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二回目①/リール視点

時間停止ストップ』の魔法を解く。


 目の前に広がっていた地獄のような光景は、元の穏やかな草原へと戻っていた。


 もちろんレッドの亡骸も元通りだ。


「どう……されましたか?」


 先ほどまで泣いていたプレミアが不思議そうに問いかけてきた。


「いや、なんでもない。レッドの事を思い返していたんだ」


「よくお話されてましたもんね」


「ああ。救ってやりたかった」


「……」


「一度主力部隊に戻ろう。残念ながら生存者はいない。それに、どこかで敵が潜んでいる可能性を考えないといけない。一部隊を壊滅させる戦力だ。二人では流石に厳しいから」


「………はい」


「よし。そうと決まれば急ごうか」


 ニセモノのレッドの亡骸が次第に遠くなる。相変わらず周辺には敵の気配はない。


*****************


 もうすぐ主力部隊に合流するところまで来た時だった。


「時間を戻せるという話覚えて……ますか? 」


 プレミアが言いにくそうに口を開いた。


 もちろん覚えている。瀕死の兵士が飛び込んで来たため話が途中になってしまったが、少し気になっている話ではあった。


「ああ覚えるよ。どのくらい戻せるの? 一時間は……流石に長いかな」


 時間停止ストップの魔法で数秒止めるだけでもなかなかしんどい。時間を操るというのは、わずかな時間であっても影響する範囲が大きすぎるのだ。


「もっと……」


「もっと? 2時間くらいかな?」


「年……単位です」


「年!!!!!!!! 本当に?」


「はい……戻れる時間に限りはありますが……」


 俺は馬を止め、プレミアの目をじっと見た。嘘をついているようには見えないし、そもそも嘘をつく理由がない。


「今まで使ったことは?」


「少しだけ……1,2回くらいですかね……」


 もの凄くばつが悪そうな顔をしている。


「嘘だ、な」


「……」


 小さく頷く。回数は言おうとしないのか、それとも言えないほど時間を戻しているのか。


「でも……リール様と出会ってからなら……本当です」


「一回戻してるのか!?」


「はい……」


 ふと考える。それはいつだろうかと。一つ違和感があるとすれば、カサティーユ城に向かう途中に不快な夢を見たくらいだろうか。時間を戻したことがあるということは、道中に取り返しのできない事件が起きたことの証拠でもある。


「何があった聞いてもいいか?」


「ママが……カサティーユ伯に殺されました」


 そう言うと、プレミアは今にも泣きそうな表情になった。セリンが殺さたなら、確かに時間を戻す選択は当然だと思った。きっと自分でもそうするはずだ。


「そうか……辛かったな」


「……」


 プレミアが小さく頷く。


「―――実は、この時間も戻そうと思っています。レッドがいなくなると、この後戦うことになるファクターを殺せません。ラグナロクはなおさら……」


「ファクターと戦ったことがあるんだな」


「はい。その経験から、この時間で戦うことを諦めるべきだと判断しました」

 

 その言葉は力強く、そして氷のような冷たさを感じた。この時間をすで諦めているゆえか。もしかすると、この会話のやり取りすら無駄な時間と考えているようにも感じた。


 それも当然だ。俺はその時の失敗の記憶を覚えていない。記憶がなければなかったことと同じだ。もし記憶が残っていればプレミアを助けることができるのに―――。


「いつ頃に戻る予定なんだ?」


「原因を突き止めてと思ってましたが……。一度昨日に戻って、この演習を中止することから始めようと思っています。みんなを助けたいです……。色々試してみようと思っています……」


 みんなを助けたい―――。研修を中止すれば、確かにそれは可能かもしれない。


 しかし、大きな問題がある。正規軍の中央部隊の死体が魔術で隠されていたこと、そして、レッドの亡骸がニセモノだったことだ。


 俺はその事実をプレミアに話した。本来は主力部隊と合流してから話すつもりだった。


「それ……本当ですか……? 全く気付きませんでした……」


「ああ。理由は分からない。そして、レッドは生きている可能性もある」


「敵に連れ去られ可能性もあるってことですか?」


「その逆もありえる」


「敵……ですか……?それはありえないと思いますが……」


「あくまでも可能性の話だ。参考程度に。気にしないでくれ」

読んでいただきありがとうございます。また評価、ブックマークありがとうございます。

本日6時『二回目②』予約中です。

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