お出迎え
下らないことを整理していたら、いつの間にか熟睡して、もう朝になる。
いつものようにマークスに起こされ、朝食に向かう。
”栄光の絆団”には、狩人やハンターの職が多いため、人肉などを食べずにすむ。
人肉の入手経路について説明されたことがある。
善人が多いため、ギルドの枠を超えた地下迷宮内に共通ルールが、作られている。
”死後のカード”と言われているもので、内容は、死んだ後、死体をどうするかだ。
※カードは錬金術職が作るのだ。
1.ギルドで埋葬する
2.ギルドの食料とする
3.発見者の自由
4.その場で放置
勿論、ほぼ善人しかいない地下迷宮だからこそ、成り立つルールであろう。
俺なら、ちゃちゃと書き換えて、「3.発見者の自由」するが。
狩りができる職がいないギルドでは、「2.ギルドの食料とする」が推奨されている。
俺が、殺した奴らは、何番だったんだろう?と下らないことを妄想していると。
「今日は、地下1階層で、地下迷宮に送り込まれる新人を確保してほしい」とリーダーから頼まれる。
「えっ!? お、俺だけじゃ、地下1階層に行くまでに、魔物の餌ですよ…」
ギルドの中での俺の立ち位置は、無能職者だ。
リーダーは”タダ飯ぐらいの無能職者も何かの役に立て”とは思っていない。
寧ろ”何かの役に立たせてあげることで、気負いなくこのギルドに居て欲しい”と思っているのだ。
これがマジだから、困る。
「ははっ、心配ない。剣士職と盗賊職を付ける。お前は年下から好かれるからな。新人確保にはもってこいの人材だ」
まぁ、それほど、トラブルは考えられない。
ここから地下1階層に行くまでには、強い魔物も魔獣も居ない。
戦える職が護衛なら問題ないだろう。
あったとしても、他のギルドと、どの子供を確保するかという取り合い程度だ。
「なぁ、可愛い女の子を優先的に誘えよ」
マークスは鼻の下を伸ばす。
正直、誰でもいいのだ。
しかし”栄光の絆団”には、衣食住のために、安定して運営してもらわなければならないのだ。
食事を終えると、護衛の剣士と盗賊を探すため、食堂を出る。