冒険者カード
「ここは宿屋よ。おじいちゃんがやっているわ。たまに私も遊びに来るわ。ここ、結構古いからドア開けるの手伝って。」
「分かった」
ギィィィィィ
本当だ。重い!皆どうやって開けるのかな。
「こんにちは〜!遊びに来たよ!」
「おおユリか!待っとったぞ!」
「今日は友達を連れて来たのよ!ユアっていうの。」
「ユアです。よろしくお願いします。」
「ユアちゃんか。良い名前だの!ワシはトムじゃ!気軽にトムじいちゃんとでも呼んでくれ。」
トムじいちゃんか。私のじいちゃんは私が生まれてすぐに亡くなったって聞いたからな。凄く新鮮。
「こんなオンボロじゃが、ぜひ泊まってくれよ。」
「分かりました!また後で来ますので、部屋、空けておいてくださいね。」
「楽しみにしとるぞ。」
「じゃあユア、次の場所案内するから。トムじいちゃんまたね!」
トムじいちゃんは、私達が見えなくなるまで手を振ってくれていた。
_____
「ここは武器屋よ。で、こっちが防具屋。」
武器屋では、ハッサンと呼ばれるちょっと厳つい顔をした人が、防具屋では、アニーと呼ばれる優しそうな女の人がやっていた。
ちなみに、この二人は夫婦なんだとか。
仲は凄く良いらしい。
「こんにちはハッサンさん、アニーさん!」
「ユリちゃん!よく来たわね!」
「おお。こんにちは。」
「今日は、友達を連れてきたんです。」
「ユアです。お願いします。」
「ユアちゃんって言うのね!とても可愛いわ!ね、あなたもそう思うでしょ?」
「ああ。そうだな。」
「ありがとうございます。」
褒められた事が無いから照れくさい。
いつも顔を見られる度に殴られたりしていたからな。
『キモい顔してこっち見てんじゃねぇよ!』
バキッ
『ギャハハハ!いいきみ!』
『ざまぁ!』
何であんな事されるのか分からなかった。
ただただ殴られるのを我慢していただけ。
「おーい!大丈夫?」
「すみません。ボーッとしてました。大丈夫です。」
「なら良かった。また後でここにも来てね!待ってるから!」
「はい」
____
「最後は冒険者ギルドよ来るのは初めてよね。ここは受け付けの人に聞いてね。私は少し用事があるから。」
「分かった。」
ウィィン
おお。自動ドアだ。この世界にもあるんだ。
「ようこそ冒険者ギルドに。初めての方ですね。冒険者カードを作りますので、こちらにどうぞ。」
怖そうなお姉さんだな。
それは置いといて、冒険者ギルドは予想と全く違った。
冒険者ギルドって聞くと、
ちょっと暗くて黄色っぽい電気の下で、冒険者達が酒を飲んでいて、騒がしいイメージがあった。
でもここは、白い壁に白い床。受付は横に沢山並んでいるし、酒を飲む場所も無い。
「こちらに必要事項を書いてから渡して下さい。」
「はい。」
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「書けました。」
「ありがとうございます。では、少々お待ちください。」
名前の所に名字を書くのはやめた。
だって面倒くさそうだからね。
「お待たせしました。こちらが冒険者カードになります。このカードは、身分証でもありますので失くさないように肌身離さず持っていてください。」
「分かりました。」
「これから冒険者として思う存分活躍してくださいね。」
笑った・・・!
可愛いというより美しいな。
「ありがとうございます!」
「ユア〜!出来た?」
「うん!これではれて冒険者だ!」
「良かったね!じゃあ、これからもよろしく!」
「こちらこそ!」
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いかがでしたでしょうか。
ここからユアの冒険が始まります。
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これからもよろしくお願いします!