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孤独のPK、ほくそ笑む  作者: きっと小春
第一部 人間失格してますか?編
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出会い

地下1階層は薄っすらと光を放つ石壁の迷宮ステージだ。


マッパーさんによって、ほぼ攻略済みということだ。


広さも複雑さも俺には関係ない。


地下2階層から迷宮入り口までの道のりだけ知っていれば十分なのである。


地下1階層の思い出は、ファーブとの思い出だけだ。


リアル女神様と別れ、次に目覚めたとき、俺は、ファーブに介抱されていた。


ファーブは、両親に捨てられ施設で育てられたという。


あまり良い環境ではなかったのか、痩せこけていて、精神的にも追い詰められていたのだろう、表情も暗かった、


だが、無理に作る笑顔で、俺を励ましくれていた。


二人のいる場所は、迷宮入り口である。


その場所は、幅10m、奥行き20mぐらいの広間になっている。


不自然に誰が見ても手作りだとわかる木の机が添えられていて、机の上にはメモが残されれいた。


”ここは魔物や魔獣が生息している迷宮です。”


”僕達が迎えに行くまで、絶対に奥へ行かないでください。週一で来ます。”


”食料の干し肉、皮袋の水で我慢してください。”


”武器も置いておきますが、<職>という能力に目覚めないと、ちょっと痛い電撃で触れません。”


”不安だと思いますが、どうか我慢してください。”


ふーん、誰が待つかよ、と俺は考えるが、ここに座ってと床を叩いてくるファーブ。


頭を良い子良い子し、一緒に干し肉を食べ、歌を歌い、おとぎ話を聞かせ、「怖くないよ」と励まし、夜も寝ずに見張りし、ぎゅっと手をつなぎ、俺を見守る。


「ファーブお姉さんは、俺の何日前に来たの?」


「1日先かなぁ」


ファーブは、徐々に疲弊し気力を失い、今にも倒れそうだ。


だが、俺を守ろうと残り少ない命を燃やすのだった。


それは本当に美しかった。


その最後の灯火が消える瞬間を見たい。


見たいんだ。


早く死んでくれよ…。


次の日、ファーブは「あれ? 私、剣士になっちゃったかも」と言い出したのだ。

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