エピソード5
あれから一週間がたった。相変わらず白亜は元気に現実世界で暮らしている間、僕は一人みんなが白亜を受け入れた理由を探していた……が、時間が経った今ある結論にたどり着いていた。
もしかして僕は自分を変えなくてもよかったのではないのか、と。
白亜が昔の僕の性格そのものであれば家族にも受け入れられるのも当然?なのかもしれないしみんなに対しても受け入れやすいのではと僕は考えた。一週間前の僕は環境の変化に耐え切れず、冷静な判断ができていなかった。………そういうことなのかもしれない。
となれば、白亜に聞かなければならないことがある。できれば早めに白亜に会えることができればいいんだけど………。
と、思ったその日の夜。僕の願いは案外容易くかなった。
「やあ、僕。久しぶりだね」
「そうだね。確かに久しぶりだね。白亜」
「ん?それの”白亜”って僕のこと?良いね好きだよそういうの」
深層心理空間と呼んでいるところで僕たちは会った。まるで予定されていたような感じのする様子の白亜。この名前、あっさり許してしまうあたりすごい心が広いと思ってしまう。
「それで、君は何の用で僕を読んだのかな?」
「僕が……呼んだ?」
「そうだよ。君が、僕を、呼んだ」
さも当然のように白亜は言った。その様子に僕は不思議に思うしかなかった。
「呼んではいないけど会いたいとは願った。……それは表に伝わるものなの?」
すると白亜は神妙な表情で答える。
「ん~。なんとなく、かな。呼ばれたから”来た”ってわけじゃなくて”来させられた”っていう感じ」
そんなことが。と僕は驚いた。しかし、僕が初めてここに来た時にはそんな感覚は無かったはずだ。だとしたらなぜ………。
「ちなみにだけどね」
白亜はそう切り出すと微かに笑みを浮かべ、こういった。
「僕は今まで君に会いたいと思っていても会えたことは一度もないんだよ」
「………え?」
だとしたら、最初に会った時は何があってここに来た?
「だからね、教えてほしいんだ。なぜ君は僕ができなかった”呼び寄せる”ことができたのかをね」
白亜は興味深々な様子で僕に問いかけてきた。
「…………」
僕にとってこれからが本番だ。心を落ちつかせ、ひと呼吸する。……よし。