反動/リール視点
プレミアは元の華奢な姿に戻った。
セリンの魔法のおかげもあり、ドラゴンの血で体中真っ赤に染まっていたのが嘘の様に元通りだ。
「私……いかがでしたか……?」
「気持ちが伝わってきた。強かったよ」
流石にこの戦い方に至った経緯を聞くような状況ではない。
「リール様に褒められるなんて!!」
殺気はもうない。普段のプレミアがそこにいた。
あっという間にドラゴンを倒されたことで魔術師は二人は混乱しているようだ。
その様子をバルドルはイライラしながら眺めている。あの程度で勝てると思っているなら、相変わらず人を見る目がない。
しかし、それ以上に俺の身体の調子が悪い。体内で魔力が暴走している。
「あら! リール! ちょーかわいいですわ!!」
「ほんとだ! リール様が子供になってる!」
突然この状況で何を言っているのか。先ほどまでの緊張感はどこへやら。二人はキャーキャーと興奮している。
「ちょっと待て。何がなんだか、説明をしてくれ」
「どうぞ、鏡を見てください。これが現在のリール様です」
プレミアが手鏡を貸してくれた。
「子供……」
どう見ても10歳前後の子供である。
服装も一緒に小さくなっているのが納得いかないが、この小さい男は間違いなく俺だ。顔も女の子に間違われる時があるほど中性的だった。
「ええっ……なんでこんなことに……」
声変わり前のせいで声が高い。
たかが一発魔法を放っただけでこの有様なのか。魔力自体は下がっている感じはないし、元の姿に戻そうとする魔力の動きを感じる。しばらくすれば戻るだろうが……。
戦えるならば問題ない。
「あの魔術師二人をたおっ……!!!!」
とても柔らかい感覚が体中を包む。
「むぐう! むぐう!!」
「かわいいですわ!!」
その声はセリンか! 声を出そうもにも何やら柔らかい物に包まれて声を出すことができない。どうやらセリンが俺を抱きしめているようだった。
脳がおかしくなるな……。体が溶けていくような……。いやいや! 命を懸けた戦闘中になにやっているんだ! 俺は無理セリンをやり引き剥がす。
「ぷはっ!! 何やってんだ! 不意をつかれるっ……うぷっ!」
「リール様がかわいい!!」
今度は柔らかいが人の骨格を感じる。プレミアか! また脳がおかしくなる! もうこのまま胸の中で幸せに包まれてやろうか……。あー気持ちがいい。もう戦わなくてもいいかもしれない。
ってお前らが俺にデバフかけてどうする。戦う気力がゴリゴリ削られている。
無理矢理引き剥がす。子供だからってやっていいことと悪いことがある。俺の頭の中はちゃんと32歳なんだ。
二人はかなり残念そうな顔をしている。緊張感が足りない。
「分かった! バルドル倒したらいくらでもしていいから」
「ほんとですのね!!」
「がんばろうママ!! バルドルを倒す!!」
潜在的な魔力が上がった。やる気の出し方が間違ってる。仕切り直しだ。
「どうするバルドル? まだこいつらに戦わせるのか?」
バルドルはやはりイライラした様子でこちらを見ていた。
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