解放
事あるごとに、ガマガエル野郎がいじめられるように、仲間を影から誘導していく。
ガマガエル野郎は、置物のように大人しくなる。
そして運命の時は来る。
日直で帰りが遅くなる俺は、幼馴染にも残るように命令しておいた。
というか日直の仕事も、全部、幼馴染にやらせているわけだが。
ガラっと教室のドアが開くと、ガマガエル野郎が入ってきた。
忘れ物か?と考えたが興味がなくなり、いつまでも作業を終わらせない幼馴染に蹴りを入れる。
そのときだ。
音もなく後ろから近づいてきたガマガエル野郎に羽交い締めされる。
あのときの恐怖が蘇り、幼馴染にどうにかしろと命令する。
「お、お前が悪いんだっ!!」
幼馴染は、叫ぶと同時に、いつの間にか持ち出したサバイバルナイフを俺に向ける。
「ふざけんなよ」と言って、どうにか自由がきく足で、幼馴染を蹴ろうとするが、激しい痛みを感じた。
脛を斬りつけられたのである。
全身から、血の気が引くのを感じる。
もう後戻りができないと悟ったのか、幼馴染は両手でサバイバルナイフを持つと、俺の腹部へ向けて体当たりしてきた。
刺さったサバイバルナイフを見ると、見事に腹に刃の部分が吸い込まれていた。
痛みはない。いや、もう熱い、痛いのだろう、頭はパニック、足はガタガタ震え、汗、涙、鼻水、涎、失禁と穴という穴から、何もかも漏れる。
サバイバルナイフを抜かれたとき、更に激しい痛みを伴った。
今度は、胸にゆっくりとサバイバルナイフが差し込まれる。
「な、何か言えよ」と幼馴染は睨むが、俺は何も考えられない。
絶叫と共に、サバイバルナイフを胸から、腹、下腹部、股間へ押し込むように、押し下げた。
激しい出血とはみ出す内蔵、性器も切断されただろう。
正直、途中から意識を失っていただろう。
よくわからん。
しかし、死ぬ間際に。
死ぬからこそか、わからないが、これまでにない生きる喜びを感じたのだ。
まったく、異常者ばかりで、困ったものだ。