↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/94

ラグナロク/プレミア視点

 絶体絶命とはこの事だ。震えが止まらない。客間に飛び込んできた十数人の兵士達が、私達に向けて長槍を構えている。身動きが取れない。


 カサティーユ伯はもはや笑ってすらいない。ただただ冷徹な目線を私達に向けている。


「捕らえろ。だが殺すな。アクトス様に引き渡す必要がある。話せる状態で生け捕りにしろ」


 アクトスの名前が出たことで、どの様なやり取りがあったか私は察した。


「私達を売るの? いくらで?」


 金を積めばまだ挽回できるかもしれない。一縷の望みをかけた質問だった。


「売る? なんて人聞きが悪い。正義の行動だよ。英雄を殺した人間を許す訳にはいかないからね」

 

 カサティーユ伯は淡々と答える。正直どこまで本心かは分からない。もう少し別の方法で交渉を続けないと、と思った瞬間だった。


「やれ」


 兵士達に命令が下った。


「プレミア! 私の後ろに! シールド!!」

 

 ママの魔法が発動する。物理攻撃を防ぐ魔法。簡単には破れない。


 しかし、その魔法はいともたやすく破られた。


 腕や太もも、そしてふくらはぎ。致命傷にならないであろう部位に刃が突き立てられる。強烈な痛み。頭が沸騰しそうなほど。


 「きゃあああああああああああ」


 ママの悲鳴が部屋中に響き渡った。


「ヒールっ! ヒールっ! ヒールっ! ヒールっっ!!」


 悲鳴のような魔法の連呼。なのに、ママの回復魔法が発動しない。


 おかしい。私の魔法も『想定される未来にくたいきょうか』も発動しない。部屋か、槍先か。


 何らかの手段によって魔法が完全に封じ込められている。


 意識が朦朧とする。私は―――時間跳躍(タイムリープ)の魔法を自動発動に設定した。


 これで、私が死んだら自動的に魔法が発動する。時間跳躍(タイムリープ)の魔法は、なぜか魔法が使用できない状況下でも使用することが出来た。


 時間は―――。この城に到着する前! 


 過去へ跳躍する。本当は使いたくない。死にたくない。お願い、リール様助けて。


 もう立っている力すらない。


 膝から崩れ落ち、床にうつ伏せで倒れこんだ。ママも倒れている。声は聞こえない。ママは……生きているのかな? 殺さないという言葉を信じるしかない。生け捕りにするなら、きっと私達を回復するはずだ。


 いつの間にか、体中に『束縛バインド』の魔法がかけられていた。この魔力は―――。


 消えゆく意識の中で、一人の男が部屋に入ってくるのが分かった。


 あれは―――魔術師ファクターの右腕であり、何度となく私達を殺した男。アクトスに辿り着くまでの最大の壁であり、不確定要素の原因。この男にだけは会いたくなかった。


 静謐な死神『ラグナロク』という男に。

読んでいただきありがとうございます。またブックマークありがとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。