プレイヤーキラーの目覚め
地下13階層は、丘陵ステージ。
小さな丘の上で、唐突にコントロール譲渡可(カオスモード:継続)。
選択開始?(手動 or 自動)
->手動
「やっと、止まったか」と呟いた。
恐らく、戦闘に関しては、自動の方が圧倒的に勝率は高いだろう。
今まで見てきて、全く無駄が無いどころか、そのスキル何? みたいなものまで利用していたし。
しかしなぜ? この期に及んで、手動が許可されたのだろうか?
エンドファミリーにちょっかいを出すも、古の無限リーダーのシンズキに契約を反故され、いつでもフルボッコできるぜと脅され、ゆいが遠藤のスキルだと知らせれ、さくらが目の前で犯され……そして俺がゆいとさくらを殺した。
その怒りも絶望も虚無感も今はない。
全てを吐き出すように、魔物たちにぶつけることで解消したのだろうか?
そもそもカオスモードとは?
本当にゆいが俺の体に仕込んだものなのか?
女神にもらえる武器やスキルの性能を遥かに凌駕していたのだが?
うーむ……。
ゆいが遠藤のスキルで意思がないなら、俺を遠藤の指示で働く人形に改造すればよいのでは?
俺には、解析スキルで”触れた対象のステータスを解析する”というのがある。
触れるどころか、DTまで卒業させてくれたゆいが、遠藤のスキルだとして、解析に何も現れなかったのは何故だろう?
最後に聞こえたゆいの言葉。
”あなたは誰よりも強く、そして孤独でなければならないの…”
ゆいが俺に望むものか……。
あの場所に、ゆいもさくらもいなかったら、俺はPKとしての本分を全うすることができたのであろうか?
答えの出ないことばかり考えても、無駄にカロリー消費するだけだな。
とりあえず、何か食べたいな。
しかし、今まで何も食べて…いや…食べてたな…魔物たちを生で…。
あぁ……嫌なことを思い出してしまった。
さてと、気を取り直して。
地下14階層へ向かうために、地下13階層の調査が必要だな。
重い腰を上げ、全方向をぐるりと見渡す。
丘陵地っていいな、青い空と凸凹大地、絵葉書みたいに綺麗だ。
と、遠くに人影を見つける…。
ゆいの最後の言葉が、頭に響く、俺のPKとしての明日はどっちだ?




