再々始動①/プレミア視点
私が戻って来たのは、前回の時間跳躍した時と同じ、仲間を求めて資料を探し始めた時だった。
前回はすぐにリール様に時間跳躍で戻って来たことを伝えたのだが、今回は心の整理が追い付かなかった。
今リール様にあったら、きっと何も話せず泣いてしまう。
レッドを仲間にしてはいけない。仲間にしたら惨劇が起こる。レッドはファクターの仲間だ。
その言葉をリール様に伝えれば、きっと回避する道筋を見つけてくれるはずだ。リール様はそういう力を持った人だ。
ただ、その言葉を言うための気持ちに整理がつかない。
レッドが私達を裏切った結果があの惨劇であることは、目の前で起きた出来事として理解できた。心をどこかに忘れてしまったような、レッドの冷徹な表情が頭から離れない。かすかに楽しんでいるようにも見えた。
ただ―――なぜ私達を殺すのだろう? なぜレッドは私達を―――私とママを裏切ったのだろう。それが理解できない。
レッドは、敵の―――ファクターとラグナロク仲間であり、アクトスの仲間になったのだ。
その事実が目の前にあっても、それを事実として受け止めきれないのは、レッドと共に何度も何度も戦ってきたという、すでになくなってしまった未来の『事実』だ。私がタイムリープで否定し続けた未来だ。
レッドは戦友であり大事な仲間だった。
アクトスに弱みを握られて、仕方なく手を貸しているのかもしれない。レッドが、もしかしたら、私達に助けを求めているのかもしれない。
そんな想像は、多くの死体の記憶によって消えてしまう。
どんなに理由があれど、あんな表情で人を殺すような人間を助けたいと思えなかった。ロウソクの火が消えるように、私の心にあったレッドへの感謝の気持ちが一切なくなってしまった。
私は一回、二回と深呼吸をした。
「大丈夫? もしかして戻ってきたの?」
「うん」
私は、心配をかけまいと一生懸命作り笑顔をした。
「あまり無理はしちゃだめよ」
「うん」
そう返事をすると、ママは私をぎゅっと抱きしめた。とても温かい。生きているママがいる。私の記憶にあるママの死体が、夢であり、間違った記憶であることに安堵する。
またやり直せる。
レッドは敵だ。彼を殺す。レッドがなぜ私達を殺そうとしたのか。なぜアクトス軍に力を貸しているのか。そんな物には一切興味がない。
分かっているのは、彼がママを殺し、たくさんの人を殺し、私を殺そうとしたという事実。
彼を殺して、ファクターとラグナロクを、彼の力を借りずに殺す。
その未来をリール様なら絶対に叶えてくれるはずだ。
「ありがとう、ママ。もう大丈夫だよ」
さあ、時間跳躍という魔法が使えることをリール様に伝えることからやり直そう。また対策を考えるんだ。
読んでいただきありがとうございます。またブックマークありがとうございます。
お待たせしました。少しずつ投稿ペースを戻すよう頑張ります。




