夢/リール視点
プレミアとセリンが地下牢の一番奥に捕らえられていることを聞き出した俺は、助けた奴隷の少女を抱えながら、急いで救出に向かった。
一刻も早くプレミアを助けなくてはいけない。そして、もしかしたらセリンもまだ生きているかもしれないという、わずかな希望にすがりながら走った。
もはや止めに入る兵士達を『ストップ』の魔法で動きを止めるような面倒なことはしない。『ウインド 剣』で命ごと奪っていった。
薄暗く長い階段を降りる。途中、何度も悲鳴が聞こえる時があった。兵士が拷問をしているのだろうか。多くの人々が牢獄に捕らえられているようだった。彼らはどのような罪を犯したのだろうか?
一番下の階に到着し、扉を開けると、一本の通路に出た。左右には牢獄があり、等間隔に蝋燭の火がともっている。
そして、一番奥の牢屋の前には二人の兵士がいた。一人の兵士が牢屋を開けようとしている。抱えていた少女を下ろし、
「ウインド!!! 剣!!!!」
魔法を放った。間に合ったのか? 兵士達の首が体から落ちるのが分かった。すぐに牢屋の前に向かう。
「やっと見つけた」
思わず声に出てしまう。両手両足を鎖に繋がれている。反応が鈍いが、確かに生きている。奴隷の女の子も遅れて着いてきたようで、いつの間にか俺の裏にいた。女の子はプレミアの顔を興味深く覗き込むと、「ひっ!」と小さな悲鳴をあげ、俺の服を掴んで後ろに隠れてしまった。
俺は急いで鎖を破壊し、プレミアを横に寝かせ『ウインド 治癒』を使用した。
「よく頑張った!!」
そう声をかけるしかなかった。とにかく今は回復に専念しないといけない。傷があまりにも深い。得意でない治癒魔法でどこまで出来るか分からないが、やるしかない。
女の子が小さな悲鳴をあげるのも当然だった。
顔と体中に無数の痣がある。どれだけの拷問を受けたらこうなるのか想像もつかない。顔が原型を留めていない。
少しずつではあるが傷が癒えていく。回復魔法を使えるようになって本当に良かったと心の底から思う。昔の俺では救うことが出来なかったはずだ。
しかし、それと同時に、なぜ俺は回復魔法が苦手なんだろうか? 4Sクラスの魔力があるのだから、もう少し強力でもいいはずだという思いも生まれてくる。一秒でも早くプレミアを治療したい。
「キズが治ってく!!!」
と女の子が歓声をあげる。そして、
「リ……」
プレミアが口を開いた。
「頑張れ!! もう少し、もう少しだ!!!!」
プレミアの手を強く握る。中途半端に意識が戻った今が一番痛みを感じるはずだ。
「あ…り…が…………」
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パラパラと小雨が馬たちの体を打ち、周辺の草原からは靄が立ち込めていた。昼時とは思えないほど太陽の存在感がなく、わずかに肌寒かった。俺は少し厚手の布を羽織った。
プレーン村を出発して3日が経過していた。道中モンスターに襲われることもあったが、たいした強さではなく、アクトスによる追ってでもなかった。俺たちは問題なくミシリ―へと歩を進めていた。
気掛かりは昨日の夜に見た夢くらいだった。全然内容は思い出せないが、とても不快な夢であったのは確かだった。
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