ファーストバトル
ファーブは、机の周りに立て掛けてあるショートソードに触れる。
「持てたよ」とショートソードをブンブン振り回す。
そうなのかと、俺も槍に触ってみる。
バッチッ!!と軽い電撃が走る。
「い、痛い」と涙目になる。
「剣士になったって、どうやってわかったの?」
「声が聞こえたの」
ふーん、確かファーブが迷宮入りしたのは一日前か。
俺も明日には職に付けるかな?
ファーブは、その場に座り、ショートソードを目の前に置く。
「夢みたい、でも、これって、魔物とか、本当にいるってことなのかな…」
「いるよ…」
早くもフラグ回収に来たか、薄暗い迷宮の奥から、ご存知、人面犬さんが登場する。
ファーブは、僕の前に出て、ショートソードを構える。
全身で震えているのが、可愛いなと思った。
ショートソードを滅茶苦茶に振るが、人面犬は、余裕を持って回避している。
「ははは、止めておけ、怪我するぞ」
「お願い、帰って」
目の前にいる人面犬は、俺よりも大きいのではないか?と観察していると、ファーブの目の前で反転したかと思うと、後ろ足でファーブのみぞおちに蹴り入れた。
「ははは、小僧、この女を犯したら、食ってやるから、待っているが良い」
雑魚が何を言っているのか。
でも殺し方も考えないといけない。
俺はあくまでも無力な子供を演じなければならないのだ。
”絶対魅了”を発動させ、人面犬を下僕とし、伏せを指示する。
ファーブのショートソードを握ると、電撃が全身を走り、ジリジリとHPを削っていくが、構わず人面犬に突き刺す。
悩んだ末、ファーブに、”スーパークリックヒール”を懸ける。
触れることで相手の状態がわかるパッシブスキルの”解析”により、HPが回復していることを確認する。