミア、少し話そうか?」
「……リール様は……覚えているんですよね……? 時間を戻す前のことを」
「もちろん」
「……」
プレミアは少し泣いていた。
俺はプレミアの頭を優しく撫でた。今までずっと、たった一人で戦ってきたのだ。
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