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孤独のPK、ほくそ笑む  作者: きっと小春
第一部 人間失格してますか?編
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暴露

「クッソ、死体さえ、死体さえ手に入れば…」


憎たらしい女の後ろには、200を超えるであろう人の群れがいる。


どうにかしてあいつらを皆殺しにしなければ…。



俺は思案する。


仮にも”古の無限”と対等に渡り合う”クリスタルG”だ。


リーダーともなれば、あのシンズキ並のチート攻撃を仕掛けてくるに違いない。


ゆいやさくらが出会ってしまう前に、俺が倒さなければ…。



ゆいは、総大将の死霊使いふたば(兄)に向けて、人差し指にはめていた指輪を投げる。


弧を描き飛んでくる指輪を黙って見ていたふたば(兄)は、只の指輪じゃねーだろと、逃げ出すように走り出した。


その必死に逃げるふたば(兄)を見て、ゆいは笑いが止まらない。


指輪はただ地面に落ち、それ以降何も起こらなかった。


ふたば(兄)は自分が、コケにされているだけと気が付き、怒りで顔真っ赤にする。


ゆいに振り返り、落ちた指輪を力いっぱい踏んづけた。


ふたば(兄)の足元から、1,2,3…9,10,11もの青白い魔法陣が立体的に構築されていく。


「ふざけぇんなぁぁぁぁっ!!」


その場にいた誰も理解できないだろう魔法陣の効力、それはナノレベルで、ふたば(兄)を分解したのであった。


プラリアはシーズの手をぎゅっと握った。


バ、バケモノだわ…あんなのに…勝てるわけない…正義なんて…力がなければ…。


自分の無力さに、恐怖に、あまりの理不尽に、心が折れた瞬間だった。


「ゆいっ! あれ、最後の…めちゃ綺麗だったねっ!」とクラリスは大興奮だった。


あぁ…馬鹿じゃなければPKたちなんかと過ごせないよな…と思うシーズであった。


北側の戦いは、唯一、”スターライト・血の血盟連合”火の魔術師スライダーと防衛隊隊長のフーガの自軍のみで勝利を収めたのだった。


その後、前代未聞のギルド間の正義なき蹂躙劇、そしてPKたちによる救済が、地下迷宮でトップニュースとなる中、”血の血盟”ホームタウンで、PKを招いて祝賀会が開かれた。


「PKを招くというのは不本意ではあるが…」


みたいな、あからさまな嫌味全開の挨拶がある中、俺も悶々としていた…もっと活躍させろよと…。


祝賀会なので、美味しいごはんを食べさせたいとさくらが連れて来ていたコジが言う。


「だけどさぁ、兄ちゃんたちがさ、スターライトの砦(地下6階層)を壊滅させなければ、こんな戦争起きなかったんじゃないの?」


和やかに進んでいた祝賀会の会場が、一気に冷めたのを感じた。


「えっと、ほら、ゆい、洗濯物…雨降りそうだから、取り込まないと…そろそろ…失礼しますね」


緊急避難を発動し、ゆいとさくらを連れて、脱出する。


コジとクラリスは元スターライトのメンバーだ。


あそこにいるのが幸せだろうと置き去りにする。

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