面会と異変/リール視点
「急いでいるんだが、どうしても会わないと駄目なんですか?」
俺は上官兵士に尋ねた。もし予想外の提案であるならば会わないに越したことはない。
「面会を拒絶するようであれば通すことはできません」
ハッキリとしたその口調に迷いない。どうやら交渉の余地はなさそうだった。
「かまいませんわ。ちょっとお会いして挨拶してきます」
セリンは諦めた表情で言った。
「俺も一緒に行くよ」
「心強いですわ」
「私も行く!!」
3人一緒であれば、何かあっても対応できるだろう。そう思った時だった。
「申し訳ございませんが、面会はセリン様とプレミア様だけでお願いいたします。ご同行の方がいるという話は聞いておりませんので」
「どういうことですか? この方は私の大事な仲間ですわ。きっとカサティーユ伯もお許しになると思いますが」
セリンは少し不快感を露わにした。大事な仲間とハッキリ口に出されると、くすぐったい気持ちになる。
「そうです。カサティーユ伯ならきっとお許しくださるはずです」
プレミアも加勢する。しかし上官兵士は表情一つ変えずに、
「出来かねます」
と言った。変わらない強固な態度。
面会をすれば通してくれるという相手に、これ以上強硬策を取る必要性もない。もはや押し問答するだけ時間の無駄といった感じだった。
俺は不満げな二人に「行って来いよ」と伝えた。
****
上官の兵士に連れていかれる二人を見送ると、俺は兵士たちの詰め所に案内された。
「客人を案内する部屋がない。悪く思うな」
と下っ端の兵士は言った。
詰め所には数人の兵士が休憩をしていた。「なんだあいつは」という目線を感じる。兵士以外の人間が入ることがないのだろう。
そのまま部屋の奥に案内され、特にもてなしのコーヒーもなく、静加に二人を待つことになった。
始めは20分くらいだと思っていた。すぐに戻ってくると思っていた。
それが30分が過ぎ、40分、50分と過ぎていく。
まだ帰って来ない。明らかに遅い。何かあったのだろうか。
兵士に様子を聞いた。「確認してきます」という言葉とともに、さらに30分待たされる。戻って来た兵士は「食事を用意していたので会食をしている」と悪びれもなく言った。
少しずつ生まれ始めた苛立ちを抑えつつ、更に1時間以上待った。
しかし、二人は戻ってこない。
「もう我慢できない。俺達は急いでいるんだ。カサティーユ伯のもとへ案内してくれ」
「できません。もう一度確認してまいります。もうしばらくお待ちください」
我慢できずに強めの要求をしてみたが、態度は全く変わることがない。嫌な予感がする。俺はグッと堪え、もう一度兵士が戻ってくるのを待った。
「戻りました」という兵士の言葉が聞こえた。俺はすぐにその兵士に問いかけた。
「どういう状況ですか?」
「セリン様から伝言を預かっております」
「伝言……ですか?」
「はい。『二人でミシリ―へ行くことになった。リール様はプレーン村で待機するように』とのことです」
その伝言の内容は、二人の意志でないことにすぐに気付いた。今更プレーン村で待機する必要性がない。二人の身に何かかが起きている。
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