新入社員OJTのモデルプラン - その1 -
「一度繋がてしまうと、断ち切るのは難しいな」
「何それ? 普通すぎるわ。言い訳なんて…、それに相手は、そんなこと思ってないわよ」
俺はPKとして、情を育てすぎてしまったのだろうか。
手出しできるギルドが減ってる。
というか、誘拐なんて、迷宮入り口で新人をかっさらってくればいいのだが、それだと教育が面倒なのだ。
かと言って、元ギルドからも…という感じでウダウダしてるのだ。
「待て待て、警戒が厳しくなったのは、ゆいのハンバーグ事件からだぞ?」
「だって、生首をあなたが怖がるからでしょ? あの叫び声で見つかったんじゃない」
「うっ…、わかった、ちょっと迷宮入り口で、ゲットしてくる」
迷宮入り口に行くと、「うへへへっ」と、おっさんギルドのクリスタルGさんが、嫌らし顔で新人さんを勧誘してるではないか。
しかし、今は、子供しか迷宮に入れないのに、おっさんたちの数が減らないのはなぜだ?
まぁいいや。ちゃっちゃっとPKすると、5人の新人さんに声をかける。
「黙って付いてこい」
最初が重要だよな。うん。これ間違ってないだろう。
付いてきたのは偶然にも一人だけだ。
俺は、ゾーン結界を発動し、残りの新人さんを氷漬けにする。
声も出ない震える新人さんを連れて、ゆいの元まで歩くこと5時間。遠い。遠すぎる。
「おーい、ゆい、どこだ?」
ゆいは木陰でお昼寝の最中だった。
ちょっと、むかっときた。
目が覚めて、俺達を見ると、俺を完全にスルーして、新人さんに抱きつく。
「私は、ゆい、あなたの名前は?」
「さ、さくらです」と小さな声で答える。
とりあえずは、ハンバーグ化しないようだ。
それから数日かけて、ゆいがこの世界のことを説明する。
最初は信じられないと受け入れないさくらだったが、階層ごとの景色を見ていくうちに、自然と受け入れるようになった。
最初の関門は、ゆいズキッチンだろう。
人肉の衝撃は、拒食症を発症させる。
まぁ。当たり前だよな。
「いい? お店で売ってる肉の塊を使って、ハンバーグを作り、美味しく食べる、それと同じでしょ? あなたはハンバーグを食べるとき、牛や豚を想像しながら食べるの? 食べないなら、この子は何のために殺されたの? あなたが食べるまで、次々とPKしていくわよ?」
うはっ、また意味不明なことを…。
説得力が薄いし、後半はもう脅迫ですよね。




