能力試験①/リール視点
「話は聞いている。リール君。よろしく頼む」
今まであった人間の中で一番背が大きいかもしれない。年齢は50?いやもう少し上か。引き締まった肉体と、多くの修羅場を潜って来たであろう堂々たる顔つきは威圧感の塊だった。
ミシリ―国冒険者ギルド、ギルドマスター『ガーディン』
「どうぞ腰かけてくれ」
「ありがとうございます」
セリンが深々と頭を下げ椅子に座る。プレミアと俺も続く。
「さてリール君。魔術師ランク4S、消えた天才魔術師とこのような形でお会いできるとは光栄だ」
「そう言っていただけると光栄です。もうはるか昔の話で、今はただのCランク魔術師です」
「ふっ、Cランクでバルドルは倒せん。あいつはこの冒険者ギルドで3Sまでいった男だ。年老いたとはいえ、その強さに偽りはない」
「その通りです! リール様はもの凄く強いんですよ! 間違いなく世界一です」
プレミアがテンション高めに答えた。
「そうか! そうだったな! はっはっはっ! プレミアちゃんがここまで入れ込むとはなあ」
バルドルはプレミアをかなり気に入っているようだ。セリンにも気軽に話しかけているし、強面で話が通じない人間だったらどうしようかという不安もあったが、これなら安心して良さそうだ。
「リ―ル君とぜひ一度手合わせしたいな」
ガーディンが言い放ったその言葉で、脳が一瞬凍り付いた。
今なんと言った?
「そんなガーディン様、ご冗談を」
セリンが微笑みながら言う。そうかそうだよな。冗談だよな。
「いや、本気だ。今やるか。うん、今すぐやろう」
そう言うと、近くにいたギルド職員を呼び寄せ、何やら話しているようだ。職員は少し困った表情をしているが、首を横に振ることはない。壊れたおもちゃのように縦に首を振り続けている。
それ以上に困ったのは俺だ。
「大変な流れになったな。止められないのか」
プレミアに聞いた。セリンが駄目なら俺が何を言っても駄目だろう。最後の頼みはプレミアだけだ。
「は、はいやってみます」
職員と話しているガーディンに駆け寄った。頑張ってくれ。流石にギルマスと戦ったら無事ではすまない。
「ガ、ガーディン様! もしケガをされたら大変でございます。これから重要な戦いの前なのに……」
「なあに! 本気の殺し合いではない。それぞれの力量が測れればそれで終わりだ。リール君も強者、それくらいのコントロールは出来る。それにな、プレミアちゃん。強い男は強い男に惹かれてしまうんだ。なあ、リール君も戦ってみたいだろう?」
俺の脳みそはそんなに筋肉で出来ていないのだが……。俺の返答を待たず、ガーディンの言葉が続く。
「もし力量がワシの想像を超えていたなら、より重要な役職と多くの兵を授けようと思っている。これは我がミシリ―軍傭兵部隊の能力試験と考えてくれ」
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