再出発
約束通り地下3階層を出て行き、現在、地下2階層の湿地帯エリアにいる。
「はじめて、ゆいと会った場所だね、っと、スーパークイックヒール」
「何で、ヒール?」
「拷問受けてたんでしょ? 体の傷とかだけでも治そうかと」
「思いやりがあるようでないな。そういうことは言わないでいいの」
「でも、傷痛むでしょ? ずっと我慢してたっぽいし」
「う…」と俺を睨む。
「で、これから、どうするの? へっぽこPKさん?」
「何も変わらないけど、いや、変わったかな。足枷のゆいがいる」
「ヒドッス…」
「そうだな…俺を殺すことができそうな。幼馴染、サーカス団団長、シンズキの三人をPKすれば、安心安全な生活が送れそうだけどね」
「できそうなの?」
「う〜ん、例えば、シンズキなんだけど。シンズキと同レベルのリーダー達なら良い戦いができるだろうね。現に他のギルドとパワーバランス的に成立してるからね。俺が特殊すぎて、歯が立たないのは自覚してるけど。幼馴染は、逆に俺に特化しすぎて面倒だし。殺るなら、サーカス団団長からかな?」
「だけど、こういうこと考え出すと、他のギルドと変わらないから、つまんねーってこと」
「うんっ!」
「適当に、行き当たりばったりで、いいんじゃね?」
「じゃ、何するの?」
「まずは、冒険だな、地下1階層から隅々まで見てみたくなったよ」
「迷宮の秘密を探るとか? つまんない…」
「そ、そうだな…、じゃ、探索しながら、おもしろPKのアイデアを思いついたら、PKする?」
「うんうん」
「うはっ、ゆい、狂ってるな。よしよし…」
子犬のように喜ぶゆいの頭をガシガシと撫でる。
ゆいには内緒だが、”ものまね”のレベルアップも、目的の1つなのだ。
シンズキに勝つためには、”ものまね”に賭けるしか無い?
そして、地下1階層で、ちょっと懐かしいメンバーと再開したり、しちゃうのだが。




